愛犬の介護を始める前の心構え

愛犬の介護を始める前の心構え

犬も人間と同じで介護が必要になる場合もありますよね。そうした際に、飼い主はどのような心構えでいるといいのでしょうか。ペット終活アドバイザーの視点から「愛犬の介護を始める前の心構え」についてお話します。

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以前はトリマーとして働いていましたが、愛犬を亡くしたことをきっかけにペットロスカウンセラーに転身しました。現在はペットロスカウンセリングやグリーフケアを行う一方で、Webライターとして動物に関する記事を執筆しています。

愛犬の介護の目的を考える

睡眠中の犬

まず、みなさんは「愛犬の介護の目的」は何だと考えていますか?

きっと「最後まで責任を持って愛犬の面倒を見ることが飼い主の役目だから」と、漠然と介護を行う人が多いかと思います。

しかし、介護は先が見えない大変な作業です。強いてゴールを指すとしても、それは「愛犬の死」であって飼い主にとってはとても悲しい現実ですよね。

そんな悲しみに向かって淡々と愛犬の介護を進めていくのは、非常に辛いことです。まずは、しっかりと介護の目的を考えるようにしておきましょう。

動物介護士の資格を持ち、ペット終活アドバイザーとして活動している筆者が「愛犬の介護の目的」を挙げるとすれば、それは「愛犬が愛犬らしく過ごせる暮らしを守ること」です。

犬だって、私たち人間と同じように「個性」があって「その子らしい暮らし」もあります。

ですが、終末期にはどうしても体が言うことを聞かなくなったり体調を崩したりしますから、その暮らしが「当たり前」ではなくなってしまうことが多いのです。

そうした「愛犬の当たり前でなくなってしまいそうな暮らし」を、介護によって“当たり前のように保ち守っていく”こと。

それを、愛犬の介護の目的としておくと、つらく考えてしまいがちな介護にも一筋の光が見えて来るのではないか……と私は感じています。

介護の前に覚えておくポイント

頭を撫でられている犬

愛犬の介護の目的を考えることが大切だとお話してきましたが、実際に介護を始める前に覚えておいてほしいこともあります。

ここからは、愛犬の介護を始める前に飼い主のみなさんに覚えておいてほしいポイントを3つご紹介します。

ポイント1:サポートの意味を間違えない

まず最初に、飼い主さんに覚えておいてほしいのは「サポートの意味を間違えないで」ということです。

大切な家族である愛犬のため、「何でもかんでもしてあげたい」と思う飼い主さんはきっと多いでしょう。

素晴らしい心意気だと思いますし、そのくらい愛犬を大切に想っているという愛情の現れにも感じます。

ですが、ここで一度「愛犬の目線」にも立ってみましょう。大好きな飼い主さんが自分のため、一生懸命にさまざまなことをしてくれるのは、きっと嬉しいことかと思います。

でも、一方で「自分ができることまでやられてしまった」という愛犬のストレスにはなっていないでしょうか?

飼い主は、愛犬の全てのことをするのではなく「愛犬ができなくなったことを手伝う」というスタンスを忘れないようにしましょう。

私自身も数年前に愛犬の介護を行っていたのですが、じつはこれを勘違いしたまま愛犬を看取りました。介護をしていた当時は「愛犬の身の回り全てのことをしてあげるのが彼女のため」と思っていました。

しかし、愛犬が亡くなった後で「あの子のあの子らしい暮らしを奪ってしまった」というのが大きな後悔となり、ペットロスの長期化にもつながったのです。

これから介護を始めるみなさんは、愛犬が「最期まで愛犬らしく」いられるように、愛犬が自分でできることまで奪ってしまわないように注意してくださいね。

ポイント2:完璧にこなそうとしない

大切な愛犬の介護をするにあたって「全部を完璧にこなそう」と気張ってしまう飼い主さんも多いかと思います。

ですが、介護は完璧である必要はありません。

私たち飼い主は機械ではありませんから「完璧な介護」なんてそもそも無理なのだと、初めにしっかり理解しておきましょう。

介護をしていくうちに「もっとこうするべきだった」とか「こうしてあげたかったのに」と、もやもやしてしまうこともあるでしょう。

でも、それは必ずしも「愛犬が求めていること」ではありません。少し厳しい言い方をしてしまうと「人間側のエゴ」になってしまっていることだってあるのです。

先ほどもお話したように、愛犬の介護で大切なのは「愛犬のできなくなったことをサポートしていく」という気持ちです。

完璧な介護なんてしなくても、その気持ちさえあれば大丈夫ですよ。

ポイント3:愛犬の介護は十人十色・臨機応変でいい

愛犬の介護をしていく中で、「他の人はどうしているのだろう」と気になることもあるかもしれません。

もちろん、他の人の介護を参考にするのはいいのですが、だからと言って「自分は全然ダメだ」と落ち込むことはしないでくださいね。

同じ「愛犬の介護をする飼い主」という立場であっても、介護の方法や方針は十人十色です。

その家庭ごとに生活環境も愛犬の性格なども違うのですから、自分の介護と他人の介護を比べる必要なんてありません。

また、「うちの介護はこれだ」と一つに介護のスタイルを決め込んでしまうのも避けましょう。

これは先ほどの「完璧にこなそうとしない」と通ずる部分もあるのですが、「こうしないといけない」と決めてしまうと、もしそれができなかった場合に飼い主のストレスになってしまうこともあります。

「愛犬の介護は十人十色、そして臨機応変に」ということを心に留めておきましょう。いろいろな介護方法を試しながら、ご自分や愛犬にあったものを見つけていってくださいね。

「介護」は幸せに過ごすための「手段」

愛犬の介護を始める前の心構えについてお話しました。

愛犬の介護は飼い主がたった一人で抱え込むのではなく、家族や周囲の人と協力したり、ペット介護サービスなどもうまく利用したりして、「無理なく楽しく継続する」ということが理想です。

もちろん、飼い主にとってつらいこともたくさんあるかもしれません。それでも、少しでも飼い主さんが無理せずに行っていける方法を見つけていきましょう。

初めに「愛犬の介護の目的を考えよう」とお話しましたが、いつしか「介護そのものが目的」になってしまうことはよくあります。

でも、愛犬の介護はあくまでも「愛犬も飼い主も幸せに過ごすための手段」だということを忘れないようにしてくださいね。

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