寝たきりの愛犬への介護と飼い主が気をつけたい注意点

寝たきりの愛犬への介護と飼い主が気をつけたい注意点

犬も人と同じように老化や病気によって寝たきりになることもあり得ます。今回は動物介護士資格を持つペット終活アドバイザーが、愛犬が寝たきりになった際の介護や飼い主が覚えておきたい注意点についてお話します。

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以前はトリマーとして働いていましたが、愛犬を亡くしたことをきっかけにペットロスカウンセラーに転身しました。現在はペットロスカウンセリングやグリーフケアを行う一方で、Webライターとして動物に関する記事を執筆しています。

最も注意したい床ずれ予防

睡眠中の犬

寝たきりになってしまった愛犬のケアで最も注意してほしいのが「床ずれの予防」です。しかし、「床ずれ」という言葉を耳にしたことはあっても詳しくは知らないという人も多いかもしれません。

まずは、床ずれについて詳しく解説していきます。

床ずれとは?

「床ずれ」は、長期間同じ姿勢でいた際に、体重がかかっている部分の皮膚表面が壊死してしまう状態のこと。体重による圧迫の他にも栄養不足・摩擦・湿気など、さまざまなことが起因しています。

床ずれになりやすいとされているのは、次のような箇所です。

  • 前足
  • 後ろ足

脂肪や筋肉が少なく骨が出っ張っているこのような部分は、特に注意して見る必要があります。

しかし、床ずれは悪化した状態であれば目視ですぐにわかりますが、発生初期では内部組織のダメージを目で見て確認することはできません。

そのため、飼い主や周りの人間が異変に気づいた時には、もうすでに悪化している状態のことがほとんどなのです。

床ずれは一度起こってしまうと再発しやすかったり治療期間が長くなったりと、犬にも飼い主にも大きな負担となってしまいます。

ですから、介護の初期から床ずれしないよう、しっかり予防することを心がけましょう。

床ずれを予防するために

愛犬の床ずれを予防するのには、まず「こまめに寝返りを打たせてあげる」ということが大切です。

同じ箇所が長時間にわたって圧迫され続けないように、飼い主は定期的に愛犬の体の向きを反対に変えてあげるようにしましょう。

ただし、この時に無理やり犬の体を持ち上げてしまうと、犬の内臓に負荷をかけてしまうこともあります。

体の大きな犬を寝返りさせる時には、家族や周囲の人に手伝ってもらうようにしてくださいね。一人で抱き上げることのできる小型犬の場合でも、ゆっくりと体勢を整えていくことが大切です。

また、ペット介護用品を取り扱っているショップでは、体圧分散性や通気性に優れた床ずれ防止用のマットやクッションも販売されています。

こうしたグッズも使いながら、予防に努めていきましょう。軽く体をマッサージして血流をよくしてあげるのもおすすめですよ。

床ずれになってしまったら

どんなに気をつけて予防をしていても、床ずれが起きてしまうこともあります。

先ほどもお話したように、飼い主が目で見て気がつく頃にはすでに悪化していることがほとんどです。

「床ずれかもしれない」と思ったら、なるべく早く動物病院に連れて行ってください。

受診の際に自宅でのケアの仕方も教えてくれるので、担当の獣医師さんの指示に従って、おうちでも床ずれの手当てを続けていきましょう。

愛犬の清潔を保つ

タオル中の犬

寝たきりの愛犬の介護において、床ずれの予防と併せて気をつけたいのが「愛犬の清潔を保つ」ということです。

寝たきりになると排泄もその場で行うようになるので、どうしても体が汚れてしまいがちです。

そのままにしておくと皮膚に悪影響が出て、先ほどお話した床ずれなどの一因となってしまうこともあります。

排泄後に限らず、犬の体はこまめにシャンプータオルや蒸しタオルで拭いて、清潔を保つようにしましょう。

蒸しタオルを使って犬の体が濡れてしまった場合、体が冷えないように仕上げとして乾いたタオルでも優しく拭いてあげてくださいね。

また、少しでも排泄の際の処理がしやすいように、前もってお尻周りの毛は短くカットしておくのもおすすめです。

認知症予防も忘れずに

散歩中の犬

寝たきりになってしまうといつも同じ部屋で過ごすようになるので、犬の脳への刺激はかなり少なくなります。

しかし、そうして脳への刺激が少ないまま過ごしていると、認知症や痴呆などの認知機能障害につながってしまうこともあるので注意が必要です。

ここからは、寝たきりの犬のためにできる認知症予防についてお話します。

こまめに話しかける

「ずっと寝ているから」と、あまり犬に話しかけないようになってしまった飼い主さんもいるかもしれませんね。

ですが、話しかけることは犬の脳にとても良い刺激となりますから、飼い主さんは愛犬にこまめに話しかけてあげましょう。

この時、話しかけながら撫でてあげるのもいいですね。脳への刺激はもちろんのこと、大好きな飼い主さんとのスキンシップは愛犬もとても嬉しいかと思いますよ。

忙しい時にはラジオやテレビをつけておくだけでも、人の話し声や音などによって脳への刺激が加わるのでおすすめです。

朝と夜の区別をつける

また、寝たきりでいると朝と夜の区別がつきにくくなってしまい、夜鳴きをすることがあります。

寝たきりであっても朝には一度犬を起こすようにして、朝と夜の区別がつきやすいようにしてあげましょう。

昼間は日光浴などをさせてあげるのもいいかもしれませんね。

短時間でもいいので外を散歩する

カートを使ったり抱っこをしたりして、短時間でもいいので外を散歩するのもおすすめです。

自分で歩くことはできなくても、外の空気や音などによって愛犬の脳が刺激されるので、認知機能障害の予防には十分役立ちますよ。

秋や冬の場合は体が冷えて風邪をひかないよう、しっかり防寒対策をして出かけてくださいね。

愛犬の介護は無理せず楽しく

寝たきりになった愛犬への介護や飼い主が気をつけたい注意点についてお話しました。

寝たきりは特に「愛犬が動けなくなってしまった」という事実から、飼い主は介護に一生懸命になりがちです。

もちろん、大切な家族である愛犬の介護を一生懸命に行うのは悪いことではありません。

しかし、必死になりすぎてしまうと、飼い主の精神的負担も大きくなり後々ペットロスの重症化にもつながりやすくなります。

動けなくなってしまっても、愛犬は愛犬です。寝たきりになってしまっても、これまで通りに「飼い主であるみなさんと愛犬が幸せに過ごしていくこと」が大切ですよ。

家族、周囲の友人、かかりつけの動物病院、ペット介護サービスなど、頼れるところは頼りながら、無理をせずに少しでも楽しく愛犬の介護を行っていきましょう。

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