犬に落ち着きがない!そわそわ・うろうろする時に考えられる5つの原因

犬に落ち着きがない!そわそわ・うろうろする時に考えられる5つの原因

なんだか愛犬が落ち着きなく歩き回っている……。そんな経験はありませんか?犬がそわそわしているときは、心身に異変が起きている場合が多いといえます。原因を知って問題を解決してあげましょう。

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記事の監修

大阪府立大学生命環境科学部獣医学科卒業。その後、約10年に渡り臨床獣医師として動物病院に勤務。予防医療、行動学、老犬の介護問題に興味を持っています。正しい知識と情報を多くの方に伝えたいという思いからWEBライターとして動物関係の記事を執筆しています。

犬に落ち着きがない原因

愛犬がそわそわしていたりうろうろ動き回って、なんだかいつもと様子が違う。それは愛犬からの飼い主への不安・不調サインです。こうした愛犬の落ち着きのない行動をよく観察すると、その原因が見えてきます。

こうした「落ち着きのない原因」を大きく5つに分けて調査しました。場合によってはかかりつけの動物病院に相談する必要もあるので、あてはまる方はぜひ参考にしてください。

原因1.不安を感じている

こちらをじっと見つめる犬

愛犬と一緒に生活をしていると急に落ち着きなく、そわそわしたりウロウロしたりすることがあります。

犬が何かを気にするようにそわそわ歩き回るときは原因がいくつかあるのですが、よくある原因として知られているのが『不安を感じている』というものです。

犬は大好きな飼い主がお出かけする準備をしていると、不安になってそわそわすることがよくあります。実際にお出かけ前になると愛犬がそわそわしだす、という経験を持つ飼い主がたくさんいるのではないでしょうか。

飼い主と離れることで愛犬は不安な気持ちになりやすいので、お留守番させられると分かると落ち着かなくなってしまうのでしょう。

ちなみに飼い主への依存心が強いほど、飼い主がいなくなったときに犬は不安を感じやすくなってしまいます。なかには不安な気持ちになりすぎて問題行動を起こしてしまうケースも珍しくありませんので、普段から依存させすぎないように接することが大切といえるでしょう。

原因2.恐怖を感じている

怖がってテーブルの下に隠れている犬

犬は恐怖を感じたときにも、そわそわと落ち着きなく動き回ることがあります。

例えば、雷や打ち上げ花火の音など、怖いと感じやすい音を聞いたときに、犬は「どうしよう……」といった感じで室内を忙しなく歩き回ることがあるのです。なかには身を隠すために必死になって物陰に隠れようとする犬もいたりします。

また、緊張や不安を感じて落ち着きがなくなっているときは犬がストレスを感じていることがほとんどだといえますので、なるべく早く問題を解決してあげる必要があるといえるでしょう。

ちなみに私の愛犬も不安や恐怖、次に紹介する原因『気圧の変化』によって落ち着きなく室内をウロウロ歩き回ることがあります。そんなときは室内に癒し系(ヒーリング系)のBGMを流して落ち着かせるようにしています。

音楽を聴かせると数分で落ち着いてくれるほど効果があるので、愛犬がそわそわして落ち着かないときは、あなたも一度試してみてはいかがでしょうか?

原因3.気圧の変化による体の異変を感じている

濡れた窓を眺める犬

『気象病』というものをご存じでしょうか?

簡単にご説明すると雨の日などで気圧が下がったとき、体に『だるさ』や『頭痛』、『関節痛』などの異変が起きる症状のことなのですが、実は犬も気圧の変化を受けて『気象病』になることがあるのです。

そして、犬の場合は症状の1つとして『落ち着きがなくなる』ことが多々あります。おそらく、気圧の影響を受けた体の異変を感じることで不安や不快感を抱き、そわそわと歩き回ってしまうのでしょう。

何らかの方法でリラックスさせたり気分転換させたりすることで多少落ち着きを取り戻すことができますが、基本的には天候が回復するまで落ち着きなくそわそわすることが多いといえます。

原因4.認知症の可能性

少し疲れた様子の老犬

なぜか室内を歩き回る。そんなときは認知症を発症している可能性もあります。特に同じ場所をグルグル回っている姿をよく見かけるのでしたら、認知症の可能性が高いといえます。

残念ながら認知症を発症した場合、完治させることはできませんが、早期に治療を行うことで病気の進行を遅らせたり症状を緩和させたりすることはできるそうです。ですので、少しでも気になる場合は病院で診てもらうようにしましょう。

原因5.体調不良・病気による体の異変

獣医師に診察してもらう犬

特に原因がハッキリしないけれど、愛犬がそわそわしている。落ち着きなくウロウロしている。そんなときは体調不良や何らかの病気を発症している可能性が高いといえるかもしれません。

よくある例としては、お腹に不快感を抱いている。下痢になっている。といった場合に犬は落ち着きなく歩き回ることがあります。ちなみに私の愛犬も食べ過ぎでお腹を壊して下痢になっているときに、そわそわすることが多かったりします。

基本的に犬が体調不良になっているときは、横になってジッと我慢する傾向にあります。そんな犬が体調不良によって落ち着きなくそわそわ歩き回っているということは、耐えきれない痛みをごまかすために歩いている、ということが考えられます。

ですから、愛犬が助けを求めるように落ち着きなくそわそわしている場合は、できるだけ早く病院に連れて行ってあげてくださいね。

犬に落ち着きがないときに考えられる病気

留守番をさせたわけでもなく、特に不安や恐怖を感じるような原因がないのに、愛犬に落ち着きがないときには、病気の可能性も考慮した方がよいでしょう。落ち着きがないときに考えられる病気は認知症をはじめいくつかあります。

ここでは代表的な病気について紹介します。近しい状況であると感じたら、自己判断はせずかかりつけの動物病院で診断してもらってください。

認知症

犬の認知症は10歳ぐらいから徐々に始まります。13歳を越えてくると急激に認知症の症状が出てくることがあります。チワワやゴールデンレトリバーなどの洋犬よりも、柴犬や秋田犬などの日本犬が発症しやすいと言われています。

徘徊や夜鳴き、異常に食欲が旺盛になる、昼夜の逆転、ケージのなかをずっとグルグルと回るなど、症状としてはわかりやすいのが特徴です。大型犬の場合は8歳過ぎた頃から、小型犬の場合は10歳を過ぎた頃から予防や対策をし始めると良いでしょう。

認知症の対策は、普段から頭を使うように働きかけることが大切です。散歩コースを変えたり、新しいコマンドを覚えさせるなど地道な方法ですが毎日の接し方が予防対策になります。

上皮小体機能低下症

落ち着きがなくなる症状の原因に上皮小体の病気が考えられます。上皮小体は甲状腺に付いている小さな機能的組織です。この上皮小体からホルモンが分泌され、カルシウムの濃度調整が適切に行われます。

カルシウムは血液中にも含まれており、このホルモンによる分泌が減ると、低カルシウム血症となります。震えたり、神経が過敏になったり、と特有の症状が引き起こされます。また攻撃性が増すという症例も報告されています。場合によっては痙攣を起こして、死亡する場合もある怖い病気です。

残念ながら上皮小体機能低下症の予防法はないため、定期的な健康診断で異常がないか管理することが最大の予防方法だと言えます。

てんかん

急に落ち着きがなくなりそわそわし出したら、てんかんを発症している可能性があります。てんかんといえば、倒れて痙攣をするということを想像するかもしれませんがそれは症状が強くでている状態です。

軽度のものは、よだれを垂らすだけだったり、ただそわそわしているだけの場合もあります。軽度のてんかんは症状の発症をリアルタイムで見逃しやすいので、愛犬の口元によだれがたくさん付いているかチェックするようにしてください。

てんかんも上皮小体機能低下症と同様に有効な予防法は確立されていません。てんかんが疑わしい場合は、早めにかかりつけの動物病院で診察・治療をしてもらってください。

犬に落ち着きがないときに見られる症状

犬に落ち着きがないからといって、全てが病気によるものではありません。直前での飼い主の行動や環境面の変化など、明確な原因があることもあります。

特にこれまでは問題なかったのに、突然落ち着きがなくなるなどの場合は前後の変化について調べると良いでしょう。

ここでは、犬に落ち着きがないときに見られる症状のうち、「様子を見てもよい症状」と「動物病院を受診すべき症状」に分けて紹介します。

様子を見ていても良い症状

愛犬に落ち着きがない場合、その数日前ぐらいから普段と異なる変化がなかったか確認しましょう。時系列でノートに書き出して、どういう変化があったのかまとめておくとわかりやすいです。

家族がいる飼い主の場合は、誰かが過度に叱りつけたことも原因になるので、家族全員の愛犬への対応についても一緒に洗い出しましょう。

家族に思い当たる行動が無くても、「近所で大きな音の出る工事をしていた」ということでも落ち着きがなくなる原因になります。原因を洗い出して、愛犬が何らかの精神的ストレスを受けたと考えられる場合は、様子を見ても良いでしょう。

愛犬の症状としては、「不安そうにそわそわしている」といった場合に限ります。いつもどおり散歩して、食事も食べるようなら特に問題はないでしょう。スキンシップもしっかり補って、安心させてください。

動物病院を受診すべき症状

直前の行動に因果関係がなく愛犬に落ち着きがない場合は病気の可能性があります。

ここでは、特に疑わしい「認知症」・「上皮小体機能低下症」・「てんかん」といった病気にみられる症状を紹介します。

以下で説明する症状を発症していれば、すぐかかりつけの動物病院を受診してください。ここでは各病気ごとの代表的な症状についてまとめています。

【 認知症の疑いがある症状】
  • 同じ場所をグルグルと回る
  • 絶え間なく夜鳴きをする
  • 昼夜の逆転
【上皮小体機能低下症の疑いがある症状】
  • 震える
  • 神経過敏になる
  • 攻撃的になる
【てんかんの疑いがある症状】
  • よだれがたくさん口元に付いている
  • おしっこを漏らす

ちょっと不安に思う程度でも、気になるようであれば早めに動物病院に連れて行った方が良いでしょう。

犬に落ち着きがないときの対処法

犬に落ち着きがない場合、飼い主さんも不安になることがあると思います。病気の場合は、かかりつけの動物病院で適切に治療をしてもらい、投薬もしながら今より悪化しないようにしていくことが大切です。

普段の暮らしのなかで病気のあるなしに関わらず、愛犬がこうした落ち着きのない状態に陥った場合は、まずは愛犬を安心させて落ち着かせてください。飼い主の思い通りにならないからと言って、叱る・怒るといったことはしてはいけません。

愛犬を落ち着かせるには、大きな声や物音を立てずにまずは優しく声を掛けてみましょう。声に反応してくれれば、そっと撫でるなどのスキンシップをしてみてください。スキンシップを嫌がるようならば、無理にはしないようにしましょう。

また、落ち着きのなさの原因が認知症による場合は、家のなかを自由に歩き回らせるのではなく、サークル状のケージを用意してその中で飼育しましょう。サークル上のケージの中だと、愛犬が家具に身体をぶつける心配もなく、むしろストレスなく暮らせます。

まとめ

口を開けた陽気なダルメシアン

犬がそわそわと落ち着きなく動いているときは、体もしくは心に何らかの異変が起きていることがほとんどだといえるでしょう。

不安や恐怖などによって落ち着きがなくなっているときは、リラックスさせたり気分転換をさせたりして落ち着かせてあげるのが効果的といえます。

特に原因がないのにもかかわらずそわそわしている場合は、体調不良や病気を発症している可能性が考えられますので、少しでも変に感じたときは病院に連れて行ってあげることをおススメします。

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