【獣医師監修】シャルプラニナッツってどんな犬種?特徴と性格や飼い方・価格相場まで解説

【獣医師監修】シャルプラニナッツってどんな犬種?特徴と性格や飼い方・価格相場まで解説

シャルプラニナッツは、バルカン半島の山岳地帯で家畜を守ってきた大型の護畜犬です。特徴や性格、価格相場、入手方法、飼い方、運動量、しつけ、寿命や注意したい病気まで、飼育前に知っておきたい情報を解説します。

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記事の監修

2009年麻布大学獣医学部獣医学科を卒業。
2015年から横浜市内で妻と動物病院を営み、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を行なっています。
2024年現在、犬10頭、猫3頭、多数の爬虫類と暮らしています。
愛犬家、愛猫家として飼い主様に寄り添った診療を心がけています。
内科(循環器、内分泌など)、歯科、産科に力を入れています。

シャルプラニナッツとは

屋外で伏せて正面を見つめるシャルプラニナッツ

  • 犬種名:シャルプラニナッツ(Sarplaninac/Šarplaninac)
  • 別名・旧称:ユーゴスラビアン・シェパード・ドッグ、イリリアン・シェパード・ドッグ
  • 原産国:セルビア/マケドニア
  • 大きさ:大型犬
  • 体高:オス約62cm、メス約58cm
  • 体重:オス 35kg〜45kg、メス 30kg〜40kg
  • 被毛:厚いダブルコート
  • 毛色:ホワイトに近い明るい色、グレー、ダークグレー、ダークブラウン、黒に近い色など
  • 性格:忠誠心が強い、落ち着きがある、警戒心が強い、自立心がある
  • 平均:11年〜13年
  • 役割:護畜犬、作業犬

シャルプラニナッツは、バルカン半島の山岳地帯で、羊などの家畜を外敵から守るために活躍してきた大型の護畜犬です。

護畜犬とは、家畜を追い集める牧羊犬とは異なり、オオカミやクマ、不審者などから群れを守る役割を担う犬を指します。シャルプラニナッツは、こうした仕事に適した強い警戒心と判断力を持つ犬種として発展してきました。

飼い主や家族に対しては深い忠誠心を示しますが、見知らぬ人や慣れない環境に対しては慎重に振る舞う傾向があります。

そのため、家庭犬として迎える場合は、犬種本来の性質を理解したうえで、十分な飼育環境と管理体制を整えることが欠かせません。

日本では一般的なペットショップで見かける機会はほとんどなく、非常に希少な犬種です。迫力のある見た目だけで選ぶのではなく、住環境、しつけ、運動量、入手方法まで慎重に確認したうえで検討する必要があります。

なお、英語圏では「Sarplaninac」と表記され、原語表記を含めて「Šarplaninac」と書かれることもあります。別名や旧称として「ユーゴスラビアン・シェパード・ドッグ」や「イリリアン・シェパード・ドッグ」と呼ばれる場合もあります。

シャルプラニナッツの歴史

屋外で立って周囲を観察しているシャルプラニナッツ

シャルプラニナッツの起源は、旧ユーゴスラビア圏を中心とするバルカン半島の山岳地帯にあります。古くから牧畜が行われてきた地域で、羊や家畜を肉食獣から守る犬として、人々の暮らしと深く結びついてきました。

犬種名は、現在の北マケドニア、コソボ、アルバニア周辺にまたがるシャル山地に由来します。険しい山々と厳しい気候の中で、家畜を守る作業犬として重要な役割を担ってきたことが、この名前にも反映されています。

広い放牧地では、常に人間が犬へ細かく指示を出せるわけではありません。そのため、シャルプラニナッツには、状況を自分で判断し、群れを守るために行動する能力が求められてきました。

こうした背景から、本種は単なる家庭犬としてではなく、実用性を重視して受け継がれてきた犬種といえます。現在でも、飼い主への忠誠心や防衛意識の強さには、護畜犬として長く働いてきた歴史が色濃く残っています。

シャルプラニナッツの特徴

横向きに立つシャルプラニナッツ

シャルプラニナッツは、力強い体格と堂々とした立ち姿が印象的な大型犬です。山岳地帯で家畜を守ってきた犬種らしく、骨太で筋肉質な体つき、厚みのある被毛、落ち着いた存在感を備えています。

頭部は大きく、耳は頭の横に垂れる形をしています。首や胸まわりはたくましく、尾には豊かな飾り毛があり、全体として重厚感のある外見です。

見た目には迫力がありますが、家庭で迎える場合は、体の大きさや被毛の量を十分に理解しておく必要があります。ここでは、体格、被毛、毛色に分けて、外見上の特徴を確認していきます。

シャルプラニナッツの大きさ

シャルプラニナッツの体高は、オスで約62cm、メスで約58cmが目安です。体重はオスが35kg〜45kg、メスが30kg〜40kgとされており、一般的な大型犬の中でもしっかりとした体格を持っています。

オスはメスよりも骨格が太く、より力強い印象になりやすい傾向があります。ただし、実際の大きさには個体差があり、成長期の栄養状態や運動量によっても体つきは変わります。

このサイズの犬を飼う場合、室内の移動スペースや寝床の広さ、車で移動する際のケージの大きさも考慮しなければなりません。子犬の時期は小さく見えても、成犬になると生活空間に大きな影響を与える犬種です。

シャルプラニナッツの被毛タイプ

シャルプラニナッツの被毛は、寒さや悪天候から体を守るために発達した厚いダブルコートです。外側の毛はやや長く粗めで、内側には密な下毛が生えています。

この二重構造の被毛により、寒冷な環境には強い一方で、抜け毛の量は多くなりやすい傾向があります。特に換毛期には下毛がまとまって抜けるため、こまめなブラッシングが欠かせません。

ブラッシングを怠ると、下毛が絡んで毛玉になったり、皮膚が蒸れてトラブルにつながったりすることがあります。厚い被毛を健康に保つには、表面だけでなく根元まで確認しながら手入れすることが大切です。

シャルプラニナッツの毛色の種類

シャルプラニナッツの毛色は、単色が基本とされています。色合いには幅があり、白に近い明るい色から、グレー、ダークグレー、ダークブラウン、黒に近く見える色まで見られます。

個体によっては、光の当たり方や被毛の濃淡によって、淡く見えたり、オオカミのような野性味のある印象に見えたりすることもあります。

犬種標準では単色が望ましいとされ、小さな斑や大きな白いマーキングは好ましくないとされています。ただし、家庭犬として迎える場合は、毛色の珍しさだけで判断せず、健康状態や性質、飼育環境との相性を重視することが大切です。

シャルプラニナッツの性格

飼い主の隣に座っているシャルプラニナッツのアップ

シャルプラニナッツは、飼い主や家族に対して深い忠誠心を持つ一方で、見知らぬ人や慣れない相手には慎重に接する犬種です。

もともと家畜を外敵から守る役割を担ってきたため、周囲の変化に敏感で、防衛意識の強さが性格にも表れやすい傾向があります。

家族に対しては落ち着いて接し、信頼関係を築いた相手には愛情深い面を見せます。ただし、誰にでもすぐに懐くタイプではなく、初対面の人に対しては距離を取って様子を見ることがあります。

自立心が強く、自分で状況を判断しようとする性質もあります。そのため、飼い主の指示を待つだけの従順な犬というより、信頼できる相手のもとで落ち着いて行動する犬と考えると分かりやすいでしょう。

小さな子どもや先住犬との相性には個体差があります。家庭内で良好な関係を築ける場合もありますが、体が大きく力も強いため、接触時は必ず大人が見守り、無理な触れ合いや過度な刺激を避けることが大切です。

警戒心の強さは頼もしい魅力でもありますが、家庭犬として暮らすうえでは慎重な管理が必要です。来客時や散歩中のすれ違いなど、犬が不安や緊張を感じやすい場面では、飼い主が落ち着いて対応できる環境を整えておく必要があります。

シャルプラニナッツの価格相場

芝生の上で伏せているシャルプラニナッツの子犬

シャルプラニナッツは日本国内で流通数が非常に少ない犬種のため、国内のペットショップや一般的な子犬販売サイトで安定した価格相場を確認することは難しい犬種です。

海外の販売例を参考にすると、子犬の生体価格だけで見る場合は、目安として30万円〜60万円前後になることがあります。

ただし、これはあくまで海外での販売価格を日本円に換算した場合の目安であり、日本で迎える際の総額ではありません。

実際に海外から迎える場合は、生体価格に加えて、輸送費、輸入代行費、動物検疫に関わる手続き費用、ワクチン接種や健康証明書の取得費用などがかかります。

そのため、最終的な総額は生体価格だけでは判断できず、数十万円単位で上乗せされる可能性があります。

また、血統、月齢、性別、親犬の評価、繁殖国、為替レート、輸送方法によっても費用は変動します。安い価格だけを基準に選ぶのではなく、健康状態や親犬の情報、飼育環境、契約内容まで確認することが大切です。

特に日本では希少性が高いため、「すぐに購入できる」「相場より極端に安い」といった案内には注意が必要です。価格の安さよりも、信頼できる相手から適切な説明を受けられるかどうかを重視しましょう。

シャルプラニナッツのブリーダーを探す方法

シャルプラニナッツを迎えたい場合、まずは国内でこの犬種を扱っているブリーダーや犬舎があるかを確認します。

一般的なペットショップで見かける機会はほとんどないため、希少犬種に詳しいブリーダー、犬種クラブ、輸入犬を扱う専門業者などを調べるところから始めるとよいでしょう。

探す際は、子犬販売サイトだけで判断せず、親犬の情報、繁殖実績、飼育環境、健康管理の内容を確認することが大切です。

問い合わせの段階で、犬種の性格や飼育の難しさについて丁寧に説明してくれるかどうかも、信頼性を見極めるポイントになります。

見学できる場合は、犬舎の清潔さ、親犬の様子、子犬の健康状態、人への慣れ方などを確認します。
遠方や海外のブリーダーから迎える場合でも、写真や動画、血統書、健康診断書、ワクチン接種記録などを確認し、不明点は必ず事前に質問してください。

海外から輸入する場合は、日本の動物検疫の条件を満たす必要があります。狂犬病予防に関する手続きや証明書に不備があると、到着後すぐに引き取れない場合があるため、輸入経験のある業者や専門家に相談しながら進めると安心です。

また、契約前には、支払い条件、キャンセル時の扱い、引き渡し後のサポート、健康上の問題が見つかった場合の対応を確認しておきましょう。

購入を急かす、実物や親犬の情報を見せない、費用の内訳を説明しない相手は避けた方が安全です。

シャルプラニナッツの飼い方

穏やかな表情のシャルプラニナッツのアップ

シャルプラニナッツを家庭で飼うには、体の大きさに合った生活スペースと、犬を安全に管理できる環境づくりが欠かせません。

力が強く、周囲への警戒心も持ちやすい犬種のため、飼い主が落ち着いて一貫した対応を取れることが大切です。

室内で過ごす場所には、体を伸ばして休める広さを確保し、滑りにくい床材を選ぶと安心です。屋外に出す場合も、脱走を防げる十分な高さと強度のある柵を設置し、道路や隣家との距離にも配慮しましょう。

また、日本の高温多湿な夏は、厚い被毛を持つシャルプラニナッツにとって負担になりやすい季節です。暑い時期はエアコンを使い、涼しい室内で休める環境を整える必要があります。

ここでは、日々の運動、しつけ、ケアの基本を確認していきます。

シャルプラニナッツの運動量

シャルプラニナッツは、もともと広い山岳地帯で家畜を守ってきた犬種のため、毎日の運動が必要です。目安としては、1日2回、1回30分〜1時間程度の散歩を基本にし、年齢や体調、季節に合わせて調整します。

ただ歩くだけでなく、においを嗅ぎながらゆっくり歩く時間や、安全な場所で体を動かす時間を取り入れると、心身の発散につながります。無理に走らせるよりも、落ち着いて長く歩くような運動が向いています。

子犬期やシニア期は、関節や体力への負担を考えて運動量を控えめにします。特に成長期は、階段の上り下りや硬い地面での激しい運動をさせすぎないよう注意しましょう。

夏場は熱中症を防ぐため、日中の散歩は避け、早朝や夜の涼しい時間帯を選びます。運動後は呼吸の荒さや足取りを確認し、無理をさせないことが大切です。

シャルプラニナッツのしつけ方

シャルプラニナッツのしつけでは、子犬期からの社会化がとても重要です。家族以外の人、生活音、車、自転車、動物病院など、さまざまな刺激に少しずつ慣れさせることで、過度な警戒を和らげやすくなります。

ただし、ワクチン接種が完了する前の外出や他の犬との接触には注意が必要です。抱っこ散歩や来客への慣らしなど、感染症リスクに配慮しながら、安全な形で経験を増やしていきましょう。

日常生活では、リードを引っ張らずに歩くこと、呼ばれたら戻ること、来客時に落ち着いて待つことなどを早い段階から教えます。

体が大きくなってから力で制御しようとしても難しいため、子犬のうちからルールを一貫させることが大切です。

叱りつけたり力で抑え込んだりする方法は、警戒心や不信感を強める原因になります。落ち着いた声かけと報酬を使い、望ましい行動を積み重ねるしつけを心がけましょう。

大型犬や護畜犬の扱いに不安がある場合は、早い段階で専門のドッグトレーナーに相談するのも有効です。家庭だけで抱え込まず、犬種の性質に合った方法を学ぶことが、安全な暮らしにつながります。

シャルプラニナッツのケア方法

シャルプラニナッツのケアで特に大切なのは、厚い被毛の手入れです。普段から週に数回はブラッシングを行い、換毛期にはできるだけ毎日、抜けた下毛を取り除くようにします。

被毛の表面だけをとかすのではなく、毛の根元まで確認しながらブラシを入れることが大切です。下毛が残ったままになると、毛玉や蒸れにつながり、皮膚トラブルの原因になることがあります。

シャンプーは体が大きいため負担がかかりやすく、家庭で行う場合は乾かす時間も十分に確保する必要があります。

生乾きのままにすると皮膚が蒸れやすいため、必要に応じて大型犬に対応しているトリミングサロンを利用するのもよいでしょう。

垂れ耳の犬種なので、耳の汚れやにおいも定期的に確認します。あわせて、歯磨き、爪切り、足裏の確認も日常的に行い、体に触られることに慣れさせておくと安心です。

日々のケアは見た目を整えるためだけではありません。体を触る習慣をつけることで、傷、腫れ、皮膚の赤み、歩き方の変化などにも早く気づきやすくなります。

シャルプラニナッツの寿命と病気

地面に伏せて休んでいるシャルプラニナッツ

シャルプラニナッツの平均寿命は、11年〜13年がひとつの目安です。大型犬としては標準的な範囲ですが、日本国内では飼育頭数が少ないため、寿命はあくまで参考値として考えるとよいでしょう。

健康に長く暮らすためには、体重を増やしすぎないこと、無理のない運動を続けること、定期的に動物病院で健康チェックを受けることが大切です。

体が大きい犬種は、関節や胃腸に負担がかかりやすいため、日々の様子をよく観察しましょう。

歩き方、食欲、呼吸、耳のにおい、便の状態などに変化が見られた場合は、早めに獣医師へ相談してください。特に急な体調変化が見られる病気もあるため、「少し様子を見る」よりも早めの受診を意識することが大切です。

シャルプラニナッツのかかりやすい病気

シャルプラニナッツで注意したい病気には、股関節形成不全、胃拡張・胃捻転症候群、外耳炎などがあります。

股関節形成不全は、大型犬に見られやすい関節の病気です。腰を左右に振るように歩く、立ち上がりを嫌がる、階段を避けるなどの様子があれば、早めに動物病院で相談しましょう。

体重管理や滑りにくい床づくりも、関節への負担を減らすうえで役立ちます。

胃拡張・胃捻転症候群は、胃にガスがたまったり、胃がねじれたりする緊急性の高い病気です。

吐こうとしても吐けない、お腹が膨れる、よだれが増える、落ち着きなく歩き回るといった症状が見られた場合は、夜間でもすぐに救急対応できる動物病院を受診してください。

予防のためには、食事を1日2〜3回に分ける、早食いを防ぐ、食後すぐの運動を避けるといった工夫が大切です。胃捻転のリスクが心配な場合は、予防的な処置も含めて獣医師に相談するとよいでしょう。

外耳炎は、垂れ耳の犬に起こりやすい耳のトラブルです。耳をかく、頭を振る、耳からにおいがする、耳垢が増えるといった変化があれば、自己判断で耳掃除を続けず、動物病院で診てもらいましょう。

まとめ

斜面に立っている黒っぽい毛色のシャルプラニナッツ

シャルプラニナッツは、バルカン半島の山岳地帯で家畜を守ってきた大型の護畜犬です。家族への忠誠心が深く、落ち着いた魅力を持つ一方で、警戒心や自立心が強く、誰にでも扱いやすい犬種ではありません。

迎える場合は、十分な生活スペース、毎日の運動、子犬期からの社会化、厚い被毛の手入れ、暑さ対策が欠かせます。また、日本では流通数が少なく、海外から迎える場合は価格だけでなく輸送費や検疫手続きも確認が必要です。

見た目の迫力や希少性だけで判断せず、長期的に安全に管理できる環境を整えたうえで検討しましょう。

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