トイプードルにもひげがある!その役割とは?
トイプードルのひげはどこにある?
ぱっと見た印象では、ひげがないように思われるトイプードル。しかし、トイプードルにも他の犬と同様にしっかりとひげが生えています。
トイプードルのひげがないように見えるのは、巻き毛に隠れていたりトリミングをしたときに美しく仕上がるよう被毛と一緒にカットされているからです。
ペットのトイプードルのカットで最近人気が高いのは、顔周りの被毛を丸く整えて可愛らしく見せるテディベアカットやマッシュカット、アフロカットなどのスタイル。このようなカットをしていると、顔周りの巻き毛に覆われていてひげがあっても目立ちません。
顔周りの被毛をかき分けて観察してみると、ひげが生えているのを確認できます。マズルにバリカンを入れているカットスタイルのプードルだと、よく見ると切られたひげがあることがわかります。
トリミングしたてだと、マズルの側面に切られたひげの断端が見えます。被毛が伸びてくるとひげも一緒に伸びてきます。
トイプードルのひげがある箇所は、下記のとおり他の犬種と同じです。
- マズルの側面(鼻の横)
- アゴ下
- 頬
- 目の上
トイプードルのひげは、カットスタイルによって顔周りの巻き毛に隠れていたり毛と一緒に短く刈られていたりすることがあるので、わかりにくいでしょう。しかし、よく観察してみると他の犬種と同じようにひげが存在しているのです。
ひげの役割とは?
トリミングではカットしてしまうことが多いトイプードルのひげ。犬もひげをカットされて困ったような様子は見られません。では、犬のひげは何のためにあるのでしょうか。
ひげには下記のような役割があるとされています。
- 障害物との距離を知る
- 空気の流れを感知する
- 気分を表す
- 獲物に触れ、振動で生死の確認をする
犬のひげは解剖学的には「触毛(しょくもう)」と呼ばれ、ひげの根元(毛根)には神経と血管が通っています。ひげ自体は毛包周囲にある筋肉によって動き、ひげに何かが触れたりひげが動いた時には毛包に分布する神経がその情報を脳へと伝えます。
ひげは、犬にとって感覚器官としての役割を果たしているといえるでしょう。
トイプードルのひげは切っても問題ないの?
トイプードルのひげを切っても問題はありません。トイプードルのひげは、ひげがなくても生活ができるから切っても大丈夫ですし、外見上の理由からカットしたり刈ったりすることがあるのです。
犬が主に狩猟犬や使役犬として活躍していた時代には、ひげもそれなりの役割を果たしていたかもしれません。トイプードルの祖先犬も水猟犬として活躍しており、猟で仕留めた水鳥を回収する仕事をしていたという記録があります。
現在、ほとんどの犬が愛玩犬として飼われているので、ひげの役割はあまり重要視されていません。飼い主さんによる整った環境での生活で、犬はひげから得られる情報がなくても生きていけるようになったからです。
トイプードルのようなトリミング犬種は、被毛と一緒にひげを整えたほうが可愛らしくすっきり見えるという理由でひげを切ったり刈ったりされます。
老犬の場合は短く切りすぎない方がいいかも
犬も歳を重ねていくと、聴覚や視覚が衰えていきます。視覚や聴覚が衰えていくと、それまで見えていたものが見えなくなったり聞こえていたものが聞こえなくなったりします。
前述したように、ひげには障害物との距離を知る役割があります。ひげを残しておくと、ひげが何かに触れた時に、「そこに障害物がある」と衝突する前に知ることができます。歳をとって目の見えない犬のひげを切ったらものにぶつかるようになった、という話があるそうです。もしかしたら目の見えない老犬には、ひげを切らずに残しておいてあげたら、ものにぶつからずに歩く助けになるかもしれません。
トリミングに出す時も、ひげを残したいと伝えれば、トリマーも切らずに残してくれるようなカットスタイルを提案してくれるでしょう。
トイプードルのひげを抜くのはNG
トイプードルのひげは抜いてはいけません。ひげの根元には、感覚受容器や血管が存在しています。
ひげは他の毛よりも太く、また深いところから生えていて、無理にひげを抜くことは、痛みを伴います。ひげを切るのは問題ありませんが、抜くことはやめましょう。
トイプードルのひげのお手入れ方法
自宅でひげを切る
まず自宅でひげを切る場合は、小さいハサミを用意します。刃先が丸くなっているものを使用すると、万が一カット中に犬が動いてしまった時にも安心できるでしょう。人間用の眉毛切りハサミや鼻毛切りハサミでもかまいません。ただし、切れ味の良いものを使いましょう。
ひげを根本から切る時は、被毛をかき分けてひげの生え際をしっかりと見えるようにしましょう。切る場所を確実に確認できたらひげを切ります。
ひげが生えている毛穴が盛り上がっていることがあるので、皮膚は切らないように気を付けて根元から切りましょう。犬が嫌がる場合には無理せず、切らずにいるかプロにお願いしましょう。
ひげだけを切ることが難しい場合は、マズルを丸く整えるイメージで被毛と一緒にひげも切ってしまうと良いでしょう。ひげを根本から切るのを嫌がる犬でもこちらの方法なら嫌がらないことがあるでしょう。
ひげを切るときにじっとしていられない犬や口周りを触られることが嫌で暴れてしまう犬には、無理に切ることはやめてください。ひげ切りはハサミを使うので、怪我に繋がるおそれがあります。刃を犬の目に向けないこと、皮膚を傷つけないようにすること、慎重に切っていきましょう。
プロのトリマーに頼む
ひげのお手入れはプロのトリマーに頼むこともできます。しかし、トリミングサロンでは、トイプードルのひげだけを切ることはあまり一般的ではないでしょう。通常、全身や顔のカットと一緒に行い、きれいに見えるようにひげも整えていきます。
ひげだけが気になる場合は、トリマーにひげが目立たないスタイルのカットができないか相談してみるのも良いでしょう。顔にバリカンを入れてマズルをすっきりさせたカットだとひげも気にならないかもしれません。また、ひげが伸びた時に飼い主さんがカットしやすいかもしれません。
ひげを残したいという場合にも、トリマーに相談してください。顔を全体的に丸くしたカットスタイルに整えてもらえれば、ひげを残しやすいでしょうし、他のスタイルでもひげを切らずにトリミングしてもらえるものもあります。
まとめ
今回はトイプードルのひげについて解説していきました。
トイプードルはトリミングのせいでひげがないように思われますが、他の犬種と同様にひげが生えています。ひげは、障害物との距離を知る、空気の流れを知るなど、感覚器官としての役割があることがわかりました。
現在、愛玩犬として飼われている犬では、ひげの役割はそこまで重要ではありません。しかし、視覚に問題がある犬や老犬では、ひげがものにぶつからずに歩く助けになっていることがあるかもしれません。
トイプードルのひげをお手入れする場合は、プロのトリマーに任せる方法と自宅で切る方法があります。プロに頼む方法だと、ひげが気になる場合はどのようなカットスタイルにするかしっかりと相談することが必要です。
自宅で手入れをする場合は、嫌がる犬も多いので、怪我をさせないように気を付けて、出来る範囲でお手入れをしていきましょう。愛犬の状態や性格、飼い主さんの好みに合ったひげのお手入れをしてください。本記事が参考になれば幸いです。