犬にホタテを与えても大丈夫な部位
犬がホタテを食べても大丈夫な部位は「貝柱」であり、少量で火を通したものであれば重大な体調不良を引き起こす原因にはなりません。犬にとってホタテの貝柱は、少量であれば食べられる栄養豊富な食材の1つでもあります。
しかし、海辺の露店などで売られているホタテの炉端焼きなどは海水を多く含んでおり、犬にとっては望ましいものではありません。時には、犬が食べても吐き出してしまったり、下痢をしてしまったり、未消化のまま排泄されることもあります。
犬の吐き出しや一時的な下痢程度であれば、その後の犬の体調に影響はありません。ですが、このような反応があるということは、犬の体にとって必ず必要な食べ物ではないということが分かります。
犬に与えてはいけないホタテの有毒部位
ホタテ貝を開けてみると、貝柱の他に様々な部位(中陽線、心臓、ひも、えら、生殖巣、蝕手など)があります。その他のホタテの部位に含まれる毒素は、犬の体にとって分解ができず害にしかなりません。
火を通していても毒素は残っていますので、犬に貝柱以外与えないようにしましょう。特にホタテを生で食べさせるのは絶対にやめましょう。犬の体内に菌が入り込み、中毒症状を引き起こす危険があります。
犬にとって火を通したホタテの貝柱以外は、毒になることを覚えておきましょう。
犬が有毒となるホタテの部位を食べてしまい、時間が経過しているときは、嘔吐、ふらつき、震えなどの症状がないか、元気があるか、などの体調の変化を観察し、もし異変がある場合は獣医師の診察を受けましょう。
元気があり、吐き出や下痢などがなくてもかかりつけの獣医師にいったん連絡し指示を仰いでください。その後数日間は排便の様子を観察しましょう。ホタテが未消化のまま出てくることもありますし、消化されて何事もなく済むこともあります。
ホタテに含まれる栄養素と期待される健康効果
犬が食べても大丈夫なホタテの部位は「貝柱」であると紹介しましたが、ホタテの貝柱にはどのような栄養素が含まれているのでしょうか?
- ビタミンB、B2、B6、B12、ビタミンC、ビタミンE
- 葉酸
- パントテン酸
- ナトリウム
- カリウム
- マグネシウム
- リン
- 鉄
- ドコサヘキサエン酸 など
ホタテの貝柱は高タンパク質でビタミン、ミネラルが高いので、人間の体には良い食材といわれています。それでは、犬にとってはどうでしょうか?犬がホタテの貝柱を食べると得られる効果を見てみましょう。
- 弱胃腸の改善
- 自己免疫力を高める
- 貧血改善
- コレステロール制御
- がん予防
- 食欲低下改善
- 肝機能改善
- 老化防止 など
正しい量や調理法で安全に与えるホタテの貝柱は、犬の体にも良い効果が期待できます。
犬へのホタテの与え方
ホタテ貝は、生、水煮、乾燥などで売られています。どれも塩分が多く含まれているので、犬に与える際は十分に塩分を取り除く必要があります。
この塩分は海水に含まれるものなので、食塩と比べるとミネラルが豊富で少量であれば犬の体にも良い効果が期待できます。
〈ホタテの貝柱の下処理〉- ホタテの貝柱を真水でよく洗う(生でも水煮でも乾燥でも同じ)
- 真水からホタテの貝柱を煮立てて、最初の煮汁は捨てる
- 残ったホタテの貝柱を乾燥させる
下処理を済ませたホタテの貝柱は、他の食材と煮込んでスープにするのもおすすめです。また、おやつとして与えたり、細かくしてご飯のトッピングに与えたりすることができます。
犬に与えてもいいホタテの1日の摂取量
犬に与えても良いホタテの貝柱の量は、1日の食事量(ドライフード)全体の10%以下が適量です。
手作りのホタテご飯、ホタテのお粥などの場合は、その他の食材(栄養素)とのバランスや相性をみて、栄養過多にならないように調整する必要があります。
ホタテの貝柱との相性は個体差があります。適度な給与量であっても体質的に合わない犬もいます。犬の排便の様子、体調をよく観察してホタテ貝柱を取り入れるのかどうか判断してください。
犬にホタテを与える際の注意点
タウリン、カリウム、リンなど、犬の体へ摂らせたい栄養素が豊富なホタテの貝柱ですが、与えすぎは体調不良を引き起こしてしまいます。
また、腎臓病、カリウム血症などの、犬にホタテの貝柱を日常的に与えてしまうと、体に大きな負担となります。
毎日の食事にトッピングする食材ではなく、その他の食材と組み合わせながら、バランスよくトッピングして健康管理に役立てましょう。
まとめ
犬は基本的にはホタテなどの貝類を摂取しなければならない体質というわけではありません。
近年、犬のがん予防や健康管理などへの飼い主さんの意識が高まり、海鮮物やキノコ類なども食材として犬に与える食事の需要が増えてきました。
ですが、犬にホタテなどの貝類を与えるには十分な注意が必要です。特に貝類を刺身で与えると、貝に含まれる毒素が体調不良を引き起こしてしまうので、安易にたくさん与えることはおすすめできません。
犬にとって体に良い物は、どんどん取り入れてあげたいと飼い主さんは食事にとても敏感になります。ですが、栄養成分だけを見て、どんなに良い食材でも与えすぎは良くありませんし相性もあります。
どうしても、ホタテなど貝類からの栄養を摂ってあげたい場合には、専用の食事やサプリメントを使うのも良いのではないでしょうか。
犬にホタテ貝を与える時には、貝柱を熱調理して細かくして与えましょう。