犬はからあげを食べても大丈夫?
好きなおかずランキングでは、常に上位に選ばれる「からあげ」。美味しそうな匂いがする「からあげ」は、犬にとっても魅力的に見えるでしょう。
鶏のからあげを食べている時に、愛犬にねだられたという経験をした飼い主さんも多いのではないでしょうか?
結果を言うと、犬にからあげを与えることはおすすめしません。
ただ、犬に与えるのは良くないと気を付けていても、ちょっと目を離した隙に、テーブルに置いてあったからあげを愛犬が食べてしまった!ということは、多かれ少なかれあることです。
特に、お誕生日やクリスマスなどのイベントで、食べ終わったフライドチキンを骨を、ゴミ箱から出して食べてしまった!という事故は意外にも多いです。
からあげは極少量であれば、すぐに命に危険が及ぶものではないため、しばらく様子を見ても大丈夫ですが、からあげを作る際に使われた、調味料やからあげの骨が犬の体に様々な影響を及ぼすこともあります。
犬にからあげを食べさせてはいけない理由
鶏のからあげを作る時の様子を、少し思い浮かべてみてください。甘塩っぱいタレにしっかりと漬け込んで味付けをし、小麦粉をたっぷりと付けて油で揚げる。
人間にとっても、油分や塩分、カロリーの多さが気になるものですよね。それらが犬の体に悪影響を及ぼす危険があります。
油分が多く膵臓に大きな負担がかかる
からあげは調理の際、油で揚げるため、かなり油分の多い料理です。人間でも、一度にたくさん油っぽいものを食べると、胃もたれを起こすことがありますよね。
犬にとっては、からあげ一個でもかなりの油分になります。一度にたくさの油分を摂取してしまうと、消化不良を起こし、突然の嘔吐や下痢、胃腸炎を起こすことがあります。
また、膵臓にも過度な負担がかかります。油分は、主に胃液ではなく、膵臓で作られる強力な消化酵素『膵液』によって消化されます。一度に多くの油分を摂取すると、消化のために、膵液を大量に分泌するため、膵臓が酷使されます。
そして、この膵液にはタンパク質を溶かす作用もあり、膵臓に過度な負担がかかると、膵臓そのものを溶かしてしまうこともあります。これによって、膵臓が炎症を起こし『膵炎』を引き起こします。
膵炎は重症化すると、膵臓周辺の臓器にもダメージを与え、最悪の場合は死に至る危険もあります。
からあげのタレが危険!
鶏のからあげを美味しく作るためには、からあげのタレが欠かせません。ですが、このタレには、砂糖や塩、香辛料など、ざまざまな食材が使われています。
からあげをより美味しく作るため、タレににんにくを使うことも多いですか、このにんにくが犬にとって危険なのです。
犬がにんにくを食べると『溶血性貧血』といって、血中の赤血球が破壊され、下痢や嘔吐、血尿、貧血を起こし、命に関わる中毒を引き起こす危険があります。
そして、にんにくの厄介なところは、これらの症状が食べた直後ではなく、数日後に現れることもあることです。食べた直後は何でも無かったのに、数日後に貧血症状を引き起こすといったこともあります。
また作り方にもよりますが、からあげは塩分も高く、1個で0.4g前後の塩分があると言われています。
成犬の場合、1日のナトリウム摂取量の目安は体重1kgに対しておおよそ50mgと言われています。これを食塩に換算すると、0. 127g。体重5kgの犬の場合、1日の塩分摂取量の目安は0.635gになります。
塩分は生命維持に欠かせないものですが、犬にとって鶏のからあげは、塩分が高すぎるため、たった一個食べてしまっただけで、あっという間に塩分過多になってしまいます。
塩分の過剰摂取は、腎臓や心臓に悪影響を及ぼし、腎臓疾患や心臓疾患のある犬の症状を悪化させる、といった危険もあります。
からあげの骨が食道や胃腸を傷つける可能性がある
フライドチキンなど、からあげには骨つきのものもありますね。『鳥の骨は縦に割れて胃腸に刺さるから危ない!』という情報を見聞きしたことがある方も多いのではないでしょうか?
加熱した鳥の骨はもろく、縦に割れやすくなります。縦に割れると先端が細く鋭くなるため、食道や胃腸に刺さったり、傷付けてしまったりする危険があります。
〈高温で調理された骨であれば危険性は下がる〉
上記で述べたように、からあげの骨は与えない方が良いと言われてきました。
ですが、高温で調理された鳥の骨は、さらにもろくなって崩れるため、縦に割れる危険性は下がります。鳥の骨はコラーゲンやカルシウムといった、犬にとってうれしい栄養素も含まれています。
こういった理由から、最近では鳥の骨を与える飼い主さんも多くいます。しかし、そもそも油で揚げる高温調理は、犬には油分の過剰摂取に繋がるためおすすめできません。
また、高温で安全に調理された骨であっても、日頃ドッグフードしか食べていない犬が、急に骨を食べると消化不良を起こすこともあります。
犬がからあげを食べた時の対処法
故意ではなくても、愛犬が誤って鶏のからあげを食べてしまった場合は、慌てずに落ち着いて対処しましょう。
食べた量を把握する
愛犬がからあげを食べてしまった場合、どの程度食べたかをすぐに確認しましょう。食べた量が多いほど、塩分の過剰摂取による悪影響やニンニクによる中毒症状、消化不良といった体調不良を起こしやすくなります。
大量に食べてしまった場合は、すぐに動物病院に連れ行くのが望ましいです。また、塩分の過剰摂取は腎臓や心臓に負担がかかるため、腎臓疾患や心臓疾患のある犬の場合は、少量であっても一度病院で診てもらうようにしましょう。
愛犬の様子を観察する
夜で病院がやってなかったり、食べた量が少量だったりした場合は、しばらく様子を見ましょう。
- 嘔吐や下痢をしてないか
- 元気がなく、ぐったりしてないか
- 血便をしてないか
といったことに注意しましょう。
また、にんにくによる中毒症状は時間が経ってから現れることもあり、からあげを食べてから数日後に『血尿』や『貧血によるふらつき』が現れるといった可能性も考えられます。
にんにく入りのからあげを食べてしまった場合は、愛犬の様子をより注意深く観察して、少量であってもなるべく早めに病院に行きましょう。
からあげの骨を食べてしまった場合
愛犬がからあげの骨を食べてしまった場合、高温で調理されていれば縦に割れる危険は少ないと言われますが、絶対に大丈夫とはいえません。
また、日頃から骨を食べていない犬であれば、消化不良を起こしたり、嘔吐や下痢をしたりすることもあります。
犬の胃酸は、鶏の骨も1〜2時間程度で消化してしまうほど強力と言われていますが、消化不良を起こすと数時間〜数日後に嘔吐や下痢といった症状が現れることもあります。
からあげの骨を食べてしまったら、2〜3日は愛犬の様子を観察しておくと良いでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?子供から大人まで大好き、お弁当やおかずにぴったりの鶏のからあげは、犬にとっても美味しそうに見えるものです。
愛犬にかわいくおねだりされると、ほんのちょっとなら…とついあげたくなったり、気を付けていたのに、ちょっとした隙に食べられてしまった!ということもあるかも知れません。
人間が食べるために味付けや調理されたものは、犬にとっては塩分や油分、カロリーが高すぎたり、犬にとって危険な食材が使われていたりすることもあります。
故意でなくても、愛犬がからあげを食べてしまった場合は、落ち着いて愛犬の様子を観察して、適切な対処をしてあげてくださいね。