柴犬にサマーカットは必要?
高温多湿下で知られる日本において、犬種問わず愛犬をサマーカットをする飼い主さんも多く、その中には柴犬も含まれています。柴犬は、ダブルコートで毎年換毛期にはすごい量の抜け毛で有名です。
それでは、本当に柴犬はサマーカットをする必要性があるのでしょうか?
柴犬は短毛なので、一見サマーカットする必要性は感じられません。しかし一方で、柴犬は皮膚の弱い子が多いという特徴があります。
そのため、柴犬にサマーカットを行う場合の多くは、ファッション性というよりも皮膚疾患対策で行うという飼い主さんが多いといわれています。
ただし、柴犬のサマーカットは下記のリスクなどを踏まえた上で行うようにしましょう。
柴犬にサマーカットをおこなうリスク
- 皮膚を傷つけてしまう
- 皮膚疾患のリスクが高くなる
- 被毛が生えてこなくなる
- サマーカットによる熱中症の危険性がある
皮膚を傷つけてしまう
サマーカットとは、バリカンを使って全身の毛を刈り短くするカット方法です。バリカンを使うことで、柴犬の皮膚を傷つけてしまう可能性があります。
皮膚疾患のリスクが高くなる
柴犬の皮膚はデリケートで、遺伝的な面においても犬アトピー性皮膚炎になりやすい体質と言われています。そのため、夏場にパンティング(体温調節のための口呼吸)が激しく、頻繁にして暑そうだからと言って、安易に柴犬にサマーカットをしないようにしましょう。
良かれと思ってやった事でも、後々バリカンを使用したことによる皮膚へのダメージが、皮膚疾患のリスクを高めてしまう可能性があります。
被毛が生えてこなくなる
サマーカットは、その子の毛質の特徴や毛の長さなどを考慮せずにカットしないように注意しましょう。毛質が変わり、毛が生えてこなくなったり、まだらになってしまうといったことが起こってしまう可能性があります。
現在毛質が変わる原因は分かっていないようですが、柴犬やダックスフントといった種類は毛質に変化が出やすく、均一に伸びずに毛が薄いところや毛色が濃いところがまだらになりやすいと言われています。
サマーカットによる熱中症の危険性がある
暑さ軽減のために行ったサマーカットが、かえって熱中症になりやすくさせてしまう危険性があります。
というのも、柴犬に限らず犬の毛は断熱効果も兼ね備えているため、過度に被毛をカットしてしまうと、皮膚に対する断熱が出来なくなり、結果的に熱中症になる危険性が高まってしまうのです。
柴犬にサマーカットをする前に適切なトリミング方法
どうしても柴犬の被毛をカットしたい場合、どうすれば良いのでしょうか。ここでは、柴犬の毛をカットする際に、問題ない部分やその方法についてご紹介します。
手順1:カットする前にブラッシングで余計な毛を取り除く
柴犬の被毛をカットする前には必ずブラッシングをしましょう。柴犬の毛は換毛期には大量の抜け毛が発生し、毎日のブラッシングでも追いつかないほど日々毛が抜け変わります。
そのため、しっかりとブラッシングをしない状態で毛のカットに取り掛かろうとすると、もつれている毛が引っ掛かるなど、皮膚にダメージを与えてしまう可能性があります。
手順2:カットをする前のシャンプー
ブラッシングが終わったら、シャンプーを行いましょう。タオルドライやドライヤーでしっかりと乾かすことで、後のカットを綺麗に仕上げることができます。
手順3:柴犬のカットは部分的なカットでOK
ブラッシング、シャンプーが十分に出来たらカットに移ります。ただ、柴犬は基本的に全体をカットする必要性が無いため、部分的なカットをおすすめします。
その中でもおしりの毛や足裏の毛、またしっぽの毛といった柴犬の毛の中でも比較的伸びている毛をカットしましょう。柴犬の尻毛カットは、桃尻と言われるほど丸く綺麗に整えられるととても可愛らしいスタイルにすることが出来ます。
柴犬のトリミングにおすすめなグッズ
- スリッカーブラシ
- ピンブラシ
- コームブラシ
- ラバーブラシ
スリッカーブラシ
スリッカーブラシとは、抜け毛や毛玉が取りやすいようにピンがくの字になったブラシのことで、ダブルコートで換毛期の抜け毛が大量な柴犬には必須アイテムと言っても良いブラシです。スリッカーブラシの主な使い方は、
- 散歩中に付いたゴミやノミ、ダニの除去
- 毛のもつれや毛玉を解く
- 余計なアンダーコートの毛の除去
といった役割があります。また、このスリッカーブラシに慣れてしまうと、これ一本で全てのブラッシング作業が出来てしまうと言われるほどの便利ツールです。換毛期のみならず、カット前の毛を整えるのに最適なブラシと言えるでしょう。
ただし、スリッカーブラシのピンは先端が針金状のもので、使い方を間違えると皮膚を傷つけてしまう危険性があります。心配な方は、ソフトスリッカーなどを使うように工夫しましょう。
ピンブラシ
先端部分が丸いピン状になっているピンブラシは、スリッカーブラシとは違い地肌や皮膚に対するダメージを最小限に抑えてくれる初心者向けのブラシです。
ブラシは皮膚に当たるか当たらないかという優しい力加減で当てるようにするのがコツで、このブラシは範囲の広い背中などのブラッシングに向いています。ピンブラシには、
- 地肌や皮膚ダメージを最小限にできる
- 通常の毛を取るのに向いている
といったメリットがあります。ただし、ピンブラシはほかのブラシに比べて壊れやすく、換毛期に大量の抜け毛が発生した際のブラシとしては力が弱いといったデメリットもあります。
コームブラシ
コームブラシは金属製のくしで、
- 被毛のもつれや毛玉のチェック
- 毛並みを整える
といった役割があります。毛量が多い柴犬には、スリッカーブラシなどで毛を除去した後にコームを使用し、毛並みを整えるといった仕上げを行うのに適しています。
ラバーブラシ
ラバーブラシは、シリコン製で出来た突起がいくつも並んだブラシのことを言い、手袋のように手にはめるグローブタイプのものもあります。ラバーブラシは、
- 地肌や皮膚を傷つけず毛を除去
- 高い除毛効果
- シリコン製の柔らかい素材によるマッサージ効果
といったメリットがあります。皮膚の弱い柴犬には、こちらのラバーブラシを使って被毛の除去をするのもおすすめです。また、スリッカーブラシでは実現出来ないマッサージ効果も備えているため、カット後に残ってしまった毛の除去を行うついでに使うと良いでしょう。
まとめ
柴犬はその見た目からは想像もつかない程毛量が多い上、元々水が苦手なタイプも多いため、清潔さや毛の密度のことを思うと、サマーカットも視野に入れたくなる方もいるかもしれません。ですが、なるべくならブラッシングで余計な毛を除去する方法で、熱中症対策や、蒸れ対策を行うのが良いでしょう。
柴犬の皮膚疾患による原因の一つに、外部からの刺激やダメージが関係しています。そのため、少しでもリスクを減らすためにも大変かもしれませんが、換毛期の時期にはこまめなブラッシングを心掛け、皮膚の健康維持を保ってあげてください。
それでも愛犬が暑がっていたりする場合は、エアコンを付けて温度調整をしてあげるなど、工夫をしてあげてくださいね。