イタリアン・スピノーネとは
- 犬種名:イタリアン・スピノーネ(Italian Spinone/Spinone Italiano)
- 原産国:イタリア
- 大きさ:大型犬
- 体高:オス 60cm〜70cm/メス 58cm〜65cm
- 体重:オス 32kg〜37kg/メス 28kg〜30kg
- 被毛:硬く粗いワイアーヘア(アンダーコートなし)
- 毛色:ホワイト、ホワイト&オレンジ、オレンジローン、ホワイト&ブラウン、ブラウンローン
- 性格:穏やかで忍耐強く、愛情深い。社交的でありながら自立心もある
- 寿命:10年〜12年程度
- 役割:ポインティング・ドッグ(鳥猟犬)
イタリアン・スピノーネは、イタリア原産のポインティング・ドッグです。
優れた嗅覚を使って獲物を探し、その位置を猟師に知らせるほか、仕留められた獲物を回収する役割も担ってきました。陸上だけでなく水辺での作業にも対応できる、多用途な猟犬として知られています。
英語では「Italian Spinone」や「Spinone Italiano」と表記され、日本ではジャパンケネルクラブの登録名である「イタリアン・スピノーネ」が用いられています。
「スピノーネ・イタリアーノ」と呼ばれることもありますが、いずれも同じ犬種を指します。
日本では飼育頭数や繁殖例が限られており、一般的なペットショップで見かける機会はほとんどありません。
家族に迎える場合は、犬種について十分な知識を持つブリーダーや、海外からの輸入を含む入手方法について、時間をかけて情報を集める必要があります。
イタリアン・スピノーネの歴史
イタリアン・スピノーネは、ヨーロッパに現存するポインティング・ドッグの中でも、古い歴史を持つ犬種のひとつです。
現在の姿に近い犬は、15世紀ごろのイタリア絵画に描かれているほか、17世紀後半の文献にも記録が残されています。
犬種名の「スピノーネ」は、イタリア語でとげのある植物や茂みを表す言葉に由来すると考えられています。狩猟の場では、草木が密集した場所でも獲物を探し出し、その位置を猟師に知らせる猟犬として活躍してきました。
第二次世界大戦の時期には、戦乱や外国犬種との交雑などによって純血犬の数が大きく減少し、絶滅が危惧されたこともあります。戦後はイタリアの愛好家や繁殖家が犬種の保存と再建に取り組み、現在まで受け継がれてきました。
イタリアン・スピノーネの特徴
イタリアン・スピノーネは、がっしりとした骨格と発達した筋肉を備えた大型犬です。胴体はたくましく、四肢もしっかりしており、全体的に力強く安定感のある体つきをしています。
頭部はやや長く、耳は頬に沿うように垂れています。目元には豊かな眉毛、口まわりには長いひげが生えており、思慮深く親しみやすい表情を作り出しています。
華美というよりも、実用性を感じさせる素朴で個性的な外見が魅力です。
イタリアン・スピノーネの大きさ
イタリアン・スピノーネの体高は、オスが60cm〜70cm、メスが58cm〜65cmです。体重はオスが32kg〜37kg、メスが28kg〜30kgを目安とします。
大型犬の中でも骨量が豊富で、筋肉と骨格のバランスが取れた頑丈な体つきです。体高だけを見ると細身に思える場合もありますが、胸部や胴体には十分な厚みがあり、実際には存在感のある体格をしています。
成長には個体差があるため、体重の数値だけで判断せず、肋骨の触れ方や腰のくびれなども確認しながら、適正な体型を維持することが大切です。
イタリアン・スピノーネの被毛タイプ
イタリアン・スピノーネの被毛は、硬く粗い手触りを持つワイアーヘアです。体を覆う毛の長さはおよそ4cm〜6cmで、皮膚に沿うように密生しています。
アンダーコートは基本的にありません。頭部や耳、四肢の前側などは体の被毛より短く、目の上や口まわりには眉毛やひげのような長い毛が生えています。
この顔まわりの飾り毛が、イタリアン・スピノーネらしい特徴的な表情を作っています。
被毛は柔らかくふさふさしたタイプではなく、硬さと耐久性を備えた実用的な毛質です。
外見を整えるだけでなく、本来の質感を保つためには、伸びた毛を一律に刈るのではなく、死毛を取り除くハンドストリッピングが行われることもあります。
イタリアン・スピノーネの毛色の種類
イタリアン・スピノーネの毛色には、ホワイト一色のほか、ホワイトの地色にオレンジやブラウンの斑が入るタイプがあります。
また、白い毛と色のついた毛が細かく混ざり合うオレンジローンやブラウンローンも認められています。
ローンは、白い毛の間にオレンジやブラウンの毛が均等に混ざることで、全体が細かな霜降り状に見える毛色です。色の濃さや斑の位置には個体差があり、同じ毛色に分類される犬でも見た目の印象は異なります。
ブラックやブラックを含む組み合わせ、トライカラー、フォーンなどは、犬種標準で認められている毛色には含まれません。
イタリアン・スピノーネの性格
イタリアン・スピノーネは、穏やかで忍耐強く、人との関わりを好む傾向があります。家族には愛情深く接し、落ち着いた雰囲気を持つ一方で、猟犬らしい粘り強さと自立心も備えています。
社交的な犬種とされますが、性格には個体差があります。子どもやほかの犬と接する際は、子犬期から適切に社会化を進め、無理のない距離で見守ることが大切です。
また、繊細でマイペースな一面があるため、強く叱るよりも、落ち着いて信頼関係を築く接し方が向いています。
イタリアン・スピノーネの価格相場
イタリアン・スピノーネは日本国内での繁殖例や販売情報が少なく、国内の子犬について安定した価格相場は形成されていません。そのため、海外で販売されている子犬の価格を参考にする必要があります。
海外ブリーダーから迎える場合、子犬そのものの価格は40万円〜50万円前後がひとつの目安です。
これは、アメリカで案内されている2,500ドル〜3,000ドル程度の価格帯を日本円に換算した概算であり、国内で販売される場合の価格を示すものではありません。
この金額には、日本までの航空輸送費、輸送用クレート代、動物検疫に必要な検査費用、各種証明書の発行費用、輸入代行を依頼する場合の手数料などは含まれていません。
実際に海外から迎える際の総費用は子犬本体の価格を大きく上回る可能性があるため、見積もりでは「子犬の価格」と「輸入にかかる諸費用」を分けて確認しましょう。
イタリアン・スピノーネのブリーダーを探す方法
まずは「イタリアン・スピノーネ」「スピノーネ・イタリアーノ」といった犬種名で、国内のブリーダー情報や子犬の出産情報を検索します。
一般的な子犬販売サイトだけでなく、ジャパンケネルクラブの犬種情報、ドッグショーの出陳記録、猟犬や希少犬種を扱うブリーダーのWebサイトなども確認すると、繁殖者につながる手がかりを得られる場合があります。
国内で見つからない場合は、海外のケネルクラブや犬種クラブが公開しているブリーダー情報を確認します。
イタリアン・スピノーネは希少犬種であり、子犬が生まれるまで数か月から1年ほど待つ場合もあるため、すぐに購入できるかどうかだけで判断せず、出産予定や予約方法を問い合わせましょう。
問い合わせる際は、親犬が股関節・肘関節の評価、眼科検査、遺伝性小脳失調症の検査などを受けているか確認します。
あわせて、親犬の性格、子犬の育つ環境、社会化の進め方、ワクチン接種や健康診断、血統書、引き渡し後の相談体制についても質問してください。
親犬や飼育環境を見せない、健康検査の結果を説明しない、契約前に高額な送金を急かすといった相手には注意が必要です。
海外から迎える場合は、契約を進める前に日本の動物検疫所が定める輸入条件を確認し、マイクロチップの装着、狂犬病予防注射、抗体検査、事前届出などの手続きを計画的に進めましょう。
イタリアン・スピノーネの飼い方
イタリアン・スピノーネを飼うには、大型犬が落ち着いて過ごせる室内環境と、毎日十分に体を動かせる時間を確保する必要があります。
室内では滑りやすい床にマットを敷き、立ち上がるときや方向転換するときに足腰へ負担がかかりにくい環境を整えましょう。
人との関わりを好むため、長時間ひとりで過ごさせる生活にはあまり向いていません。散歩や遊びだけでなく、家族と同じ空間で過ごす時間も大切にします。
また、暑い時期は散歩の時間帯を早朝や夜にずらし、室内ではエアコンを使って快適な温度を保ちましょう。
イタリアン・スピノーネの運動量
成犬では、1日合計2時間程度の運動がひとつの目安です。朝晩に分けて散歩を行い、ただ歩くだけでなく、周囲のにおいを嗅ぎながら探索できる時間も取り入れると満足しやすくなります。
広い場所での自由運動や、投げたおもちゃを持ち帰るレトリーブ遊びも適しています。
ただし、屋外でリードを外す場合は、確実に囲われた安全な場所に限定してください。猟犬としての本能から、鳥や小動物を追いかける可能性があります。
運動量は年齢や体調、気温に合わせて調整します。骨格が成長途中の子犬には長距離の走行や激しいジャンプをさせず、シニア犬には無理のない速度と距離で散歩を続けましょう。
イタリアン・スピノーネのしつけ方
体が大きく力も強いため、子犬のうちからリードを引っ張らずに歩く練習や、人へ飛びつかないためのしつけを始めます。
呼び戻し、待て、拾い食いを防ぐ合図など、日常生活の安全に関わるトレーニングも繰り返し行いましょう。
社会化では、さまざまな年齢の人や犬、車の音、街中の環境、動物病院での診察などを、怖がらせない範囲で少しずつ経験させます。子どもやほかの動物と接するときは、慣れている場合でも大人が見守ることが大切です。
しつけは、できた行動をおやつや褒め言葉で評価する方法が向いています。
大声で叱ったり力で抑え込んだりすると、警戒心や不安を強める可能性があります。短時間の練習を繰り返し、家族全員で合図やルールを統一しましょう。
イタリアン・スピノーネのケア方法
被毛は週に数回を目安にブラッシングし、コームなどを使って毛のもつれや付着した汚れを取り除きます。
硬い毛質を保つため、必要に応じて死毛を指や専用の道具で抜くハンドストリッピングを行います。慣れていない場合は、この犬種の被毛を扱えるトリマーへ相談しましょう。
口まわりのひげは食事や飲水で濡れやすいため、汚れや水分をこまめに拭き取ります。散歩のあとは、足裏や指の間、被毛に草の種や小枝が付いていないか確認してください。
垂れ耳は内部に湿気がこもりやすいため、日頃から赤み、におい、耳垢の増加がないか観察します。
水遊びやシャンプーのあとは、耳の入り口付近の水分を優しく拭き取りましょう。耳掃除は汚れが見られるときや、獣医師から指示された方法と頻度で行います。
このほか、爪切りや歯磨きも定期的に行います。自宅でのケアを嫌がらないよう、子犬の頃から足先や口元、耳に触れられる練習を少しずつ進めておくと安心です。
イタリアン・スピノーネの寿命と病気
イタリアン・スピノーネの平均寿命は、10年〜12年程度が目安です。ただし、寿命には遺伝的な要因や生活環境、食事、運動、日頃の健康管理などが影響するため、すべての犬に当てはまるわけではありません。
体重を適正に保ち、年齢や体調に合った運動を続けることが健康維持につながります。
また、若いうちは年1回、シニア期に入ってからは年2回程度を目安に健康診断を受けると、外見だけでは分かりにくい病気の早期発見に役立ちます。
イタリアン・スピノーネのかかりやすい病気
イタリアン・スピノーネでは、関節や耳、消化器、神経に関わる病気に注意が必要です。
犬種傾向があっても必ず発症するわけではありませんが、症状を早めに見つけるためにも、普段の歩き方や食欲、耳の状態などを観察しておきましょう。
股関節形成不全
股関節形成不全は、遺伝的素因や成長、体重など複数の要因が関わり、股関節が正常に形成されにくくなる病気です。
腰を左右に振って歩く、立ち上がるのを嫌がる、運動を避けるといった変化が見られることがあります。症状に気づいた場合は動物病院を受診し、体重管理や運動方法について相談しましょう。
外耳炎
外耳炎は、耳の中に炎症が起こる病気です。アレルギーや異物、寄生虫、細菌、酵母などさまざまな要因が関わります。
耳を頻繁にかく、頭を振る、赤みや強いにおい、耳垢の増加が見られる場合は、自己判断で耳掃除を続けず、早めに診察を受けてください。
胃拡張・胃捻転症候群
胃拡張・胃捻転症候群は、胃にガスや内容物がたまり、胃がねじれることがある緊急性の高い病気です。
吐こうとしても何も出ない、よだれが増える、腹部が膨らむ、落ち着きなく動き回るなどの症状が現れ、進行するとぐったりすることがあります。疑わしい場合は夜間でもすぐに動物病院へ連絡してください。
食事は複数回に分け、早食いや食後すぐの激しい運動、水の一気飲みを避けます。ただし、通常の飲水まで一律に制限してはいけません。発症リスクや予防的な処置については、かかりつけの獣医師に相談しましょう。
遺伝性小脳失調症
遺伝性小脳失調症は、小脳の働きに異常が生じ、歩行や体の動きをうまく調整できなくなる遺伝性疾患です。ふらつく、足を大きく上げて歩く、まっすぐ進めない、頭が震えるといった症状が見られることがあります。
発症した犬を根本的に治す方法は確立されていないため、繁殖前の検査が重要です。子犬を迎える際は、親犬が遺伝性小脳失調症の検査を受けているか確認しましょう。
ただし、検査にも限界があるため、結果の見方についてはブリーダーや獣医師から説明を受けることが大切です。
まとめ
イタリアン・スピノーネは、イタリア原産の大型ポインティング・ドッグです。硬く粗いワイアーヘアと豊かな眉毛やひげ、穏やかで親しみやすい表情を備えています。
家族には愛情深く接する一方、猟犬らしい粘り強さと自立心もあるため、毎日十分な運動と一貫したしつけが欠かせません。
成犬では1日合計2時間程度の運動を目安にし、においを使った探索遊びも取り入れると満足しやすくなります。被毛のブラッシングやハンドストリッピング、口まわりや垂れ耳の衛生管理も必要です。
平均寿命は10年〜12年程度で、股関節形成不全や外耳炎、胃拡張・胃捻転症候群、遺伝性小脳失調症などに注意します。
日本では希少なため、迎える際は健康検査を行う信頼できるブリーダーを時間をかけて探し、大型犬を生涯支えられる住環境、時間、費用を事前に整えることが大切です。



