【獣医師監修】エストレラ・マウンテン・ドッグってどんな犬種?特徴と性格や飼い方・価格相場まで解説

【獣医師監修】エストレラ・マウンテン・ドッグってどんな犬種?特徴と性格や飼い方・価格相場まで解説

ポルトガル原産の大型護畜犬、エストレラ・マウンテン・ドッグの歴史や性格、体格、被毛の特徴を解説します。子犬の価格相場やブリーダーの探し方をはじめ、日本で飼うために必要な運動量、しつけ、暑さ対策、日常のケア、寿命、注意したい病気まで、迎える前に知っておきたい情報を紹介します。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

エストレラ・マウンテン・ドッグとは

こちらを見るエストレラ・マウンテン・ドッグ

  • 犬種名:エストレラ・マウンテン・ドッグ(Estrela Mountain Dog)
  • 原産国:ポルトガル
  • 大きさ:大型犬
  • 体高:オス 65cm〜73cm/メス 62cm〜69cm
  • 体重:オス 45kg〜60kg/メス 35kg〜45kg
  • 被毛:ロング・ヘアード、スムース・ヘアードの2種類/ダブルコート
  • 毛色:フォーン、イエロー、ウルフグレー、ブリンドルなど
  • 性格:家族に愛情深く忠実、落ち着きがある、警戒心と独立心が強い
  • 寿命:10年〜13年程度
  • 役割:護畜犬、番犬

エストレラ・マウンテン・ドッグは、ポルトガルを原産とする護畜犬です。羊などの家畜を外敵から守る役割を担ってきた犬種で、現在は家庭犬や番犬としても飼育されています。

ポルトガル語では「カオ・ダ・セーラ・ダ・エストレーラ(Cão da Serra da Estrela)」と呼ばれ、日本語では「エストレラ山脈の犬」という意味になります。英語圏では「Estrela Mountain Dog」と表記されます。

日本では飼育頭数や繁殖に関する情報が限られており、一般的なペットショップで見かける機会はほとんどありません。

迎える際は、犬種への理解を深めたうえで、飼育環境や入手方法、継続的に必要となる費用について事前に確認しておくことが大切です。

エストレラ・マウンテン・ドッグの歴史

エストレラ山脈

エストレラ・マウンテン・ドッグは、ポルトガル中部に広がるエストレラ山脈で古くから飼育されてきた犬種です。

正確な起源は明らかになっていませんが、イベリア半島に古くから存在した護畜犬の系統を受け継ぐ犬種のひとつと考えられています。

エストレラ山脈では、羊やヤギなどの家畜を連れて季節ごとに移動する放牧が行われていました。犬たちは家畜の群れに付き添い、オオカミなどの野生動物や家畜泥棒から守る役割を担ってきました。

山間部では飼い主の指示がすぐに届かない場面も多く、自ら周囲の状況を判断しながら行動する能力が求められました。

長い間、実用性を重視して地域ごとに繁殖されてきましたが、20世紀に入ると犬種としての保存や標準化が進められるようになります。

その後、ポルトガルを代表する犬種として国外でも知られるようになり、現在では原産国以外でも飼育されています。

エストレラ・マウンテン・ドッグの特徴

曲がったしっぽのエストレラ・マウンテン・ドッグ

エストレラ・マウンテン・ドッグは、骨格がしっかりとした力強い体つきと、素朴で堂々とした外見を持つ大型犬です。

胸は深く、四肢には十分な筋肉があり、山岳地帯を移動する犬種らしい安定感のある体形をしています。

頭部は大きすぎず、先に向かってやや細くなる形をしています。耳は比較的小さな三角形で、頭部に沿うように垂れているのが特徴です。尾は長く、静止しているときは下がり、先端には鉤状の曲がりが見られます。

エストレラ・マウンテン・ドッグの大きさ

オスの体高は65cm〜73cm、体重は45kg〜60kgほどです。メスは体高62cm〜69cm、体重35kg〜45kgほどが目安となります。オスのほうが全体的に大きく、骨格や頭部にも力強さが表れやすい傾向があります。

大型犬のなかでも存在感のある体格ですが、極端に重々しい印象ではありません。体の各部がバランスよく構成されており、力強さと機敏に動けるしなやかさを兼ね備えています。

エストレラ・マウンテン・ドッグの被毛タイプ

被毛には、ロング・ヘアードとスムース・ヘアードの2タイプがあります。どちらも上毛と下毛からなるダブルコートで、寒さや雨風から体を守れる密度のある被毛を備えています。

ロング・ヘアードは、直毛またはわずかに波打つ長い上毛に覆われています。首まわりや四肢の後ろ側、尾には豊かな飾り毛が見られ、全体的にボリュームのある姿になります。

スムース・ヘアードは、全身の毛が短く、体の輪郭がはっきりと見える被毛タイプです。飾り毛は目立ちませんが、下毛は密生しており、短毛であっても厚みのある被毛をしています。

エストレラ・マウンテン・ドッグの毛色の種類

主な毛色は、フォーン、イエロー、ウルフグレーです。それぞれの毛色には、黒や濃い色の縞模様が入るブリンドルが見られることもあります。

口元や顔のまわりには、暗い色のマスクが入るのが代表的な特徴です。足先や胸元などに、限られた範囲で白い斑が見られることもあります。

毛色には明るさや色合いの個体差がありますが、色だけで性格や健康状態を判断することはできません。外見だけでなく、体の状態や親犬の健康情報なども含めて確認することが大切です。

エストレラ・マウンテン・ドッグの性格

草原に座るエストレラ・マウンテン・ドッグ

エストレラ・マウンテン・ドッグは、家族に対して愛情深く、忠実な性格です。落ち着きがあり、信頼する相手には穏やかに接します。

一方で、見知らぬ人や不審な物音には警戒心を示しやすく、自ら状況を判断して行動する独立心も備えています。誰にでもすぐになつくタイプではなく、周囲をよく観察して慎重に距離を縮める傾向があります。

家族を守ろうとする意識が強いため、安定した関係を築くには、犬種本来の性質を理解しながら一貫した態度で接することが大切です。

エストレラ・マウンテン・ドッグの価格相場

日本円の札と電卓と財布

エストレラ・マウンテン・ドッグの子犬本体の価格は、海外での販売例を日本円に換算すると、20万円〜50万円前後がひとつの目安です。

ただし、日本国内では流通数が非常に少なく、安定した価格相場は形成されていません。

この金額は、あくまで海外で販売されている子犬そのものの参考価格です。
日本へ輸入する場合は、子犬本体の価格とは別に、航空輸送費、輸送用ケージ代、検疫手続き、健康診断、各種証明書の取得費用、仲介業者への手数料などがかかります。

そのため、実際に迎える際の総額は、子犬本体の参考価格を大きく上回ることがあります。
出発国や輸送方法、依頼する業者によって費用が変わるため、契約前に子犬の価格と輸入関連費用を分けた見積もりを確認しましょう。

価格だけで購入先を決めるのではなく、親犬の健康状態や飼育環境、子犬の社会化、健康診断やワクチンの実施状況なども確認することが大切です。

極端に安い場合や、費用の内訳が示されない場合は、契約を急がず慎重に判断してください。

エストレラ・マウンテン・ドッグのブリーダーを探す方法

まずは、ジャパンケネルクラブの犬種情報や国内のドッグショー、希少犬種を扱うブリーダーの情報を調べます。

国内で繁殖情報が見つからない場合は、エストレラ・マウンテン・ドッグの犬種クラブや、海外のケネルクラブが公開しているブリーダー情報も確認しましょう。

気になるブリーダーが見つかったら、子犬の有無だけを尋ねるのではなく、親犬の健康検査、飼育環境、繁殖方針、子犬を引き渡す時期について質問します。

股関節などの健康検査結果を確認できるか、親犬や犬舎を見学できるか、契約書や健康保証の内容が明確かも重要な確認事項です。

海外のブリーダーへ問い合わせる場合は、日本への輸出経験があるか、輸送会社の手配に対応できるか、日本の動物検疫に必要な準備を進められるかを確認してください。

検疫条件を満たせないと、到着後に長期間係留されたり、日本へ入国できなかったりする可能性があります。

「すぐに送れる」「手続きをすべて省略できる」などと説明する相手や、親犬の情報を開示しない相手、前払いを過度に急かす相手には注意が必要です。

複数の候補へ問い合わせ、説明の丁寧さや健康管理の内容を比較してから判断しましょう。

エストレラ・マウンテン・ドッグの飼い方

ビーチを歩くエストレラ・マウンテン・ドッグ

エストレラ・マウンテン・ドッグを飼うには、大きな体で落ち着いて過ごせる生活スペースが必要です。室内には滑りにくい床材を取り入れ、静かに休める場所を用意しましょう。

庭で過ごさせる場合は、飛び越えや体当たりによる脱走を防げる、十分な高さと強度のあるフェンスが欠かせません。

ただし、庭があっても屋外へ出したままにせず、家族と関わりながら生活できる環境を整えることが大切です。

寒冷な山岳地帯で育まれた犬種であり、暑さの厳しい季節には室温と湿度の管理が必要です。エアコンなどを活用し、直射日光の当たらない涼しい場所で休めるようにしてください。

エストレラ・マウンテン・ドッグの運動量

成犬の運動時間は、散歩を中心に1日合計1時間前後がひとつの目安です。ただし、必要な運動量は年齢や体調、気温、普段の生活環境によって異なるため、犬の様子を見ながら調整しましょう。

一度に長時間歩かせるよりも、朝と夕方などに分けて散歩する方法が適しています。歩くだけでなく、においを嗅ぎながら周囲を探索する時間や、簡単な知育遊びを取り入れると、心身の刺激にもつながります。

暑い時期は、早朝や日没後など気温と路面温度が下がった時間帯を選びます。子犬やシニア犬には無理な長距離運動をさせず、成長段階や体力に合わせて距離と運動の強さを調整してください。

エストレラ・マウンテン・ドッグのしつけ方

エストレラ・マウンテン・ドッグは賢く、自ら状況を判断して行動する傾向があります。飼い主の指示にただ従わせるのではなく、家族全員でルールを統一し、望ましい行動をしたときに褒めながら教えることが大切です。

子犬の頃から、家族以外の人やほかの犬、車、自転車、生活音などに少しずつ慣らしていきましょう。

一度に多くの刺激を与えるのではなく、犬が落ち着いていられる距離や時間から始め、怖がっている場合は無理に近づけないようにします。

体が大きくなる前に、「マテ」「オイデ」「ハナセ」といった基本的な指示のほか、リードを強く引かずに歩く練習や、来客時に決められた場所で待つ練習を進めておくと安心です。

対応に難しさを感じた場合は、大型犬や護畜犬の扱いに詳しいドッグトレーナーへ早めに相談しましょう。

大声で威圧したり、力ずくで従わせたりする方法は避けてください。恐怖や警戒心を強めないよう、短時間の練習を繰り返し、できたことを評価しながら信頼関係を築いていきます。

エストレラ・マウンテン・ドッグのケア方法

被毛は少なくとも週に1回を目安にブラッシングし、抜け毛が増える時期は頻度を上げます。ロング・ヘアードは、耳の後ろ、首まわり、四肢の飾り毛、尾などがもつれやすいため、毛の根元まで丁寧に確認しましょう。

ブラッシングの際は、皮膚の赤みや傷、しこり、汚れなどがないかも確認します。毛玉を無理に引っ張ると皮膚を傷つけることがあるため、少しずつほぐし、取り除くのが難しい場合はトリマーへ相談してください。

耳は定期的に状態を確認し、赤み、強い臭い、汚れなどが見られる場合は、自己判断で奥まで掃除せず動物病院へ相談します。歯磨きや爪切り、足裏の毛の手入れも、日常的なケアとして少しずつ慣らしておきましょう。

成犬になってからのお手入れを安全に行うため、子犬の頃から耳や口元、足先、尾などに短時間触れる練習を重ねます。嫌がるときは無理に続けず、落ち着いて受け入れられる範囲から進めてください。

エストレラ・マウンテン・ドッグの寿命と病気

寝そべる犬の足元と聴診器

エストレラ・マウンテン・ドッグの寿命は、10年〜13年程度がひとつの目安です。ただし、実際の寿命は遺伝的な要因や生活環境、食事、運動習慣、病気の有無などによって異なります。

健康を維持するには、適正体重を保ち、年齢や体調に合った食事と運動を続けることが大切です。元気に見える場合でも定期的に健康診断を受け、歩き方や呼吸、食欲、体重などの変化を早めに把握できるようにしましょう。

年齢を重ねると、立ち上がりに時間がかかる、散歩を嫌がる、息切れしやすくなるなどの変化が現れることがあります。

老化だけでなく病気が隠れている可能性もあるため、気になる状態が続く場合は動物病院を受診してください。

エストレラ・マウンテン・ドッグのかかりやすい病気

注意したい病気のひとつが股関節形成不全です。股関節が正常に発達せず、歩き方の変化や運動を嫌がる様子、立ち上がりにくさなどが見られることがあります。

遺伝的な素因に加え、成長期の栄養や体重、運動など複数の要因が関係するため、肥満を避け、関節へ過度な負担をかけないことが大切です。

犬種クラブが実施した調査でも、股関節形成不全とそれに伴う変形性関節症が確認されています。

拡張型心筋症にも注意が必要です。心臓の収縮力が低下する病気で、疲れやすい、呼吸が荒い、運動を嫌がる、失神するといった症状が現れることがあります。

初期には目立った症状が出ない場合もあるため、定期検診で心臓の状態を確認し、異変があれば早めに獣医師へ相談しましょう。

また、大型犬では胃拡張・胃捻転症候群にも注意が必要です。吐こうとしても吐けない、お腹が膨れる、落ち着きがなくなる、呼吸が苦しそうになるといった症状が見られた場合は、すぐに動物病院へ連絡してください。

まとめ

舌を出しているエストレラ・マウンテン・ドッグ

エストレラ・マウンテン・ドッグは、ポルトガルの山岳地帯で家畜を守ってきた、力強く堂々とした大型犬です。家族には愛情深く忠実ですが、見知らぬ人には慎重で、自ら状況を判断する独立心も備えています。

日本では流通が少なく、海外から迎える場合は子犬の価格に加えて輸送費や検疫関連費用も必要です。飼育には十分な生活空間と暑さ対策、毎日の適度な運動、子犬期からの社会化と一貫したしつけが欠かせません。

被毛の手入れや体重管理を続け、股関節形成不全、心臓病、胃拡張・胃捻転症候群などにも注意しましょう。犬種本来の性質と必要な費用を理解し、生涯にわたって安全に管理できる環境を整えたうえで迎えることが大切です。

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