人間用の魚肉ソーセージを犬に与えてはいけない理由
魚肉ソーセージは人間にとって身近な食品ですが、犬にそのまま与えるのは避けるべきです。人間用に作られた製品には犬の健康に悪影響を及ぼす成分が複数含まれ、誤って与え続けると深刻な健康トラブルを引き起こす可能性があります。
ここでは特に注意すべきリスクを解説します。
塩分過多で内臓障害リスク
人間用の魚肉ソーセージには美味しさを引き立てるために多くの塩分が使われています。犬が塩分を大量に摂取すると心臓や腎臓に負担がかかり、高血圧や慢性的な腎疾患の原因になる危険があります。
特に体が小さい犬や高齢犬、持病がある犬は影響を受けやすく、健康被害を受けるリスクが高まります。
玉ねぎ中毒で深刻な貧血に
魚肉ソーセージの一部には風味づけとして玉ねぎエキスが使われていることがあります。玉ねぎに含まれる成分は犬の赤血球を破壊し、重度の貧血や呼吸困難、血尿など深刻な症状を引き起こします。
加熱処理されても有害性は消えず、少量でも体重1kgあたり5g前後から中毒症状が報告されています。製品に「玉ねぎ」「オニオンエキス」と記載されている場合は、絶対に与えないよう注意が必要です。
包装誤飲で命に関わる事故も
魚肉ソーセージを包んでいるフィルムや留め具(クリップやプラスチックキャップ)を犬が誤飲する事故が頻繁に起きています。
これらの包装物は犬の消化管に詰まり、腸閉塞や内臓損傷を引き起こし、最悪の場合は緊急の開腹手術が必要になることもあります。安全のため、人間用の魚肉ソーセージは犬の届かない場所に保管しましょう。
魚肉ソーセージに含まれる成分が犬に及ぼす影響
人間用の魚肉ソーセージには、人間が美味しく食べられるよう工夫された成分が多く含まれていますが、これらは犬の体にとって健康リスクの原因になる場合があります。
飼い主が特に注意したい成分と、その摂取によって犬の健康にどのような悪影響が出るのかを具体的に見ていきましょう。
香辛料
人間用の魚肉ソーセージには胡椒などの香辛料が使われることが一般的ですが、犬の胃腸は刺激に敏感であるため、香辛料を摂取すると嘔吐や下痢などの消化器症状を引き起こす場合があります。
慢性的に与え続けると胃腸炎を繰り返し、体力の低下や栄養吸収障害に発展する恐れがあります。
小麦・卵
魚肉ソーセージにはつなぎとして小麦や卵、大豆が使用されていることがあります。これらは犬がアレルギー反応を起こしやすい原材料であり、継続的に摂取すると皮膚のかゆみや炎症、脱毛、慢性的な下痢などのアレルギー症状を引き起こすことがあります。
特に敏感な犬の場合は少量でも症状が出るケースがあるため注意が必要です。
糖質・脂質
一般的な魚肉ソーセージ(100gあたり約150kcal)は犬にとって高カロリーな食品です。おやつとして頻繁に与えると、運動量の少ない室内犬や小型犬を中心に肥満を招きやすくなります。
肥満が進行すると関節炎などの重大な健康問題に発展するリスクがあるため、肥満傾向が見られたら早期に食習慣の見直しが必要です。
与えるなら犬用の魚肉ソーセージを選ぶ
愛犬が魚肉ソーセージを欲しがる場合には、人間用ではなく必ず犬用として販売されている製品を選びましょう。
犬用の魚肉ソーセージは犬の健康に配慮して作られており、人間用の製品と比べて成分や安全性が大きく異なります。具体的な違いと、犬用ソーセージを選ぶ際に注目したいポイントを以下にまとめました。
犬用は塩分控えめで安全性が高い
犬用の魚肉ソーセージは、人間用と比べて塩分や脂肪分が大幅に抑えられています。AAFCO(米国飼料検査官協会)の基準に準拠し、犬が必要とする栄養素を適切なバランスで配合しているため、心臓や腎臓に余計な負担をかける心配が少なくなります。
香辛料・玉ねぎエキス不使用で安全
犬用として作られた魚肉ソーセージは、犬の消化器を刺激する胡椒などの香辛料や、犬にとって中毒の原因となる玉ねぎエキスを使用していません。犬の体質を考えて開発されているため、安心して与えることができます。
犬用はアレルゲンフリー設計
犬用魚肉ソーセージの多くは、小麦や大豆などのアレルゲンを使用せず、シンプルな魚のすり身や低アレルゲン食材を主原料としています。
特に食物アレルギーが気になる犬にも比較的安心して与えることが可能です。購入時には必ず原材料を確認し、愛犬の体質に合ったものを選びましょう。
犬用の魚肉ソーセージを与える際の注意点
犬用の魚肉ソーセージであっても、与え方を誤ると健康トラブルにつながる場合があります。安全に愛犬が楽しめるよう、具体的なポイントを押さえておきましょう。
与える際は包装を必ず除去
犬用の魚肉ソーセージでも包装フィルムや留め具は犬の消化器官に詰まり、重大な事故の原因となります。与える際には必ず飼い主が包装を完全に取り除き、中身のみを犬に与えるように徹底しましょう。
小さく切って窒息事故を防止
犬が喜ぶからといって丸ごと一本をそのまま与えると、喉に詰まらせる危険があります。特に小型犬や食べる勢いが強い犬には、一口で飲み込めるサイズに小さくちぎるかスライスして与えることで、窒息事故を防ぐことができます。
おやつは摂取カロリーの10%までに抑える
犬用魚肉ソーセージは主食ではなくおやつです。与える量は1日に必要な総摂取カロリーの10%以内が適量です。
例えば、体重5kgの避妊・去勢済み成犬の場合、1日の目安カロリーは約330kcal(安静時エネルギー要求量×1.6)です。そのため、おやつとしては33kcal以内に収めるのが理想です。製品パッケージの給与量目安を確認し、与えすぎを防ぎましょう。
まとめ
人間用の魚肉ソーセージは塩分や脂質が高く、犬に有害な玉ねぎエキスや香辛料、アレルゲンを含む可能性があるため与えてはいけません。また、包装の誤飲による消化管損傷や腸閉塞など物理的なリスクも伴います。
どうしても与えたい場合は、犬専用に作られた低塩分・低脂肪で安全性に配慮した製品を選びましょう。与える際は包装を完全に取り除き、窒息防止のため小さく切り、1日のカロリーの10%以内に抑えるなど、適切な管理が重要です。