【獣医師監修】犬は手羽先を食べても大丈夫?骨は危険?安全な与え方と注意点、与えるメリットまで徹底解説

【獣医師監修】犬は手羽先を食べても大丈夫?骨は危険?安全な与え方と注意点、与えるメリットまで徹底解説

犬に手羽先を与えても大丈夫?肉の部分の栄養と安全な与え方を解説します。骨や生がNGな理由、アレルギーなどの注意点、犬の体重に合わせた適量を網羅。正しい知識で安心して与えたい飼い主さんは必見です。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

犬は手羽先(肉部分)を食べても大丈夫!

口元を舐めながら上を見上げる空腹の犬

手羽先(肉部分)は犬に与えても大丈夫な食材です。良質なタンパク質が豊富で、適切に調理すれば愛犬の健康維持に役立つおやつになります。

ただし、与える際にはいくつかの重要なルールを守る必要があります。この記事では、手羽先に含まれる栄養素から、安全な与え方、注意点までを詳しく解説します。

手羽先に含まれる栄養素と犬への健康効果

まな板の上に並べられた生の手羽先

手羽先の肉部分には、犬の体づくりに欠かせない栄養素がバランス良く含まれています。主な栄養素と、それが愛犬にもたらす健康効果について見ていきましょう。

タンパク質

タンパク質は、犬の筋肉、皮膚、被毛、内臓など、体を作るための基本的な構成要素です。手羽先に含まれる動物性タンパク質は、体内で効率よく利用され、健康な筋肉の維持やエネルギー源として重要な役割を果たします。

特に活動的な柴犬やボーダー・コリーなどの犬種にとっては、しなやかで力強い体づくりをサポートします。

コラーゲン

コラーゲンは、皮膚や関節、軟骨などを構成するタンパク質の一種です。手羽先の皮の部分に特に多く含まれており、摂取することで皮膚の弾力や潤いを保ち、美しい被毛の維持を助ける効果が期待できると言われています。

関節の健康が気になるシニア犬や、トイ・プードルのような被毛のケアが大切な犬種にも嬉しい成分です。

脂質

脂質はタンパク質と並ぶ重要なエネルギー源であり、細胞膜の構成や脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)の吸収を助ける働きがあります。手羽先の脂質は、犬にとって効率の良いエネルギーとなり、活発な毎日をサポートします。

ただし、与えすぎは肥満や膵炎、高脂血症の原因になるため、適量を守ることが大切です。

ビタミンB群

手羽先には、ビタミンB群が豊富に含まれています。ビタミンB群は、食事から摂った栄養素をエネルギーに変える「代謝」という働きをサポートする補酵素として機能します。これにより、愛犬が元気に活動するためのエネルギーを効率的に生み出す手助けをします。

犬に手羽先を食べさせる際の与え方

手羽先が入った食器を見つめる犬

手羽先は栄養豊富な食材ですが、与え方を間違えると大きな事故につながる可能性があります。愛犬の安全を守るため、必ず以下のルールを守って与えてください。

「生の手羽先」を与えるのはNG

生の鶏肉には、サルモネラ菌やカンピロバクターといった食中毒の原因となる細菌が付着している可能性があります。これらの菌は犬に対しても重い嘔吐や下痢、発熱などの症状を引き起こすことがあり、特に免疫力の低い子犬やシニア犬にとっては命に関わる危険性も否定できません。

人間用の食品であっても、犬に与える際は絶対に生の状態であげないでください。

「手羽先の骨」は外して与える

加熱した鶏の骨は、噛み砕いた際に縦に裂けやすく、先端が鋭利な形状になります。この尖った骨の破片が、犬の口の中や食道、胃、腸などの消化器官を傷つけ、深刻な怪我を引き起こす原因となります。また、喉に詰まらせて窒息するリスクも非常に高く危険です。

手羽先を与える際は、必ず加熱後に骨を丁寧に取り除き、肉の部分だけを与えるように徹底してください。

「手羽先の肉」部分は火を通して与える

前述の通り、食中毒のリスクを避けるために、肉の部分は必ず加熱する必要があります。調理方法としては、油を使わずに茹でるか蒸すのが最適です。焼く場合は、焦げ付いた部分は犬の消化に負担をかける可能性があるため、取り除いてから与えましょう。

もちろん、人間用の塩、こしょう、タレなどの味付けは一切不要です。素材そのものの風味で、犬は十分に喜んでくれます。

犬に手羽先を与える際の量の目安

飼い主の手から鶏肉の欠片をもらっている犬

手羽先は栄養価が高い反面、カロリーも比較的高いため、与えすぎは肥満につながります。おやつや食事のトッピングとして与える場合、その量は1日に必要な総摂取カロリーの10%以内を目安にしましょう。

手羽先1本(約50g)の可食部(肉と皮)のカロリーは約90~100kcalです。例えば、体重5kgの健康な成犬(トイ・プードルやミニチュア・ダックスフンドなど)の場合、1日に必要なおやつのカロリーは約30kcal〜40kcalが目安となります。これは、手羽先の肉部分のおよそ3分の1から半分弱に相当します。

愛犬の体重や運動量、年齢によって適切な量は異なります。主食であるドッグフードの量を少し減らすなどして、1日の総カロリーを調整しながら与えることが重要です。

犬に手羽先を与える際の注意点

食器のそばで悲しそうな表情のまま伏せる犬

安全に与えるための調理法や量以外にも、いくつか注意すべき点があります。

アレルギーに注意する

鶏肉は、犬にとってアレルギーの原因(アレルゲン)となることがある食材の一つです。初めて手羽先を与える際は、まず少量(指先でつまめる程度)から試し、食後に皮膚を痒がる、下痢や嘔吐をするなどの異変がないか、数日間は注意深く様子を観察してください。

もしアレルギーが疑われる症状が見られた場合は、すぐに与えるのをやめて動物病院を受診しましょう。

味付けは絶対にしない

人間用に調理された手羽先は、塩分や糖分、香辛料が過剰に含まれています。これらは犬の腎臓や心臓に大きな負担をかけるだけでなく、玉ねぎやニンニクといった犬にとって中毒となる成分が含まれているタレも多いため、絶対に与えないでください。調理する際は、何も加えないことが大原則です。

喉に詰まらせないように小さくする

骨を取り除いた後も、肉の塊が大きいと、特に早食いの癖がある犬やチワワのような体の小さな犬は喉に詰まらせてしまう危険があります。安全のために、肉は手で細かくほぐしたり、キッチンバサミで小さくカットしたりしてから与えるようにしましょう。

持病のある犬には与える前に獣医師に相談する

腎臓病や膵炎、心臓病などの持病がある犬の場合、タンパク質や脂質の摂取量を制限する必要がある場合があります。手羽先はこれらの栄養素が豊富なため、自己判断で与えることは病状を悪化させる可能性があります。

持病のある犬や、食事療法中の犬に与えたい場合は、必ずかかりつけの獣医師に相談し、許可を得てからにしてください。

まとめ

フードが入った食器を差し出す飼い主とおねだりする犬

手羽先の肉部分は、正しく調理すれば犬にとって美味しく、栄養満点のおやつになります。重要なポイントは、「加熱する」「骨は必ず外す」「味付けはしない」「適量を守る」の4つです。

これらのルールを徹底し、アレルギーや愛犬の体調にも十分配慮しながら、食事の時間をより豊かで楽しいものにしてあげましょう。飼い主さんの少しの手間が、愛犬の健康と安全を守ります

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