ティーカップポメラニアンとは?
「ティーカップポメラニアン」とは、一般的に成犬になっても『ポメラニアンの標準サイズよりも著しく小さい個体』を指して使われます。
ポメラニアンは元々小型犬ですが、その中でも特に小さな個体を「ティーカップサイズ」と称して区別することがあります。これは、かつてティーカップに収まるほど小さい、と表現されたことに由来すると言われています。
ただし、「ティーカップ」という明確な犬種の定義や、統一されたサイズ基準はありません。そのため、販売者によってサイズの基準が異なる場合があります。
また、ティーカップポメラニアンという呼称は、血統書を発行するような団体では公認されていないため、非公式なサイズ分類です。
ティーカップポメラニアンの大きさと注意点
「ティーカップポメラニアン」には公式なサイズ基準がありません。
しかし、一般的にこのサイズに分類される個体は、成犬時の体重が1kg台前半、中には1kg未満の個体も見られます。体高もポメラニアンの標準より低くなります。
非常に小さいことが最大の魅力の一つですが、この小ささゆえに注意が必要な点が多くあります。
成長過程で標準サイズになってしまうことも…
子犬の頃に「ティーカップサイズ」と言われても、成長につれてポメラニアンの標準サイズに近くなる可能性もゼロではありません。個体差が非常に大きいです。
体が小さいため標準犬種よりもケガのリスクが高い
体が小さいため、少しの衝撃や落下でも大怪我につながるリスクが高いです。高い場所からの飛び降りや、抱っこ中の落下には特に注意が必要です。
ティーカップポメラニアンの平均寿命
ティーカップポメラニアンの平均寿命は、明確な統計データはありません。
一般的なポメラニアンや小型犬の平均寿命(12歳~16歳程度)と比較して、やや短い傾向にあると言われることがあります。
ただし、育て方によっては寿命が伸びたり、逆に寿命が短くなることもあるため、健康面に配慮した食事や生活環境を構築することが、ティーカップポメラニアンが長生きする鍵となるでしょう。
ティーカップポメラニアンの注意すべき病気
その小ささゆえに特定の健康リスクが高まる可能性があるためです。特に注意が必要な病気は、小型犬、とりわけ超小型犬に多く見られるものです。
これらの病気を予防するためには、日頃から犬の様子をよく観察し、異変があれば早期に動物病院に相談することが非常に重要です。また、安全な飼育環境を整え、過度な運動や落下のリスクを避けるなどの配慮が必要です。
低血糖(ていけっとう)
体が小さいため、エネルギーを蓄える能力が低く、食事の間隔が空くと血糖値が急激に下がることがあります。特に子犬の頃は注意が必要です。震えやぐったりするなどの症状が見られたら、すぐに動物病院を受診する必要があります。
骨折: 骨が細く脆い傾向があるため、段差からの飛び降りや抱っこ中の落下などで簡単に骨折してしまうことがあります。
水頭症(すいとうしょう)
脳の中に脳脊髄液が過剰に溜まってしまう病気。頭部が大きくなる、けいれん、視力障害などの症状が現れることがあります。
泉門開存(せんもんかいぞん): 頭蓋骨のつなぎ目にある隙間(泉門)が成犬になっても閉じずに残っている状態。頭部への衝撃に弱くなります。
膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)
膝のお皿(膝蓋骨)が正常な位置からずれてしまう病気。足を引きずる、スキップするような歩き方をするなどの症状が見られます。小型犬に非常に多い病気です。
気管虚脱(きかんきょだつ)
気管がつぶれて呼吸が困難になる病気。アヒルが鳴くような「ガーガー」という咳が特徴的です。
ティーカップポメラニアンの値段の相場
ティーカップポメラニアンの価格は、一般的なポメラニアンと比較して高額になる傾向があります。その希少性や人気の高さが影響しています。
価格帯は販売者(ブリーダーやペットショップ)、毛色、月齢、血統、性別など様々な要因によって大きく変動しますが、数十万円から100万円を超えることも珍しくありません。
価格に影響するポイント
サイズ
より小さい個体ほど高価になる傾向があります。
毛色
オレンジ、レッド、クリームといった人気の毛色や、希少な毛色(ブルー、チョコレートなど)は価格が高くなることがあります。
血統
チャンピオン犬の子孫など、血統が良いとされる個体は高価になります。
月齢
若い子犬ほど価格が高い傾向があります。
販売元
専門のブリーダーから迎える場合と、ペットショップで迎える場合で価格設定が異なることがあります。
犬を飼う上で様々な費用がかかる事も忘れずに
値段の相場はあくまで「犬自体の値段」です。
迎え入れる際には、ワクチン接種費用、マイクロチップ装着費用、健康診断費用などの初期費用に加え、生涯にわたるフード代、医療費(病気や怪我の治療費、定期的な健康診断)、トリミング代、グッズ代なども考慮する必要があります。
衝動的に価格だけで判断せず、総合的な費用を理解しておくことが大切です。
ティーカップポメラニアンを迎える方法
ティーカップポメラニアンを迎える主な方法は、専門のブリーダーから迎えるか、ペットショップから迎えるかの二通りが考えられます。
どちらの方法にもメリット・デメリットがありますので、それぞれの特徴を理解し、ご自身の状況や希望に合った方法を選ぶことが重要です。
専門のブリーダーから迎える
メリットとして親犬や兄弟犬を見ることができ、犬の性格や健康状態、育った環境を把握しやすい事があります。また、ブリーダーから直接、犬種に関する詳しい情報や飼育のアドバイスをもらえる点や、特定の血統や特徴を持つ個体を探しやすいでしょう。
ただし、希望するブリーダーが見つかるまで時間がかかる場合があります。子犬が生まれるまで待つ必要がある場合も。一般的にペットショップよりも高額になる傾向にも注意が必要です。
ペットショップから迎える
様々な犬種や個体を一度に見ることができ、気に入った子を比較的すぐに迎えることができます。店舗によっては、飼育に必要なグッズを同時に揃えることができるので便利です。
親犬や兄弟犬の様子を見れないため、犬がどのように育ったのか詳しい背景を知ることが難しいでしょう。また、多くの人が犬に触れる環境にいるため、感染症のリスクに注意が必要な場合があります。
迎え入れる際のポイント
信頼できる販売者を選ぶ
健康な子犬を迎えるためには、犬の管理を適切に行っているか、衛生的な環境かなどをしっかりと確認することが大切です。質問に誠実に答えてくれるかどうかも重要な判断基準になります。
犬舎や店舗を訪問する
実際に足を運び、子犬や親犬の様子、飼育環境を自分の目で確認しましょう。
健康状態を確認する: 目の輝き、鼻の湿り具合、歩き方、食欲など、子犬の健康状態を注意深く観察しましょう。可能であれば、獣医師による健康診断の結果を見せてもらうと安心です。
契約内容をしっかりと確認する
購入契約書の内容(生体保証など)を十分に理解してから契約しましょう。
安易な気持ちで迎え入れるのではなく、終生家族として愛情と責任を持って飼育できるか、自身のライフスタイルや経済状況などを考慮して十分に検討することが何よりも大切です。
まとめ
ティーカップポメラニアンは、その極めて小さな体と愛らしい容姿で多くの人々を魅了します。しかし、「ティーカップ」というサイズは非公式な分類であり、その小ささゆえに注意すべき健康リスクや特別なケアが必要となることを十分に理解しておく必要があります。
この記事でお伝えしたように、ティーカップポメラニアンには低血糖や骨折、特定の遺伝性疾患など、かかりやすいとされる病気がいくつか存在します。彼らの小さな体を守るためには、安全な飼育環境を整え、日々の健康観察を怠らず、異変があればすぐに獣医師に相談することが不可欠です。
また、迎え入れる際には、その高額な価格だけでなく、生涯にわたる医療費やケアにかかる費用も考慮に入れ、経済的な準備をしておくことが重要です。
専門のブリーダーや信頼できるペットショップから情報を収集し、実際に犬舎や店舗を訪問して子犬の様子を確認するなど、十分な情報収集と検討を行った上で、責任を持って迎え入れることが、ティーカップポメラニアンと飼い主双方にとって幸せな未来につながります。
ティーカップポメラニアンを迎えることは、大きな喜びであると同時に、小さな命を守るという大きな責任を伴います。可愛さだけで判断せず、この犬種に関する正しい知識を持ち、愛情と責任を持って終生大切に育てていく覚悟ができた上で、新しい家族として迎え入れてください。