犬はほうれん草を食べても大丈夫!
ほうれん草は、正しい与え方をすれば犬に与えても問題の無い食材です。栄養が豊富に含まれている一方で、与え方や量には注意すべき点も存在します。
この記事では、ほうれん草のメリットから、安全な与え方、そして注意が必要なリスクまでを詳しく解説します。愛犬の食事をより豊かにするために、正しい知識を身につけましょう。
犬に与えても問題の無いほうれん草の量
犬にほうれん草を与える際は、あくまで主食のドッグフードへの「トッピング」として、ごく少量に留めることが重要です。
具体的な量としては、下記を参考に与えましょう。
小型犬の場合
トイプードルやチワワなどの小型犬(体重5kg程度)であれば、茹でて細かく刻んだものをティースプーン1杯程度(約5g)が目安となります。
中型犬の場合
柴犬などの中型犬(体重10kg前後)ならティースプーン2杯程度に留めましょう。
大型犬の場合
大型犬であれば大さじ1杯程度までを目安とし、毎日のように与えるのではなく、時々のご褒美として活用するのが良いでしょう。
1日のカロリー量の目安
おやつやトッピングの量は、1日に必要な総カロリーの10%以内が原則です。与えすぎは栄養バランスの乱れや、後述するリスクを高める原因になります。
ほうれん草に含まれる栄養素と犬へのメリット
βカロテン(ビタミンA)
ほうれん草にはβカロテンが豊富に含まれています。βカロテンは犬の体内でビタミンAに変換され、皮膚や被毛の健康を維持する働きや、目の網膜の機能を正常に保つ効果が期待されます。また、抗酸化作用を持つため、細胞の老化を防ぎ、免疫力をサポートする役割も担っています。
鉄分
鉄分は、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンの主成分です。ヘモグロビンは体中に酸素を運ぶという重要な役割を担っており、鉄分が不足すると貧血の原因になります。ほうれん草から鉄分を摂取することで、健康的な血液の維持をサポートし、元気に活動するためのエネルギー作りを助けます。
ルテイン
ルテインは、目の網膜や水晶体に存在する抗酸化物質です。加齢とともに進行しやすい白内障や、網膜の機能低下を抑制する働きがあると言われています。特にシニア犬や、遺伝的に目の病気になりやすい犬種(例:シーズー、トイプードル)にとって、目の健康維持に役立つ栄養素です。
ビタミンK
ビタミンKは「止血ビタミン」とも呼ばれ、血液の凝固に不可欠な栄養素です。ケガをした際に出血が正常に止まるために重要な役割を果たします。健康な犬は体内でビタミンKを合成できますが、食事から補うことで、万が一の事態に備えることができます。
犬にほうれん草を与える際の注意点
「シュウ酸」は尿路結石を引き起こすリスクに
ほうれん草の最も注意すべき成分が「シュウ酸」です。シュウ酸はアクの成分であり、体内でカルシウムと結びつくと「シュウ酸カルシウム」という結晶になります。この結晶が腎臓や膀胱で固まると、「シュウ酸カルシウム結石」という種類の尿路結石を引き起こすリスクがあります。
健康な犬が適量を食べる分には大きな問題になりにくいですが、過剰に摂取したり、長期間にわたって与え続けたりすると、結石症のリスクを高める可能性があります。
腎臓や泌尿器に疾患がある場合は与えない
過去にシュウ酸カルシウム結石をはじめとする尿路結石症と診断されたことがある犬や、腎臓病を患っている犬には、ほうれん草を与えてはいけません。
これらの犬は、シュウ酸やミネラルを正常に排泄する能力が低下している可能性があり、症状を悪化させる危険性が非常に高いです。必ずかかりつけの獣医師に相談してください。
甲状腺機能に問題がある場合も注意が必要
ほうれん草には「ゴイトロゲン」という、甲状腺ホルモンの生成を阻害する可能性のある物質が微量に含まれています。
健康な犬であれば問題になることはありませんが、甲状腺機能低下症などの持病がある場合は、念のため与えるのを控えるか、獣医師に確認することをおすすめします。
犬に与えるほうれん草の調理法
細かく刻んで消化しやすくする
犬は植物の細胞壁を構成する繊維を消化するのが苦手です。茹でたほうれん草をそのまま与えても、栄養をうまく吸収できずに便として排出されてしまうことがあります。茹でた後は、消化吸収を助けるために、必ず細かく刻むか、ミキサーなどでペースト状にしてから与えましょう。
必ず加熱調理を行う
生で与えるのは絶対にやめましょう。犬にほうれん草を与える際は、シュウ酸を減らすために必ず茹でてアク抜きを行ってください。
シュウ酸は水に溶けやすい性質を持っています。ほうれん草をたっぷりの熱湯で1〜2分茹でてアク抜きをすることで、尿路結石のリスクを大幅に低減できます。茹で終わった後のお湯にはシュウ酸が溶け出しているため、必ず捨てるようにしてください。
炒める調理法は油分が多くなりがちで、シュウ酸も減らせないため避けましょう。
人間用の加工品は避ける
人間用に味付けされた冷凍のバターソテーや、おひたし、缶詰、スープなどは犬に与えないでください。これらには犬にとって過剰な塩分や糖分、油分、香辛料などが含まれており、腎臓への負担や肥満、消化器系の不調を引き起こす原因となります。犬に与える際は、味付けをせず、茹でただけのものを使いましょう。
まとめ
ほうれん草は、ビタミンやミネラルが豊富で犬の健康にメリットをもたらす可能性がある食材です。しかし、安全に与えるためには「必ず茹でてアク抜きをする」「細かく刻む」「ごく少量に留める」という3つのルールを守ることが不可欠です。
特に、尿路結石のリスクがあるシュウ酸は、茹でることで大幅に減らすことができます。腎臓や泌尿器に疾患のある犬には与えず、健康な犬でもトッピング程度の量にしましょう。正しい知識を持って、愛犬との食生活をより豊かに楽しんでください。