犬にアルコールを飲ませてはダメ
犬には玉ねぎ、チョコレートは命に危険を及ぼす可能性があるので良くないと有名ですが、アルコールはどうでしょうか?
近年の新型コロナの予防で、どの家庭にもアルコールスプレーやウェットティッシュが置いてあるかと思います。犬の足の裏の消毒にとアルコールをかけていないでしょうか?
実はアルコールは犬にとって、最悪命を落とす危険なものの1つであり、知らなかったでは済ますことはできない常識なのです。
アルコールの危険な中毒症状
犬のアルコール中毒症状はアルコール摂取後30分ほどで現れます。
理由としては犬にはアルコールを分解する酵素を持ち合わせていないからです。アルコールが分解されないまま脳内に入り、体の機能を低下させ、呼吸器や、臓器、血管など全身に影響を与えます。
特に心肺機能が鈍くなっている時に寝てしまうと、そのまま死んでしまう可能性もあります。また、昏睡状態中に嘔吐して、嘔吐物が喉に詰まり死んでしまう事もあります。
「飼い主がロックの焼酎を飲んでいる時に寝てしまい、それを犬が誤って飲んで、起きたら犬が横で痙攣していた」という例もあります。
少ししか飲んでいなくても、小型犬にとっては大変な量のアルコールになり、体調に変化が現れる事もあります。
犬のアルコール中毒には以下のような症状があります。
- 嘔吐
- 昏睡
- 下痢
- 方向感覚の喪失
- 呼吸の乱れ
- よだれの量が増える
- 喉の渇き
- だるさ
- 震え
- 体温低下
- 低血糖
特に意識が朦朧(もうろう)としていたり、呼吸が弱い時は、命の危険に関わる緊急性が高いので、一刻も早く病院に連絡しましょう。
犬のアルコールによる致死量
犬にとってアルコールは体内で無害化できず、長時間滞在していまいます。例え人間にとっては少ない量でも致死量になります。
犬の体重1kgあたりアルコール5〜6mlの量でも致命的な量となります。小型犬の場合は特に注意をしないと少量でも致死量に達します。
他の種類のアルコールだと、犬の体重1kgあたり以下の量が致死量になってきます。
- ビール :約110ml
- 日本酒 :約37ml
- ワイン :約50ml
- ウィスキー:約14ml
※約37mlは大さじ2杯強ぐらいの量になります。
子犬の場合は、体の抵抗力も成犬に比べ弱い他、色々なものに興味を持ってしまうので、誤飲などしないように特に注意する事が大事です。
危険なものは犬の手が届かないところに置く事が対策の1つになります。
アルコールは飲み物、消毒液だけではなく、意外なところにも含まれています。ボディーウォッシュ類や、シュガーレスガム、ネイル落とし、香水、化粧水、加熱前のパンやピザなどです。
特に人間用のアルコール消毒には、ビールの約10倍以上のアルコールが含まれているとも言われます。
犬がアルコールを舐めたときの対処法
万が一、犬がアルコールを口にしてしまった場合、手遅れになる前に対処する必要があります。
人間と犬は体の作りが違うので、人間と同じように応急処置をしても効果がない可能性もあります。間違っても自己判断で吐かせることはしないようにしましょう。犬の体調の悪化を加速させる場合もあり、誤嚥(ごえん)の危険も伴います。
症状がすでに出ている場合は、インターネットなどで調べるよりも、早めに病院などの専門家にコンタクトをとるなどしましょう。
病院に連れて行く
飲んでしまった場合は、詳細がわかるほど適切な診断の助けになります。「いつ飲んだのか、量、アルコールの種類、度数など」を把握しておくと良いでしょう。
経過観察
アルコール消毒したところを少し舐めてしまった場合であれば、症状が出るかどうかをよく観察し、医師に見せた方が良い場合であれば病院に連れていきましょう。
犬にアルコールを飲ませてはいけない理由
近年では、新型コロナウイルス対策で家で飲んだりする機会も以前に比べ増えているかと思います。
飲んでいる横にかわいい愛犬がいたら、つい一口お酒を飲ませてしまったという人もいるかもしれません。また、コロナ対策のために足裏をウェットティッシュで拭いているという方もいるかもれません。
ほんの少しであっても、犬をアルコールに近づけることは命に関わるためおすすめされていません。
犬にはアルコールを分解する機能がない
人間がアルコールを飲んだ場合、アルコール脱水素酵素によりアセトアルデヒドに分解され、アセトアルデヒドはアルデヒド脱水素酵素により無害化されます。
しかし、犬はアルコールを分解する酵素や代謝系を持ち合わせていません。なので、体内にアルコールが分解されないまま長時間残り、体の様々な機能に悪影響を与えます。
犬の体に入ったアルコールは、胃や腸で吸収された後に分解できず、脳や中枢神経にあるバリア機能を簡単に通過し、脳に影響を与え酔った状態になります。
少量のアルコールでも致死量になる
犬のアルコール致死量は人間と比べるととても少ないです。
犬の大きさにもよりますが、日本で人気の小型犬の場合、アルコール致死量は体重1kgにつき5. 6mlと言われています。
イメージ的には、おちょこ1杯に18mlのアルコールが入るので、犬が一口舐めただけでも悪影響があります。人間からしたら味見程度の量ですが、犬にとっては致死量になります。
食事中にちょっと目を離したすきに、犬がアルコールを飲んでしまったり、アルコールを含む食べ物を食べてしまう事もあります。
犬にとって少量でも致死量となりますので、食事中であったり食べ物が犬の近くにあったりした時に席を外す際は、犬が食べ物に近づかないように細心の注意を払いましょう。
また近年の新型コロナ対策のため、家庭にアルコールティッシュやアルコール除菌を置いてある家庭も多いかと思います。消毒成分の中には、エタノールが入っていますので、掃除の後の使用済みのティッシュを誤飲しないように注意しましょう。
家庭内の消毒も気をつけなければいけません。アルコールが苦手な犬は臭いだけで酔ってしまったり、くしゃみをしたりします。消毒した後、犬が舐めていないか、体調をよく観察するようにしましょう。
盲点なのは飼い主が消毒した自分の手です。消毒してから手が乾くまでは、犬を触ったり、犬が手を舐めたりしないようにしましょう。
アルコールは皮膚からも吸収する
近年の新型コロナウイルス対策のために、家庭にアルコールティッシュやアルコール除菌を置いてある家庭も多いかと思いますが、犬に対してアルコールが含んだ製品を使用してはいけません。
また、アルコールを含んだ製品で散歩の後に足の裏を拭いたりすのるはやめましょう。乾いたと思っても、犬の毛にアルコールが残り、知らないうちに舐めている場合があります。
消毒用の製品は、お酒よりも強度の強いアルコールが使われています。
人間の赤ちゃん用のウェットティッシュは、アルコールの分量が少なめに作られています。アルコールが苦手な犬でも使用できますが、耳掃除や目やにを取る時には使用しないようにしましょう。
アルコールは、皮膚や粘膜から吸収してしまいます。できるだけノンアルコールの製品を使用する事をおすすめします。
どうしても消毒したい場合は、次亜塩素酸水の利用をおすすめします。次亜塩素酸水は手指、物品、食品に使用か可能な水溶液で、動物病院、ペットサロンなどで多くのペット施設でも使われています。
最悪突然死の可能性もある
犬が酔っぱらっている様子を面白がっているうちに突然死してしまうケースもあります。
これは、アルコールが体内に早く吸収され、体の中にアルコールが長い時間留まってしまうからです。アルコールが体の機能を低下させ全身に影響を与えます。
まとめ
アルコールも玉ねぎ、チョコレートと同じく犬には良くない物の1つです。最近は、アルコールの含まれた消毒やウェットティッシュを家庭に置く事も増えているので、扱いには注意しましょう。
お酒が好きな飼い主は、軽い気持ちで犬にお酒を与えてしまうかもしれません。家飲みが増えてきる昨今、飲み会で盛り上がるとふざけて犬にお酒をあげてしまう人もいるかもしれません。
犬がアルコールを飲むと少量でも命の危険に関わる事を頭に入れておきましょう。そして、飲食中は犬からは目を離さない、もしくは別の部屋に置いておくなど対策を取りましょう。
犬の命を守には飼い主の行動が鍵を握っています。