犬に昆布を与えても大丈夫?栄養メリットと体重別の適量、注意点を解説

犬に昆布を与えても大丈夫?栄養メリットと体重別の適量、注意点を解説

犬に昆布を与えても大丈夫?そんな疑問に答えます。昆布が持つ栄養素や犬へのメリット、体重別の具体的な適量(小さじ何杯?)から、ヨウ素過剰やアレルギーといった危険性・注意点まで詳しく解説。正しい与え方を知って、愛犬の健康管理に役立てましょう

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

犬に昆布を与えても大丈夫?

食器からごはんを食べている犬

結論からお伝えすると、基本的には犬は昆布を食べても問題ありません。ただし、与える際に注意が必要です。

与える際は「味付けされていない昆布」や「昆布から取った出汁」を、適量かつ適切な方法で与えるようにして下さい。

理由として、昆布には「ヨウ素」や「塩分」など、過剰摂取すると健康に悪影響を及ぼす成分も含まれているためです。そのため、健康な犬でも、日常的に昆布を摂取させる場合は慎重になる必要があります。

基本的には薄めた出汁を少量、トッピングや飲み水への風味付け程度で与える方法が望ましいです。

特に注意が必要なケースとして、甲状腺疾患や心臓・腎臓疾患の持病がある犬、薬や療法食を使用している犬の場合は、必ず事前にかかりつけの獣医師に相談しましょう。

また、初めて昆布を与える際は、体調や便の様子を数日間よく観察し、少しでも異変が見られた場合は、与えるのを中止して動物病院を受診してください。

昆布に含まれる栄養素と犬への影響

ざるの上にのせられた乾燥昆布

昆布には、犬の体に必要なさまざまな栄養素が含まれています。ただし、栄養成分の特性や摂取量によっては犬に良い影響だけでなく注意が必要な場合もあります。

ここでは、昆布に含まれる代表的な成分と、その成分が犬の体にどのような作用を及ぼすかを解説します。

水溶性食物繊維

昆布のぬめり成分にはアルギン酸やフコイダンといった水溶性食物繊維が多く含まれています。これらは腸内で善玉菌のエサとなり、腸内環境を整えるサポートをする可能性があります。

適量であれば便通の改善や維持に役立ちますが、摂りすぎると消化不良や下痢を引き起こす場合があります。

ミネラル

昆布には、カルシウム、カリウム、マグネシウム、鉄などのミネラルが豊富に含まれています。これらは骨や歯の健康維持、神経伝達や水分バランス調整に重要な役割を持ちます。

ただし、特定のミネラルを過剰に摂取すると、かえって健康に悪影響を及ぼすことがあるため、量には注意が必要です。

ヨウ素

ヨウ素は甲状腺ホルモンをつくるために不可欠なミネラルで、エネルギー代謝や成長を支える重要な役割を果たしています。

しかし、昆布は非常に多くのヨウ素を含むため、犬が過剰に摂取すると甲状腺機能の異常を引き起こす恐れがあります。与える場合は必ず少量にとどめ、持病がある犬には自己判断で与えないようにしましょう。

ビタミンK・ビタミンB群

昆布には、血液の正常な凝固や骨の健康に関わるビタミンK、エネルギー代謝を助けるビタミンB群も含まれています。

これらは犬の健康維持に役立つ可能性がありますが、総合栄養食のドッグフードを与えている場合は不足することが少ないため、補助的な位置づけで考えるのが適切です。

犬に昆布を与えるメリット

お腹を見せながら横になってくつろいでいる犬

  • 腸内環境の改善・便通の安定化
  • 免疫機能のサポート
  • 皮膚・被毛の健康維持
  • ミネラル・ビタミン類の補助的摂取
  • フードや飲み水への嗜好性向上

昆布を犬に適切に与えることで、腸内の善玉菌を増やし、便通が改善される可能性があります。また、フコイダンに代表される水溶性食物繊維が免疫機能をサポートする可能性も示唆されています。

昆布に含まれる多様なミネラルやビタミン類を摂取することで、皮膚や被毛の健康維持にも寄与する場合があります。加えて、昆布の持つ自然な風味が、普段のフードや飲み水への嗜好性を高め、食欲改善にも繋がる場合があります。

ただし、あくまで栄養補助として少量を活用し、過剰摂取にならないよう注意が必要です。

犬に昆布を与える際の量の目安

乾燥昆布の粉末をスプーンですくっている様子

昆布は栄養価が高い一方で、過剰摂取によるリスクもあるため、以下を参考に適量を守って与えましょう。基本的には毎日与えず、週に1~2回程度を目安としてください。

犬の体重目安 1日の摂取目安量(乾燥昆布) 具体的な与え方
超小型犬(~5kg) 0.05g未満 ごく薄い出汁を数滴程度
小型犬(~10kg) 0.1g程度 薄めた昆布出汁を小さじ1/4杯程度まで
中型犬(~25kg) 0.2g程度 薄めた昆布出汁を小さじ1/2杯程度まで
大型犬(25kg~) 0.3g程度 薄めた昆布出汁を小さじ1杯程度まで

昆布は個体差が大きいため、初めて与える場合はさらに少量から始め、必ず犬の体調や便の状態をよく観察してください。特に子犬、シニア犬、持病を持つ犬に昆布を与える場合は、事前に獣医師に相談することが重要です。

犬に昆布を与える際の注意点

獣医師に聴診されながら伏せる体調が悪そうな犬

犬に昆布を与える場合、注意すべきいくつかの重要なポイントがあります。以下の項目を守り、安全に昆布を活用しましょう。

過剰摂取は甲状腺の異常を引き起こす

昆布に含まれるヨウ素は犬にとって必須ミネラルですが、摂取量が多すぎると甲状腺ホルモンのバランスが崩れ、機能低下症などの疾患を引き起こすリスクがあります。

特に甲状腺に持病がある犬への自己判断での給餌は避け、必ず獣医師に相談しましょう。

塩分が多い加工昆布はNG!

人間向けの昆布加工品(おしゃぶり昆布、塩昆布、佃煮、昆布茶など)は塩分や調味料が過剰に含まれており、犬には絶対に与えないでください。

塩分の過剰摂取は心臓や腎臓に大きな負担をかけます。犬に与える場合は必ず無添加で味付けされていない乾燥昆布や出汁のみを使用しましょう。

昆布の膨張による消化管閉塞リスクがある

乾燥した昆布をそのまま与えると、胃や食道で水分を吸収し膨張するため、消化管閉塞を引き起こす恐れがあります。与える場合は、粉末状にした昆布か、薄めの出汁に加工して使用してください。

初めて与える際のアレルギーチェックが必要

犬が初めて昆布を口にする場合、少量から始めてアレルギー症状(嘔吐・下痢・かゆみ・皮膚の赤み・顔の腫れなど)が起こらないか、よく観察しましょう。

万が一これらの症状が現れた場合はすぐに昆布の給餌をやめ、獣医師の診察を受けてください。

子犬・シニア犬・持病犬は獣医に要相談

昆布を与えることによる影響は犬の年齢や健康状態によって異なります。特に、甲状腺疾患、心臓病、腎臓病、結石症などの持病を抱えている犬、消化器官が未発達の子犬、体調が変化しやすいシニア犬への給餌は、必ず獣医師に確認を取ってからにしましょう。

まとめ

昆布の出汁が入ったボトルやグラス

犬に昆布を与える場合は、必ず味付けされていない乾燥昆布や薄めた出汁を少量だけ使用し、頻度も週に数回程度に抑えましょう。

昆布には水溶性食物繊維やミネラル類など健康維持に役立つ成分が含まれており、腸内環境の改善や皮膚・被毛の健康維持に役立つ可能性があります。

しかし、昆布に豊富なヨウ素や天然塩分は過剰摂取すると甲状腺機能低下症や心臓・腎臓疾患などの原因になり、昆布そのものを大きく与えると消化管閉塞を起こす危険性もあります。

子犬やシニア犬、持病のある犬に与える際は、必ず獣医師の許可を得て慎重に行ってください。

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