【獣医師監修】犬はマシュマロを食べても大丈夫?NGな理由と健康リスク、誤食の対処法まで解説

【獣医師監修】犬はマシュマロを食べても大丈夫?NGな理由と健康リスク、誤食の対処法まで解説

犬にマシュマロを与えるのは危険です。糖分による肥満や虫歯、アレルギーのほか、命に関わる窒息のリスクも。キシリトール入りの危険性や、万が一食べてしまった際の緊急対処法を解説します。愛犬の安全のために飼い主さんが知るべき情報です。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

犬にマシュマロを与えないほうがいい

マシュマロが入った器に体を乗せている子犬

結論として、犬にマシュマロは与えないようにしましょう。一般的なマシュマロには、チョコレートや玉ねぎのように、犬が少量食べただけで中毒を起こすような成分は基本的には含まれていません。

しかし、犬の健康を考えると、与えることには多くのリスクが伴います。甘くてふわふわした食感は犬にとっても魅力的に映るかもしれませんが、その成分や形状が思わぬトラブルを引き起こす可能性があるのです。

また、商品によっては、まれに「キシリトール」という中毒を引き起こす甘味料が使われている場合もあります。愛犬の健康と安全を守るためには、人間のためのお菓子であるマシュマロは避けるべきです。

マシュマロの成分と犬への健康効果

木の器に盛られたマシュマロ

市販のマシュマロは、非常にシンプルな材料から作られています。しかし、その成分は犬の体にとって有益なものとは言えません。犬の健康にどのような影響があるのか、主な成分ごとに見ていきましょう。

砂糖・水あめ・ぶどう糖果糖液糖

マシュマロの主成分であり、その甘さの源です。これらは糖質であり、犬にとってもエネルギー源にはなります。

しかし、犬が総合栄養食のドッグフードから必要なエネルギーを十分に摂取している場合、これらは過剰なカロリーとなります。犬にとって健康上のメリットは全くなく、むしろ様々なリスクを高めるだけの成分と言えます。

ゼラチン

ゼラチンは、動物の骨や皮に含まれるコラーゲンから作られるタンパク質の一種です。犬が食べても特に害はありませんが、マシュマロに含まれる量で健康効果が期待できるわけではありません。

犬の関節の健康などを考えるのであれば、専用のサプリメントや適切な食事から栄養を摂取させることが重要です。

卵白

製品によっては、ふわふわとした食感を出すために卵白が使用されることがあります。卵白はタンパク質ですが、犬によってはアレルギーの原因となるアレルゲンになる可能性があります。

卵アレルギーを持つ犬に与えてしまうと、皮膚のかゆみや消化器症状などを引き起こす危険性があります。

キシリトール(※特に注意)

一部のシュガーレスや低カロリーを謳ったマシュマロには、甘味料としてキシリトールが使用されていることがあります。このキシリトールは、犬にとっては極めて毒性の高い物質です。

ごく少量でも摂取すると、インスリンの過剰分泌を引き起こし、急激な低血糖に陥ります。最悪の場合、命に関わる深刻な事態を招くため、成分表示の確認は非常に重要です。

マシュマロを与えた場合に考えられる犬へのリスク

悲し気な表情で伏せている子犬

マシュマロを与えることには、健康上のメリットがないばかりか、具体的なリスクがいくつも存在します。ここでは、特に注意すべき3つのリスクについて解説します。

虫歯や病気のリスク

マシュマロの主成分である砂糖は、通常なら発症することが少ないはずの犬の虫歯を引き起こしたり、歯垢を蓄積させる原因となります。人間のように毎日歯を磨くことが難しい犬にとって、口の中に糖分が残ることは虫歯や歯周病のリスクを著しく高めます。

また、糖分の過剰摂取は肥満の直接的な原因です。肥満は、糖尿病や心臓病、関節炎といった様々な病気を引き起こす引き金となるため、日常的なカロリーコントロールは犬の健康寿命に直結します。

アレルギーを発症するリスク

前述の通り、マシュマロの材料である卵白やゼラチン、あるいは香料や着色料といった添加物が、アレルギーの原因物質(アレルゲン)となる可能性があります。

アレルギーを発症すると、体をかきむしるような強いかゆみ、皮膚の赤み、下痢や嘔吐といった症状が現れます。どの成分に反応するかは個体差が大きいため、安易に与えるべきではありません。

喉に詰まらせるリスク(窒息)

これがマシュマロを犬に与えるうえで最も恐ろしいリスクの一つです。マシュマロの持つ独特の弾力性と粘着性は、犬が噛み砕きにくく、喉や食道に詰まりやすい性質を持っています。

特に、トイ・プードルやチワワ、ポメラニアンのような体の小さな小型犬や、食べ物をよく噛まずに丸飲みする癖のある犬では、窒息の危険性が非常に高まります。

犬がマシュマロを食べてしまった際の対処法

飼い主になでられながら体調が悪そうにベッドで寝ている犬

万が一、目を離した隙に愛犬がマシュマロを食べてしまった場合は、まず落ち着いて状況を確認してください。食べた量、犬の様子、そして可能であればマシュマロのパッケージでキシリトールが含まれていないかを確認することが重要です。

アレルギーが疑われる症状が出た場合

  • 食後に体をかゆがる
  • 床に体をこすりつける
  • 顔や口の周りが赤くなる
  • 嘔吐や下痢をする

といった症状が見られた場合は、アレルギー反応の可能性があります。

症状が軽くても、まずはかかりつけの動物病院に連絡し、指示を仰ぎましょう。その際、「いつ」「何を」「どのくらいの量」を食べたのかを正確に伝えることが、スムーズな診断と治療につながります。

喉に詰まらせて呼吸が苦しそうな場合

  • 口を開けてゼーゼーと苦しそうにしている
  • よだれを大量に流す
  • 舌の色が青紫色になっている(チアノーゼ)

このような症状が見られる場合は、窒息のサインで一刻を争う緊急事態です。

すぐに動物病院へ向かう必要がありますが、移動中にもできる応急処置があります。まず、犬の口を開けてマシュマロが見えるか確認し、指で慎重にかき出します。ただし、慌てて奥に押し込まないよう注意してください。

取り出せない場合は、小型犬なら逆さにして背中を叩く、中型犬以上なら犬の後ろから両腕を回し、みぞおちあたりを力強く圧迫するハイムリック法を試みます。

これらはあくまで応急処置であり、処置が成功したように見えても、必ず動物病院で診察を受けてください。

まとめ

飼い主が手に持つマグカップのマシュマロに興味を示す犬

犬にとってマシュマロは、健康上のメリットが一切なく、肥満や虫歯、アレルギー、そして命に関わる窒息など、多くのリスクをはらんだ食べ物です。特に、甘味料としてキシリトールが使用されている製品は、犬にとって猛毒となります。

飼い主が美味しそうに食べていると、愛犬も興味を示すかもしれませんが、その可愛らしいおねだりに応えてはいけません。愛犬の健康と安全を守るため、人間のためのお菓子ではなく、犬のために作られた安全なおやつを選ぶようにしましょう。

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