【獣医師監修】犬にししゃもは絶対NG!食べると危険な理由と対処法を解説

【獣医師監修】犬にししゃもは絶対NG!食べると危険な理由と対処法を解説

一見健康に良さそうな「ししゃも」。じつは犬に与えてると『危険』な場合も。骨の危険性や塩分・脂肪によるリスクなど、注意点が多数あります。この記事ではなぜ犬にししゃもがNGなのか?その理由から誤食時の対処法まで、獣医師監修の元わかりやすく解説します。

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記事の監修

2009年麻布大学獣医学部獣医学科を卒業。
2015年から横浜市内で妻と動物病院を営み、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を行なっています。
2024年現在、犬10頭、猫3頭、多数の爬虫類と暮らしています。
愛犬家、愛猫家として飼い主様に寄り添った診療を心がけています。
内科(循環器、内分泌など)、歯科、産科に力を入れています。

犬にししゃもはNG!与えてはいけない理由とは?

ししゃもはNGのイメージ画像

犬を飼っている方が「ししゃもを愛犬に与えても大丈夫なのか?」と疑問に思うことはよくあるでしょう。この問いに対する答えは、「おすすめできない」というのが結論です。

理由は、一見健康に良さそうに見えるししゃもに、犬にとって危険な要素が複数含まれているためです。

たとえば、ししゃもに含まれる骨や内臓の成分、塩分や添加物などは、犬の体には過剰な負担になることがあります。また、ししゃもは人間向けに加工されていることが多く、そのまま与えると思わぬ体調不良やケガを引き起こす可能性もあります。

こうした理由から、ししゃもを犬に与えるのは避けたほうがよいと考えられます。具体的なリスクについては、このあとの章で詳しくご紹介していきます。

犬がししゃもを食べたらどうなる?怪我や病気のリスク

具合の悪い犬

「犬がししゃもを食べても平気かな」と軽く考えてしまう方もいるかもしれません。

しかし、犬にとってししゃもは、思わぬ怪我や病気の原因になりかねない食べ物です。実際に起こりうるリスクについて解説します。

口の中や消化管を傷つける可能性がある

ししゃもに含まれる小さく鋭い骨は、犬の口腔内や消化管に深刻な損傷を与えることがあります。特に喉に引っかかった場合、激しく咳き込んだり、吐き出そうとして苦しむ様子が見られることがあります。

また、骨が食道を通り抜けて胃や腸まで到達した場合でも、内臓に刺さって炎症を引き起こすことがあるため注意が必要です。

  • 口の中に骨が刺さると痛みやよだれ、食欲不振の原因になる
  • 消化管に骨が刺さると嘔吐や血便などの症状が現れる
  • 小腸での詰まりは、手術を伴うケースも

こうしたトラブルは、ししゃもをたった一尾食べただけでも起こり得ます。

塩分や添加物による健康被害

市販のししゃもは塩分が高く、犬の体には適していません。特に人間の味覚に合わせて加工されたものは要注意です。犬が過剰な塩分を摂取すると、脱水症状や腎臓への負担が増し、重症化すると命に関わることもあります。

また、ししゃもに使われている保存料や香料などの添加物が、犬の体に合わずにアレルギー反応を起こすケースもあります。肌のかゆみや赤み、湿疹といった形で現れることが多く、慢性的な皮膚トラブルにつながる恐れもあります。

「脂肪」や「内臓成分」が胃腸に悪影響を与える

犬にとって脂肪分の多い食事は、膵炎や胃腸炎のリスクを高め、嘔吐や下痢を引き起こします。ししゃもには体脂肪のほか、内臓部分にも脂質が含まれているため、敏感な犬にとっては刺激が強すぎることも。胃腸の働きが安定していない子犬や高齢犬では、ほんの少量でも消化不良を起こす可能性があります。

このように、「犬 ししゃも」の組み合わせには様々なリスクが潜んでいます。愛犬の健康を守るためには、ししゃもを与えないという選択がもっとも安全だといえるでしょう。

犬がししゃもを食べてしまった場合の対処法

獣医に診察される犬

どれだけ注意していても、思わぬタイミングで犬がししゃもを口にしてしまうことがあります。そのようなときに慌てずに対応するために、基本的な対処法を知っておきましょう。

まずは食べた量と状態を確認する

犬がししゃもを食べてしまったことに気づいたら、最初に確認したいのは「どれくらい食べたか」と「ししゃもの状態」です。調理されたものであっても塩分が強ければ影響が出る可能性がありますし、生の状態や焼きすぎたものも別の問題を引き起こすことがあります。

  • 1尾丸ごと食べたのか、骨だけなのか
  • 塩分が強く味付けされたものかどうか
  • 消費期限切れのものか、異臭はないか

このような情報は、もし病院へ連れて行く必要が出た場合にも重要な判断材料になります。

すぐに症状が出ないか観察する

ししゃもを食べた直後は元気そうに見えても、しばらくしてから体調に異変が現れることがあります。食後の数時間から24時間程度は、犬の様子をしっかり観察してください。

  • 何度も吐く、下痢が止まらない
  • 口の中を気にして前足でかく
  • よだれが多く出ている、食欲がない
  • 呼吸が苦しそう、元気がない

こうしたサインが見られたら、すぐに動物病院に相談するのが賢明です。

症状がない場合でも油断しない

「何ともなさそうだから大丈夫」と思いたくなる気持ちはよくわかりますが、症状が表に出るまでに時間がかかるケースもあります。特に骨が内臓に刺さっているような場合、外見からはわかりにくいため油断は禁物です。

もし異物を飲み込んだ疑いがあるときや、食べたししゃもの量が多い場合には、念のため動物病院に連絡して指示を仰ぐと安心です。家庭でできる処置には限界がありますので、専門的な判断を仰ぐことが最終的に犬を守ることになります。

愛犬が誤ってししゃもを食べてしまったとき、正しい対応をすることで命に関わるような事態を避けることができます。落ち着いて状況を見極め、必要に応じてすぐに医療機関のサポートを受けるようにしましょう。

まとめ

聴診器を当てられる犬

愛犬にししゃもを与えても大丈夫かどうか、不安に思う飼い主さんは多いかもしれません。ですが、ししゃもは犬にとってさまざまな危険があるため、基本的には与えないのが安全です。

鋭く細かい骨が消化器官を傷つける危険性、内臓や卵に含まれる脂肪や消化しづらい成分、そして味付けによる塩分や添加物の影響など、見た目にはわかりにくい問題がししゃもには潜んでいます。

特に市販のししゃもは人間の味覚に合わせて加工されているものが多く、犬の体には不向きです。また、ししゃもには「カラフトししゃも」と「本ししゃも」という異なる種類があることも見逃せませんが、いずれのタイプであっても犬にとって安全とは言い切れません。

たとえ一度や二度、問題なく食べられたとしても、それが今後も安全である保証にはならないのです。

万が一、犬がししゃもを食べてしまった場合は、まず冷静に状況を確認し、症状が見られなくても一定時間は注意深く様子を見ることが求められます。少しでも不安があれば、早めに動物病院へ相談することが大切です。
飼い主ができる一番の思いやりは、愛犬が安心して食べられる環境を整えてあげることです。ししゃもに限らず、人間の食べ物を与えるときは、本当に大丈夫かどうかをその都度しっかり確認することが大切です。

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