グレート・スイス・マウンテン・ドッグとは
- 犬種名:グレート・スイス・マウンテン・ドッグ(Great Swiss Mountain Dog)
- 別名:グレーター・スイス・マウンテン・ドッグ
- 原産国:スイス
- 大きさ:大型犬
- 体高:オス 65cm〜72cm/メス 60cm〜68cm
- 体重:オス 50kg〜64kg/メス 39kg〜50kg
- 被毛:短めから中程度の上毛と密な下毛を持つダブルコート
- 毛色:ブラック、ホワイト、赤褐色からなるトライカラー
- 性格:愛情深く忠実で、落ち着きと警戒心を備えている
- 平均:8年〜11年程度
グレート・スイス・マウンテン・ドッグは、スイスを原産とする大型の作業犬です。国際畜犬連盟(FCI)やジャパンケネルクラブ(JKC)では、英語名を「Great Swiss Mountain Dog」と表記します。
一方、アメリカンケネルクラブ(AKC)では「Greater Swiss Mountain Dog」という名称が用いられています。
日本では「グレーター・スイス・マウンテン・ドッグ」と紹介されることもありますが、いずれも同じ犬種を指す名称です。
英語圏の愛好家からは、親しみを込めて「Swissy(スウィッシー)」と呼ばれることもあります。
スイス原産のマウンテン・ドッグの仲間には、バーニーズ・マウンテン・ドッグやアッペンツェル・キャトル・ドッグ、エントレブッハー・キャトル・ドッグがいます。
グレート・スイス・マウンテン・ドッグは、その中でも特に体の大きな犬種です。
日本では飼育例や子犬の流通が非常に限られており、一般的なペットショップで見かける機会はほとんどありません。
家族として迎える場合は、国内外の繁殖状況や入手方法を事前に確認し、大型犬を生涯飼育できる住環境や費用、管理体制を整えておく必要があります。
グレート・スイス・マウンテン・ドッグの歴史
グレート・スイス・マウンテン・ドッグの祖先にあたる犬たちは、古くからスイスの農村部で人々の仕事を支えてきました。
牧場や農場では、家畜の移動を助けたり、敷地を見張ったり、乳製品などを載せた荷車を引いたりする多目的な作業犬として活躍していたとされています。
しかし、鉄道や自動車の普及によって荷車を引く犬の需要が減少すると、こうした大型の農場犬も次第に数を減らしていきました。一時は、独立した犬種としてほとんど残っていないと考えられていた時期もあります。
転機となったのは1908年です。スイスで開催されたドッグショーに出陳された大型犬を、犬種研究に携わっていたアルベルト・ハイムが、かつて各地の農場で働いていた大型のマウンテン・ドッグであると評価しました。
その後、犬種としての保存と繁殖が進められ、1909年にはスイスのケネルクラブによって公認されました。さらに1912年には犬種クラブが設立され、計画的な繁殖によって個体数の回復と犬種の安定化が図られていきます。
こうしてグレート・スイス・マウンテン・ドッグは、農村で働いていた実用犬から、正式な犬種として保存される存在へと移り変わりました。
現在では家庭犬としても飼育されていますが、長い間人のそばで仕事を担ってきた歴史を持つ犬種です。
グレート・スイス・マウンテン・ドッグの特徴
グレート・スイス・マウンテン・ドッグは、骨量が豊かで筋肉質な体つきを持つ、力強い印象の大型犬です。胸は深く、胴体はたくましく、全体として均整の取れた堂々とした姿をしています。
頭部は体とのバランスがよく、耳は三角形で自然に垂れています。目はアーモンド形で、落ち着きのある表情を見せるのも特徴です。
外見はバーニーズ・マウンテン・ドッグとよく似ていますが、被毛が比較的短いため、体の輪郭や筋肉のつき方がより分かりやすく、すっきりとした印象があります。
グレート・スイス・マウンテン・ドッグの大きさ
ジャパンケネルクラブの犬種標準では、体高はオスが65cm〜72cm、メスが60cm〜68cmとされています。体高だけを見ても、一般的な大型犬の中でかなり大きな部類に入ります。
体重は犬種標準に明確な規定がありませんが、成犬ではオスが50kg〜64kg、メスが39kg〜50kg程度になることがあります。ただし、骨格や体格によって個体差があります。
太く頑丈な骨格と発達した筋肉を持つため、数字以上に大きく見えることも少なくありません。首や胸まわりにも厚みがあり、全身から力強さが感じられます。
グレート・スイス・マウンテン・ドッグの被毛タイプ
グレート・スイス・マウンテン・ドッグの被毛は、上毛と下毛からなるダブルコートです。上毛は短めから中程度の長さで、密度があり、体に沿うように生えています。
その内側には厚い下毛があり、寒さや雨風から体を守る役割を果たします。長毛種のような豊かな飾り毛はなく、全体的にまとまりのある被毛です。
被毛の長さには多少の個体差がありますが、バーニーズ・マウンテン・ドッグよりも短く、筋肉質な体の輪郭がはっきり見える点が特徴です。
グレート・スイス・マウンテン・ドッグの毛色の種類
代表的な毛色は、ブラック、ホワイト、赤褐色の3色で構成されるトライカラーです。体の大部分は黒色で、頬や目の上、胸、四肢などに赤褐色の模様が入ります。
白い模様は、頭部の中央から鼻先にかけてのブレーズや、胸、足先、尾の先などに見られます。黒、白、赤褐色がはっきり分かれていることが、この犬種らしい外見を形作っています。
模様の広がり方や左右のバランスには個体差があります。毛色や模様の違いは性格を左右するものではありませんが、犬種標準では色の配置について一定の基準が設けられています。
グレート・スイス・マウンテン・ドッグの性格
グレート・スイス・マウンテン・ドッグは、家族に対して愛情深く、落ち着きのある性格を持つ犬種です。信頼した相手には忠実に接し、家族のそばで過ごすことを好みます。
一方で、見知らぬ人や周囲の変化には注意を向ける警戒心もあります。ただし、犬種標準では過度に臆病ではなく、自信を持って行動できる気質が求められています。
賢く状況をよく観察する反面、自分で判断しようとする一面もあります。また、人や他の犬への接し方には個体差があるため、穏やかな性格だけを期待せず、その犬自身の気質を見極めることが大切です。
グレート・スイス・マウンテン・ドッグの価格相場
グレート・スイス・マウンテン・ドッグは、日本国内での繁殖例や販売情報が非常に少なく、安定した国内相場が形成されていません。そのため、子犬の価格はブリーダーや迎え方によって大きく異なります。
海外のブリーダーから購入する場合、子犬自体の価格は3,000〜3,500米ドル程度がひとつの目安です。日本円では、49万円〜57万円に相当します。
ただし、この金額は子犬自体の販売価格を換算した目安であり、日本までの輸送費、輸出入の手続き費用、動物検疫に必要な検査費用、代行手数料などは含まれていません。
海外から迎える場合の総額は、子犬の販売価格よりも大幅に高くなる可能性があります。
また、血統や月齢、親犬の実績、健康検査の内容などによっても価格は変わります。実際に迎える際は、表示価格だけで判断せず、どの費用が含まれているのかをブリーダーへ確認してください。
グレート・スイス・マウンテン・ドッグのブリーダーを探す方法
まずは、ジャパンケネルクラブの犬舎情報や子犬情報、国内のブリーダー検索サイトなどで、グレート・スイス・マウンテン・ドッグの繁殖実績がある犬舎を探します。
現在子犬が掲載されていなくても、過去の繁殖実績や今後の出産予定について問い合わせてみましょう。
国内で見つからない場合は、海外の犬種クラブが公開しているブリーダー名簿を手掛かりにする方法があります。
ただし、名簿への掲載だけでブリーダーの信頼性が保証されるわけではないため、繁殖方針や飼育環境を個別に確認することが大切です。
候補が見つかったら、親犬の股関節、肘関節、肩関節、眼などの検査結果を確認してください。子犬だけでなく親犬の姿や性格、飼育場所の衛生状態、子犬が人や生活音に慣れるための取り組みについても説明を受けましょう。
国内の販売業者から迎える場合は、第一種動物取扱業の登録番号や有効期限を確認し、事業所で子犬を直接見たうえで対面説明を受けます。
写真や動画だけで購入を決めたり、十分な説明がないまま支払いを急かされたりする場合は注意が必要です。
海外から直接迎える場合は、ブリーダー探しと並行して、日本への輸入条件も確認しなければなりません。
マイクロチップの装着や狂犬病に関する手続き、到着予定日の原則40日前までの届出などが必要になるため、早い段階で動物検疫所や輸入代行業者へ相談してください。
グレート・スイス・マウンテン・ドッグの飼い方
グレート・スイス・マウンテン・ドッグを飼うには、大型犬が無理なく動ける生活空間と、安全に外へ連れ出せる環境を整える必要があります。
床が滑りやすい場合はマットを敷き、玄関や庭には脱走を防ぐ頑丈な柵を設けましょう。
体が大きく力も強いため、家族の中で接し方や生活上のルールを統一することも大切です。
また、寒さには比較的強い一方で高温多湿の環境は負担になりやすいため、夏はエアコンを使って涼しい室内を保ち、暑い時間帯の外出を避けてください。
グレート・スイス・マウンテン・ドッグの運動量
成犬には、毎日の散歩を中心とした適度な運動が必要です。運動時間は1日合計1時間前後をひとつの目安とし、朝夕の2回などに分けて歩かせると負担を調整しやすくなります。
ただし、必要な運動量は年齢や体調、気温、関節の状態によって異なります。距離や時間を一律に決めるのではなく、歩く速さや疲れ方を見ながら調整してください。
急な方向転換を繰り返す激しい走り込みや、高い場所からのジャンプは足腰への負担になりやすいため、長く安定して歩く運動を中心にします。
室内では、フードを探す遊びや知育玩具などを取り入れると、体だけでなく頭も適度に使わせられます。
特に成長期の子犬には、長距離を無理に歩かせたり、階段の上り下りや反復ジャンプをさせたりしないよう注意しましょう。
グレート・スイス・マウンテン・ドッグのしつけ方
体が小さい子犬のうちから、呼び戻し、待て、飛びつかないこと、落ち着いてリードを付けて歩くことなど、日常生活に必要な行動を少しずつ教えます。
叱ったり力で抑え込んだりするのではなく、望ましい行動ができたときに褒めたり、ごほうびを与えたりして覚えさせる方法が適しています。家族によって指示や許可する行動が変わらないよう、ルールをそろえることも重要です。
人や他の犬、車の音、来客、動物病院などに慣れるための社会化も欠かせません。ワクチン接種の状況や地域の感染症リスクを獣医師に確認しながら、安全に管理された環境で経験を重ねさせましょう。
引っ張りや警戒吠えなどへの対応が難しい場合は、問題が定着する前に、大型犬の扱いに詳しく、犬に負担をかけない方法を採用しているドッグトレーナーへ相談してください。
グレート・スイス・マウンテン・ドッグのケア方法
日常の被毛ケアでは、週に1〜2回程度を目安にブラッシングを行い、抜け毛や付着した汚れを取り除きます。換毛期は抜け毛が増えるため、被毛の状態に合わせて回数を増やしましょう。
シャンプーは一律の頻度で行うのではなく、汚れやにおい、皮膚の状態に応じて実施します。洗いすぎると皮膚の乾燥につながることがあるため、使用するシャンプーや頻度に迷う場合は獣医師やトリマーに相談してください。
垂れ耳の内側は定期的に確認し、赤みやにおい、耳垢の増加がないかを見ます。歯磨きはできるだけ毎日行い、爪は床に当たって音が鳴るほど伸びる前に切りましょう。
大きな体を安全に移動させるため、子犬のうちから足先、耳、口元などに触れられることへ慣らしておくと、ブラッシングや通院時の診察も行いやすくなります。
グレート・スイス・マウンテン・ドッグの寿命と病気
グレート・スイス・マウンテン・ドッグの平均寿命は、8年〜11年程度が目安です。寿命には遺伝的な体質や生活環境、日頃の健康管理などが関係するため、すべての犬がこの範囲に当てはまるわけではありません。
体重の変化や歩き方、食欲、呼吸、排せつなどを日頃から観察し、気になる変化があれば早めに動物病院を受診しましょう。定期的な健康診断を受けることも、病気の早期発見につながります。
グレート・スイス・マウンテン・ドッグのかかりやすい病気
グレート・スイス・マウンテン・ドッグでは、関節の病気や消化器の緊急疾患、神経疾患などに注意が必要です。代表的な病気と、受診を検討したい症状を確認しておきましょう。
股関節形成不全
股関節形成不全は、股関節が正常に発育せず、関節に緩みや変形が生じる病気です。
遺伝的な素因に加え、成長期の体重や運動など複数の要因が関係します。腰を振って歩く、立ち上がりにくそうにする、階段を嫌がるといった様子が見られたら、獣医師に相談してください。
肘関節形成不全
肘関節形成不全は、成長期に肘の関節が正常に形成されず、痛みや歩行障害を引き起こす病気の総称です。前足をかばう、運動後に足を引きずる、散歩を嫌がるなどの変化が見られることがあります。
肩関節の離断性骨軟骨炎
離断性骨軟骨炎は、成長期に関節軟骨の一部が正常に発達せず、痛みや炎症を引き起こす病気です。
グレート・スイス・マウンテン・ドッグでは肩関節に生じることがあり、前足の跛行や動きたがらない様子が主なサインになります。
胃拡張・胃捻転症候群
胃拡張・胃捻転症候群は、胃がガスなどで大きく膨らみ、ねじれることがある命に関わる緊急疾患です。
吐こうとしても何も出ない、お腹が膨れる、よだれが増える、落ち着きがなくなるといった症状が見られたら、時間帯を問わず直ちに動物病院を受診してください。
脾捻転
脾捻転は、脾臓につながる血管がねじれて血流が妨げられる病気です。
元気や食欲の低下、腹部の張り、嘔吐、歯茎が白くなるなどの症状が見られることがあります。急速に悪化する可能性があるため、異変に気づいたら早急な受診が必要です。
てんかん
てんかんでは、意識を失う、体が硬直する、手足を激しく動かすなどの発作が繰り返されます。ただし、発作は中毒や低血糖などでも起こるため、発作だけでてんかんとは断定できません。
初めて発作が起きた場合は速やかに獣医師へ相談し、5分以上続く場合や短時間に繰り返す場合は直ちに救急受診してください。
まとめ
グレート・スイス・マウンテン・ドッグは、スイスの農場で家畜の管理や荷車引きなどを担ってきた、力強く愛情深い大型犬です。
堂々とした体格と美しいトライカラーが魅力ですが、日本では繁殖例や流通が少なく、子犬を迎えるには国内外のブリーダー情報を根気よく探す必要があります。
飼育には十分な生活空間と毎日の適度な運動、子犬期からの社会化や一貫したしつけが欠かせません。
また、暑さへの対策や被毛・耳・歯などの日常的なケアに加え、関節疾患や胃拡張・胃捻転症候群といった病気にも注意が必要です。
体格に見合った費用や管理体制を整え、生涯にわたって責任を持てるかを慎重に検討したうえで迎えましょう。



