犬がもずくを食べても大丈夫?
もずくは、酢の物にしていただく家庭が多いと思います。体にもいいとされているので、犬ももずくを食べることができるのか、与えても大丈夫かどうか気になりますよね。
結論は、もずくは犬が食べても大丈夫な食材です。
与えて問題のない食材ですが、普段食べているフードとはまったくかけ離れた食材なので、与え方や注意点なども知っておきましょう。
もずくの栄養成分と犬への効能
もずくは海藻の一種です。犬が海藻を食べるイメージが湧かない飼い主さんも多いかもしれませんね。さまざまな栄養素を含み犬の健康増進にも役立つかもしれません。しかしもずくを食べる文化を持つ国は限られているので、犬に与える食材としての情報はとても限られています。ここでは、もずくについて一般的に言われていることと、犬にドッグフード以外のものを与える一般的な注意点を中心に詳しく解説していきます。
【もずくとは】
もずくとは、細い糸状の海藻です。人間にとっては、酢の物で食べるのが一般的ですが、さらに沖縄では、天ぷらにしたり、お吸い物にいれるご家庭もあり、美味しくいただくレシピはたくさんあります。
人気がある理由は、食感や健康に良い栄養素がたくさん含まれているからでしょう。犬にとっても、ドッグフードのトッピングや手作り食の食材として活用できる食品です。
水分を効果的に取り込める
もずくは水分を多量に含みます。塩抜きをした塩もずくでは、その約97%が水分です。そのため、なかなか水分をとらない場合やもっと水分を摂ってほしい夏に食事に混ぜるなどの方法で、水分摂取量を増やしてあげることができます。
食物繊維で腸内環境を整える
もずくは食物繊維が豊富です。もずくのぬるぬるとした成分にこの食物繊維が多く含まれていて、腸内環境を整えたり糖や脂質の吸収を穏やかにすることから肥満を防止する効果も期待されます。もずくには、フコダインとアルギン酸という食物繊維も含まれています。
【フコダイン】
フコダインという成分は、犬用のサプリメントにも取り入れられていることがありますし、フコダインを含む海藻の健康効果を期待してドッグフードの材料にケルプという海藻が使われていたりします。免疫力を高める効果や胃の健康に役立つ効果があると言われています。
【アルギン酸】
フコダインと同様に多糖類の一種で、もずくのぬめぬめの成分です。フコダインや他の水溶性食物繊維と同様にお腹の調子を整えたり血中コレステロールを下げたりする働きがありますが、他にもナトリウムを排泄して血圧の上昇を抑える効果などがあると言われています。
ビタミンも
ビタミンAやビタミンKが含まれています。ビタミンAは抗酸化作用を持ち免疫機能の維持や回復にも必要で、ビタミンKは血液凝固や骨の形成などを含めた体の機能を正常を保つために必要です。
ミネラル各種
ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、セレンなどが含まれています。また、もずくには他の海藻と同様にヨウ素も含まれていますが、含有量は海藻の中では少なく、100gあたり140μgとなっています。
犬にもずくを食べさせる時の与え方
人の食卓ではやはりもずくの酢の物が代表的です。しかし、犬は酸味の強いものを嫌うのが一般的であり、もずく酢として与えることは難しいことが多いでしょう。犬に適したもずくの与え方は次の通りです。
生もずくを茹でる
人が食べる時と同様に犬にももずくを生で与えることができますが、食感を嫌がったり消化が悪く体質に合わない場合などは茹でて与えると良いでしょう。もずく酢などの加工品ではなく、生もずくまたは塩抜きした塩もずくを茹でて与えます。ぬめりや食感をできるだけ残したい場合には、湯通しでも良いかもしれません。
また新鮮な生もずくを選ぶように心がけましょう。新鮮な物は磯の香が強いのですぐにわかりますよ。
塩もずくはしっかり塩分を除く
もずくは現在主に沖縄で生産されており、加工品以外はお目にかかれない、と思った方も多いはず。塩もずくという塩漬けして保存に適した状態で販売されているものもあります。
ただしこのもずくは塩分が多量に含まれており、そのまま与えると塩分を過剰に摂取してしまう恐れがあるので、塩分を取り除いてから与えましょう。人が食べるためにもずく酢やスープなどに調理する場合には、数分から1時間程度塩抜きすることが一般的だそうですが、犬に与える場合は表面の塩を水洗いした後、水を何回か換えながらもっと長時間浸すと良いでしょう。
塩もずくは生もずくより手間がかかりますが、手に入りやすいのが良いですね。塩もずくを使用する際には塩分に十分に注意してください。
細かくカットする
食べにくかったり硬さが気になる場合には、食べやすいようにカットします。ずるずると人間のようにすすることはできないので、なめとりやすいように細かくカットしたりペースト状にしてあげます。細かくしたうえで他の食べ物に混ぜて与えると食べやすくなります。
味付けはしない
犬に余分な味付けは必要ありません。塩や醤油などで過度に味付けをおこなうと塩分を過剰に摂取してしまう可能性や、濃い味付けの食べ物に慣れてフードを選り好みするようになる可能性があります。
犬にもずくを食べさせる時の注意点
もずくは栄養の面で優れている食材なので、ついたくさん与えたくなりますが、食べさせる際には注意点があります。
一般的に人が食べる場合には、もずく酢で食べるイメージが強く、一度に大量に食べることはあまりないはずです。小鉢に少し…というイメージですよね。
ところが犬の体に良いものを与えるとなると、たくさんあげたくなりませんか?もちろん、それは間違った判断ですので、以下に与える量などの注意点をまとめてみました。
与えすぎに注意
たくさんの栄養素を含む食品であっても、気を付けるべき点があります。一般的に、ドッグフードを主食としている犬にトッピングやおやつを与える際は、主食以外の食べ物のカロリーがドッグフードのカロリーの10~20%以内におさまるようにします。低カロリーで水分を多く含むもずくは、ドッグフードのトッピングや手作り食の食材として少量を与える程度が良いでしょう。
【消化不良】
犬にもずくを与えすぎると、下痢や嘔吐する場合があります。食物繊維が豊富で、また水分も多く含んでいるのでうんちも柔らかくなる可能性があります。
もずくのように食物繊維を多く含む食品は、適量であれば胃腸の調子を整えたり便秘解消の効果が期待できますが、与えすぎは逆に胃腸に悪影響を及ぼすこともあるので十分注意しましょう。
【マグネシウムの過剰摂取】
マグネシウムを過剰に摂取することで、尿路結石になる可能性が高まります。ただし、もずくのマグネシウム含有量は特に多いわけではなく、健康な犬に常識的な量を与える分には問題とならないでしょう。
【カリウムの過剰摂取】
健康な犬は、カリウムを過剰に摂取しても、腎臓の働きにより体の外に出されてしまうので問題ありませんが、腎機能が低下している犬で過剰に摂取すると体内から余分なカリウムが出て行きにくく、体に悪影響を及ぼす可能性があります。
しかし、もずくは海藻の中でも特にカリウム含有量が少ないので、もずくを与えることによってカリウムが問題となることはないでしょう。
ただし、どんな食材の場合にも持病がある場合は与えてもよいかどうかを、かかりつけの獣医さんに確認した方がよいでしょう。
体質に合わない、アレルギーの可能性
もずくには中毒症状を起こすような成分は含まれてはいませんが、体質に合わない可能性はあります。海藻に対するアレルギーは人でも一般的ではないようですが、ヨウ素に対してアレルギーを起こす人がたまにいるようです。犬に食べ慣れない食材を与える際は、下痢や嘔吐などを起こしていないか、その食材を与え始めてから体の痒みや下痢、軟便などが見られるようになっていないかを確認しながら、最初は少量ずつを試しながら与えてください。
もずく酢などの加工品は与えない
加工品にはたくさんの調味料や添加物が入っている可能性があります。犬にとってその成分すべてが食べても大丈夫かどうかは、飼い主さんが判断するには難しいことが多いでしょうし、与える必要のないものは与えないでおきたいですよね。犬へのもずくの与え方は先ほど書いた通りで、生もずくまたはしっかりと塩抜きをした塩もずくを、生のまま、または茹でたり湯通しをしたりして、味付けなしで与えてください。
ただし、もずくは酢と一緒にとることによって、重要な栄養素のフコダインが吸収されやすくなったり、もずくが多少柔らかくなり食べやすくなったりするともいわれています。
お酢を試したい場合は、犬が嫌がらないようであれば茹でたもずくに少量から加えてあげても良いかもしれません。
まとめ
以上の内容をまとめると
- もずくは犬が食べても大丈夫
- もずくは犬にとっても健康に良い栄養素が含まれる
- もずくを与えるときは茹でたり湯通ししてもOK
- 味付きのもずくは与えない
- 与える量には注意する
もずくを犬に与えるのは注意点がたくさんありましたね。
もずくは食物繊維も豊富で、人においては便秘解消にも効果的で肥満防止にもなると言われています。「それは必要だ!」と思う飼う主さんも多いのではないでしょうか?犬の食事にバリエーションをもたせるために、もずくを試してみるのも良いですね。
しかし、もずくのような海藻類は犬にとってはなじみのない食べ物。ぬるぬるした食感も好きな犬と嫌いな犬がいるでしょう。フード等に少しトッピングするなど、新鮮な生もずくが手に入った時には、是非試してみてください。
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