【獣医師監修】犬にはちみつを与えても大丈夫?与える際の注意点や適量、メリットとデメリットを解説

【獣医師監修】犬にはちみつを与えても大丈夫?与える際の注意点や適量、メリットとデメリットを解説

犬にはちみつを与えても大丈夫?適量を守れば健康な成犬にはメリットもありますが、1歳未満の子犬には絶対にNG。はちみつの効果、体重別の正しい量、アレルギーやボツリヌス菌など与える際の注意点を詳しく解説します。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

犬ははちみつを食べても大丈夫?

飼い主が食べようとしているはちみつを見つめる犬

健康な成犬であれば、犬ははちみつを食べても問題ありません。

はちみつは天然の食品であり、犬にとって有毒な成分は含まれていないため、適切な量を守れば安心して与えることができます。

ただし、カロリーが高く、与えすぎは肥満や糖尿病などのリスクを高める恐れがあります。また、1歳未満の子犬は腸内環境が未成熟なため、絶対にはちみつを与えてはいけません。

与える際には愛犬の体調や年齢に十分注意し、健康管理に役立てましょう。

はちみつに含まれる栄養素と犬への影響

瓶とお皿に入れられたはちみつ

はちみつは約8割が糖質でできていますが、微量ながらビタミンやミネラル、酵素、オリゴ糖なども含まれています。これらの成分は、犬の健康維持やエネルギー補給をサポートする「補助的な働き」を持っています。

ただし、含有量はごくわずかで、ドッグフードの栄養を補う程度にとどまります。主食の代わりになるものではない点を理解しておきましょう。

ブドウ糖・果糖

はちみつの主成分であるブドウ糖と果糖は、体内で速やかに吸収される単糖類です。

運動後や食欲が落ちているとき、軽い疲労を感じているときに少量を与えると、エネルギー補給源として役立つ場合があります。特にシニア犬の活力維持にプラスとなることもあります。

ただし、糖質が多いため与えすぎは肥満の原因になる点に注意が必要です。

ビタミンB群

はちみつにはビタミンB群(B1・B2・B6など)がごく微量に含まれています。これらは体内でのエネルギー代謝を助け、疲労回復をサポートする栄養素です。

ただし、はちみつだけで十分な量を摂取することはできません。あくまで「ドッグフードで摂取した栄養の働きを補う程度」と考えましょう。

ミネラル

カリウムやカルシウム、鉄などのミネラルも微量に含まれています。

これらは体の水分バランスを整えたり、骨や歯の健康維持に関与したりしますが、含有量は非常に少なく、実際の効果は限定的です。ミネラル補給を目的に与える必要はありません。

酵素・オリゴ糖

はちみつにはジアスターゼやアミラーゼなどの酵素、そして腸内環境を整えるオリゴ糖が含まれています。これらは消化吸収を助けたり、善玉菌の働きを支えたりする可能性があります。

ただし、酵素は熱や胃酸に弱いため、実際の効果はごく限られます。生はちみつを少量与えることで、軽い整腸作用が期待できる程度と考えておきましょう。

犬に与えてもいいはちみつの量

スプーンにはちみつを注いでいる様子

はちみつは糖分が主成分であるため、犬に与える量はごく少量に抑える必要があります。

体重別の摂取目安を以下の表で確認しましょう。示した量は1日の上限量であり、必ずしも毎日与える必要はありません。週に2~3回程度を目安にしてください。

犬の体重 はちみつの1日摂取目安量 おおよそのカロリー
超小型犬(〜5kg)
チワワ、ヨークシャーテリアなど
小さじ1/4杯(約1.75g) 約5kcal
小型犬(〜10kg)
トイ・プードル、シーズーなど
小さじ1/2杯(約3.5g) 約10kcal
中型犬(〜20kg)
柴犬、コーギーなど
小さじ1杯(約7g) 約20kcal
大型犬(20kg〜)
ラブラドール・レトリバーなど
小さじ1杯~1.5杯(7〜10.5g) 20〜30kcal

初めて与える際はさらに少ない量から始め、アレルギーなどの異常がないか様子を見てください。また、肥満傾向の犬やシニア犬はこの目安量の下限を基準に調整しましょう。

犬へのはちみつの与え方

食器からフードを食べている犬

犬にはちみつを与える際は、与えすぎや誤飲を防ぐために適量をしっかり守り、食べやすい工夫をしましょう。愛犬が抵抗なく口にできるよう、普段の食事やおやつに混ぜる方法がおすすめです。

以下の方法を参考にして、犬が安全に美味しく食べられるよう工夫してみてください。

フードのトッピングに少量かけて与える

普段食べているドライフードやウェットフードに、ごく少量のはちみつを垂らして混ぜます。はちみつの甘い香りが食欲を刺激し、食いつきがよくなることがあります。

ぬるま湯に溶かして飲みやすく与える

はちみつをぬるま湯に溶かして与えると、飲水量が増える効果が期待できます。特に夏場や運動後、あまり水を飲みたがらない犬やシニア犬におすすめです。

ただし、熱湯を使うと栄養素が失われるため、必ず人肌以下のぬるま湯で溶かしましょう。

ヨーグルトや手作りおやつに混ぜる

無糖のヨーグルトに少量混ぜたり、手作りのおやつの甘味付けに使ったりする方法もあります。砂糖の代わりにごく少量使うことで健康的なおやつ作りに役立ちます。

犬にはちみつを与える際の注意点

悲しげな表情で伏せている犬

はちみつは犬にとって有害な食品ではありませんが、安全に与えるためにはいくつか守るべきルールがあります。

特に年齢や体調によっては健康を害するリスクがあるため、以下の点を必ず確認しておきましょう。

1歳未満の子犬には絶対NG!ボツリヌス菌の危険性

生後12か月未満の子犬には、ボツリヌス菌芽胞による中毒のリスクがあるため絶対にはちみつを与えてはいけません。

腸内環境が未成熟な子犬が摂取すると、重篤な神経麻痺を引き起こす可能性があります。

肥満・糖尿病の犬にははちみつNG

はちみつは糖質が多くカロリーも高いため、肥満傾向にある犬や糖尿病を患っている犬には与えないほうが安全です。

持病がある場合や体重管理が必要な犬の場合は、獣医師に相談してから与えるかどうか判断しましょう。

初回は少量から!アレルギー反応を確認

はちみつには花粉が含まれており、花粉に対してアレルギーのある犬は症状が出る可能性があります。初回はごく少量を与え、食後の様子をよく観察しましょう。

嘔吐や下痢、皮膚のかゆみなどの異変が見られた場合はすぐに中止し、獣医師に相談してください。

食後の歯磨きで虫歯・歯周病を防ぐ

糖分の多いはちみつは犬の歯に付着しやすく、歯垢や歯石の原因になります。与えた後は歯磨きシートで歯を拭くなど、口腔ケアを念入りに行い歯周病リスクを軽減しましょう。

人工甘味料入りは危険!純粋はちみつを選ぶ

人工甘味料のキシリトールは犬にとって猛毒で、少量でも命に関わる低血糖や肝不全を引き起こします。必ず純粋な天然のはちみつを選び、成分表示を十分に確認してください。

まとめ

スプーンから食べ物をもらっている犬

健康な成犬なら、適量のはちみつを与えることは問題ありません。はちみつに含まれる糖質は効率的なエネルギー源となり、微量のビタミンやミネラル、酵素には健康維持を補助する働きもあります。

ただし、1歳未満の子犬はボツリヌス菌感染リスクがあり絶対に与えないでください。肥満や糖尿病の犬にも推奨できません。

初回は少量を与えてアレルギー症状の有無を確認し、適切な量を守りながらおやつとして上手に活用しましょう。

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