【獣医師監修】ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノア|犬種の特徴と性格、飼い方や価格相場まで解説

【獣医師監修】ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノア|犬種の特徴と性格、飼い方や価格相場まで解説

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアの特徴や性格、歴史、飼い方を解説。体の大きさや毛色、価格相場、ブリーダーの探し方、運動量、しつけ、寿命や注意したい病気まで、迎える前に知っておきたい情報をまとめました。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアとは

森の中にいるベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノア

  • 犬種名:ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノア(Belgian Shepherd Dog Malinois)
  • 別名:ベルジアンマリノア、マリノア
  • 原産国:ベルギー
  • 大きさ:大型犬
  • 体高:オス 60〜66cm、メス 56〜62cm
  • 体重:オス 25〜30kg、メス 20〜25kg
  • 体重:オス約25〜30kg、メス約20〜25kg
  • 被毛:短毛のダブルコート
  • 毛色:フォーンを基調に、ブラック・マスクやブラック・オーバーレイが入る
  • 性格:賢い、忠実、作業意欲が高い、警戒心が強い、家族に愛情深い
  • 寿命:10〜14年程度
  • 役割:牧羊犬・作業犬

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアは、ベルギー原産のベルジアン・シェパード・ドッグの一種です。一般的には「ベルジアンマリノア」や「マリノア」、英語名の「Belgian Malinois」と呼ばれることもあります。

もともとは人と協力しながら家畜を守り、誘導する牧羊犬として発展してきました。現在では、その判断力や集中力の高さから、警察犬、災害救助犬、探知犬、ドッグスポーツなど幅広い分野で活躍しています。

一方で、単に賢く従順な犬というよりも、人と一緒に課題へ取り組むことに強い意欲を持つ犬種です。

家庭犬として迎える場合も、見た目の精悍さや子犬期のかわいらしさだけで判断するのではなく、犬種特有の気質を理解しておく必要があります。

飼い主との信頼関係を深く築ける魅力的な犬種ですが、犬との暮らしに十分な経験がある人向きです。迎える前には、家族全員で生活環境や接し方をよく確認しておくことが大切です。

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアの歴史

ベルギーの羊の牧草地

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアの歴史は、ベルギー各地で家畜を守っていた牧羊犬にさかのぼります。

19世紀後半からベルギー国内の牧羊犬が整理され、被毛の違いなどによっていくつかの系統に分けられるようになりました。

ベルジアン・シェパード・ドッグには、グローネンダール、タービュレン、マリノア、ラケノアという4つのバラエティーがあります。

マリノアは、ベルギーのメヘレン周辺で発展した系統とされ、現地のフランス語名「マリーヌ」に由来してその名が付けられました。

牧羊犬として求められたのは、家畜の動きを読み取る判断力、人の指示に応える理解力、広い場所を動き続ける体力、そして見知らぬものに注意を向ける警戒心でした。

こうした資質が、のちに作業犬としての高い評価につながっていきます。

20世紀には、警察犬や軍用犬、伝令犬、捜索犬などとしても活躍の場を広げました。現在もマリノアは、単なる家庭犬という枠に収まらず、人と協力して役割を果たす犬種として世界的に知られています。

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアの性格

おもちゃで遊ぶベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノア

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアは、非常に知能が高く、飼い主との結びつきを大切にする犬種です。人の動きや声の調子をよく観察し、信頼した相手に対しては強い忠誠心を示します。

家族に対しては愛情深く、そばにいることを好む一面もあります。ただし、誰にでもすぐに懐くタイプではなく、見知らぬ人や慣れない環境に対しては慎重に反応することがあります。

また、周囲の変化に敏感で、退屈や不安を感じると落ち着きのなさや吠えにつながる場合があります。これは気性が荒いというより、もともと人の指示を受けながら働くために発展してきた犬種ならではの反応といえます。

穏やかに暮らすためには、飼い主が一貫した態度で接し、犬が安心して行動できる関係を築くことが重要です。適切に向き合えば、マリノアは家族に深い信頼を寄せ、頼もしいパートナーになってくれる犬種です。

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアの特徴

高く跳ぶベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノア

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアは、引き締まった体つきと精悍な表情が印象的な犬種です。無駄の少ない筋肉質な体型をしており、立ち姿からも機敏さや力強さが伝わります。

体のバランスは整っていて、全体的にすっきりとした印象があります。ピンと立った三角形の耳、まっすぐ前を見つめる鋭い目元、顔まわりの黒いマスクが、マリノアらしい凛々しさを引き立てています。

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアの大きさ

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアの犬種標準では、理想体高はオスで約62cm、メスで約58cmとされています。許容範囲を含めると、オスは60〜66cm前後、メスは56〜62cm前後が目安です。

体重は、オスで25〜30kg前後、メスで20〜25kg前後が一般的です。中型犬から大型犬に近いサイズ感で、細身に見えても骨格と筋肉がしっかりしています。

体高と体重だけを見ると極端に大きい犬種ではありませんが、全身がよく発達しているため、実際には数値以上に力強い印象を受けます。特に成犬になると、胸や肩、後ろ足まわりの筋肉がはっきりしてきます。

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアの被毛タイプ

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアは、ベルジアン・シェパード・ドッグの中でも短毛タイプに分類されます。被毛は短く、密に生えており、体のラインが分かりやすいのが特徴です。

見た目はすっきりしていますが、被毛はダブルコートです。表面の毛の下にアンダーコートがあり、気温や天候の変化から体を守るつくりになっています。

同じベルジアン・シェパード・ドッグでも、グローネンダールやタービュレンは長毛、ラケノアは粗毛です。マリノアはそれらと比べて、よりシャープで実用的な印象を持つ短毛のバラエティーといえます。

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアの毛色の種類

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアの代表的な毛色は、フォーンをベースにした色合いです。フォーンとは黄褐色系の毛色で、明るい茶色から赤みのある茶色まで個体差があります。

マリノアらしさを強く印象づけるのが、ブラック・マスクと呼ばれる顔まわりの黒い毛色です。口元から目元、耳にかけて黒が入ることで、表情がより引き締まって見えます。

また、被毛にはブラック・オーバーレイと呼ばれる黒い差し毛が入ることがあります。光の当たり方や差し毛の濃さによって、全体が明るく見えたり、やや黒っぽく見えたりするのも特徴です。

全身が黒いベルジアン・シェパード・ドッグはグローネンダールにあたるため、マリノアの黒っぽさとは区別して考えると分かりやすいでしょう。

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアの価格相場

PRICEの文字

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアの子犬は、日本国内での流通数が多い犬種ではありません。

そのため、チワワやトイ・プードルのように販売数が安定している犬種と比べると、価格相場を一律に判断しにくい傾向があります。

国内の掲載・成約データでは、40万円前後がひとつの目安になることがあります。ただし、実際の価格は血統、月齢、性別、親犬の実績、健康検査の内容、繁殖している犬舎の方針によって変わります。

また、海外のワーキングラインから迎える場合は、子犬の価格に加えて輸送費や手続き費用がかかるため、総額が大きく上がることもあります。

購入を検討する際は、表示されている生体価格だけでなく、お迎え後にかかる費用まで含めて考えることが大切です。

特にマリノアは、体力や作業意欲が高い犬種です。フード代、医療費、ペット保険料、頑丈なクレートやリードなどの用品費も、あらかじめ見込んでおく必要があります。

価格が相場より極端に安い場合は、すぐに決めず、繁殖環境や親犬の健康状態、子犬の社会化状況をよく確認しましょう。価格だけで選ばず、信頼できる相手から迎えることが、後悔を防ぐうえで重要です。

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアのブリーダーを探す方法

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアを迎えたい場合は、まず犬種名で子犬検索サイトやブリーダー紹介サイトを調べるところから始めると分かりやすいです。

検索するときは、「ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノア ブリーダー」「ベルジアンマリノア 子犬」など、正式名称と一般的な呼び名の両方で探すと見つけやすくなります。

気になるブリーダーが見つかったら、犬舎の所在地、第一種動物取扱業の登録番号、販売実績、過去の購入者の評価などを確認します。

公式サイトや紹介ページに情報が少ない場合は、問い合わせの段階で丁寧に説明してくれるかどうかも大切な判断材料になります。

見学ができる場合は、子犬だけでなく親犬の様子も見せてもらいましょう。親犬の性格、健康状態、人への反応、飼育スペースの清潔さを見ることで、その犬舎がどのように犬を育てているかを判断しやすくなります。

マリノアは家庭犬としては扱いが簡単な犬種ではないため、売ることだけを優先するブリーダーよりも、飼い主の生活環境や犬の飼育経験をきちんと確認してくれる相手のほうが安心です。

質問に対して具体的に答えてくれるか、迎えた後も相談できる体制があるかも確認しておきましょう。

また、股関節や肘関節などの健康面について、親犬にどのような検査や配慮をしているかも大切です。ワクチン接種、健康診断、引き渡し時期、契約書の内容についても、事前に説明を受けてから判断してください。

ペットショップで偶然見かけた場合も、すぐに決めるのは避けたほうが安心です。繁殖元、親犬の情報、これまでの飼育環境、社会化の状況を確認し、納得できない点がある場合は無理に迎えないようにしましょう。

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアの飼い方

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアのアップ

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアと暮らすには、体力だけでなく、知的な欲求を満たせる環境づくりが大切です。

毎日の運動、落ち着いた接し方、一貫したルールを組み合わせることで、犬も人も安心して暮らしやすくなります。

また、力が強く反応も速い犬種のため、散歩や来客時、外出先での管理には注意が必要です。家族全員で接し方をそろえ、興奮しやすい場面でも安全にコントロールできるようにしておきましょう。

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアの運動量

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアは、運動量が非常に多い犬種です。

成犬では、朝夕それぞれしっかり運動時間を確保する必要があります。ただし、具体的な時間や内容は、年齢、体調、気温、関節の状態に合わせて調整しましょう。

散歩だけで満足させるのは難しいため、安全が確保された場所での走る運動や、ボール遊び、ノーズワーク、簡単な服従トレーニングなどを組み合わせるのがおすすめです。

呼び戻しが不十分な状態での自由運動や、他の犬が多い場所での無理な運動は事故につながるおそれがあります。周囲の状況をよく見ながら、飼い主が確実に管理できる範囲で行いましょう。

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアのしつけ方

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアのしつけでは、子犬期からの社会化が重要です。家族以外の人、生活音、車、自転車、動物病院などに少しずつ慣らし、過度な警戒心が育たないようにします。

ただし、子犬期の外出や他犬との接触は、ワクチン接種状況や獣医師の助言を踏まえて進めることが大切です。安全な範囲で経験を積ませ、怖がらせないように段階的に慣らしていきましょう。

基本となるのは、リードを引っ張らずに歩くこと、呼び戻し、待て、人への飛びつき防止などです。体罰や力任せの方法は避け、できた行動をすぐに褒めることで、犬が理解しやすい形で教えていきます。

マリノアは覚えが早い反面、望ましくない行動も習慣化しやすい犬種です。扱いに迷う場合は、作業犬や大型犬の経験があるトレーナーに早めに相談すると安心です。

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアのケア方法

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアは短毛ですが、抜け毛はあります。週に数回ブラッシングを行い、抜け毛や汚れを取り除くことで、皮膚と被毛を清潔に保ちやすくなります。

シャンプーは汚れ具合に応じて行い、洗った後はしっかり乾かしましょう。運動後は、足裏や爪、肉球に傷や異物がないかを確認しておくと安心です。

日常ケアでは、歯磨き、爪切り、耳のチェックも大切です。子犬のころから体に触られることに慣らしておくと、自宅でのケアや動物病院での診察がスムーズになります。

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアの寿命と病気

ハートを持つ医師

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアの平均寿命は、10〜14年程度がひとつの目安です。

中型から大型に近い体格を持つ作業犬としては比較的長く暮らす個体もいますが、日々の体調管理や定期的な健康診断は欠かせません。

特に、活発に動く犬種であるため、関節への負担や急な体調変化には注意が必要です。歩き方の違和感、食欲の低下、元気のなさ、苦しそうな様子が見られる場合は、早めに動物病院で相談しましょう。

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアのかかりやすい病気

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアでは、体格や活動量に関係する関節のトラブル、急を要する消化器の病気などに注意が必要です。ここでは、飼い主が特に知っておきたい代表的な病気を紹介します。

股関節形成不全

股関節形成不全は、股関節のかみ合わせに異常が起こり、歩き方に違和感や痛みが出る病気です。腰を左右に振るように歩く、立ち上がりに時間がかかる、運動を嫌がるといった様子が見られることがあります。

遺伝的な要因が関わることもあるため、子犬を迎える際は親犬の健康検査について確認しておくと安心です。日常生活では、肥満を防ぎ、滑りやすい床にマットを敷くなど、関節への負担を減らす工夫が大切です。

肘関節形成不全

肘関節形成不全は、前足の肘関節に異常が生じ、痛みや跛行につながる病気です。歩くときに前足をかばう、運動後に足を気にする、段差を嫌がるといった変化が見られることがあります。

成長期の過度な運動や体重増加は、関節への負担を大きくする可能性があります。若い時期は無理なジャンプや長時間の激しい運動を避け、体格に合った運動量を意識しましょう。

胃拡張・胃捻転症候群

胃拡張・胃捻転症候群は、胃にガスがたまったり、胃がねじれたりする命に関わる病気です。

お腹が急に膨らむ、吐こうとしても吐けない、よだれが増える、落ち着きなく歩き回るといった症状が見られた場合は緊急性があります。

リスクを下げるためには、食事を一度に大量に与えすぎないことが大切です。食後すぐの激しい運動は避け、異変を感じたときは様子を見ず、速やかに動物病院へ連絡しましょう。

まとめ

舌を出すベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノア

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアは、ベルギー原産のベルジアン・シェパード・ドッグの一種で、知能の高さと飼い主への深い忠誠心を持つ犬種です。

引き締まった体つきと精悍な表情が魅力で、家庭でも頼もしいパートナーになり得ます。一方で、運動量や知的刺激を十分に確保し、一貫したしつけを続けられる環境が必要です。

価格だけで判断せず、信頼できるブリーダーや親犬の健康状態を確認し、迎えた後の費用や生活管理まで考えて検討しましょう。犬との暮らしに経験があり、毎日の時間と労力を惜しまず向き合える人に向いた犬種です。

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