犬のよだれの原因
犬がよだれを出のは正常なことです。ただし、よだれの量が異常であったり、その他体調に異変がある場合は気を付けなければなりません。では、どんな時によだれが出るのでしょうか?
- 興奮している
- リラックスしている
- 車酔い
- 暑い時
- 誤飲
- 老化
- アレルギー症状
- 避妊手術の麻酔後
興奮している
犬はヒトと同じく「自律神経」があります。興奮すると交感神経が働き、鼓動が早まったりよだれが分泌されます。犬においての興奮とは「緊張・喜び・怒り・激しい運動」など、プラスにもマイナスにも感情や体力の消耗の起伏が大きいときに起こります。
- 散歩やドッグランで他の犬に会ったとき
- おやつなど好きな食べ物を待っているとき
- おもちゃなどで遊んで唸っているとき
- 女の子であればヒート(生理)中などホルモンバランスが乱れやすいとき
犬のよだれは生理現象のひとつです。上記のような時、いつもよりよだれが多く出てきます。犬が落ち着くにつれ、少しずつよだれは治まってくるでしょう。
あまりにも興奮してしまっている場合は、落ち着ける場所でお水を飲ませて休ませてあげましょう。しばらく様子を見て、よだれ以外に症状がでなければ心配いりません。
リラックスしているとき
興奮している時とは反対に、リラックスしている時は副交感神経が働き呼吸がゆっくりになったり、落ち着いた様子が見られます。そして「サラサラしたよだれ」の量が増えます。
ヒトも寝ている時によだれを垂らすことがありますよね。それと同じで、犬も寝ながらよだれを垂らすことがあります。様子を見てよだれ以外に症状がでなければ心配いりません。
車酔いしている
犬も車酔いをして「吐き気」を催します。中には嘔吐してしまう犬もいます。脳の吐き気に繋がる神経の近くによだれを分泌する神経があるので、気持ちが悪くなって吐き気があるときには、よだれがたくさん分泌されます。
車酔いは病気とは異なるので特別な心配はいりませんが、吐き気等の症状は犬も辛いので「酔い止め」やこまめに休憩を取るなどの対処が必要です。
犬が車酔いをする原因には、車の中が不安で「緊張」していることも考えられます。車酔いはよだれの他にも、息が荒くなっている様子が見られることもあり、「熱中症」と見間違えないよう犬の体を触り体温を確認したり、目がうつろな様子はないか、表情をしっかり確認するようにしましょう。
暑いとき
犬は暑いとき、ヒトのように汗をかいて体温調節をするのではなく、よだれがその役割をしています。散歩中や散歩後に、よくハアハアと口を開けてよだれを垂らしていますが、口の中のよだれが呼吸によって気化し、それによって体温を下げているのです。
このよだれも生理現象のひとつです。他に症状がなければ心配いりません。しかし万が一、下記のような症状がみられる場合は「熱中症」になっている可能性があります。
- 目がうつろ
- よだれの量がいつもに比べて多い
- 水を飲めない
- 横たわり、呼びかけに反応が薄い
- 体が熱い
このような様子が見られたときは、すぐに病院へ行きましょう。タオルに包んだ保冷材や、水に濡らしたタオルなどで体を冷やしてあげてください。
誤飲したとき
犬は家の中でも外でも、食べてはいけない物を誤って飲み込んでしまうことがあります。誤飲してしまったものによっては、胃腸に炎症が起きたり、腸に詰まったり、中毒症状が起きるなど、さまざまなリスクがあります。症状としては、吐き気、下痢、重症な場合は意識障害などが起きます。
吐き気や、胃腸の炎症により「よだれが過剰に分泌」されるので、口からよだれを垂らしたり、口の中でくちゃくちゃと気持ち悪そうにすることがあります。なにか食べてしまった心当たりがある場合は、すぐに病院に相談しましょう。
老化による体の変化
犬は老化するにつれ、歯肉炎や歯周病などのリスクが高まります。犬の口の中のケアは難しく、年々蓄積した歯石などの影響で口腔内に症状が出やすくなるのです。
歯肉炎や歯周病などにより、口の中に炎症や痛みがあると唾液の分泌量が増えます。口内炎や舌に異常があるときも同様に、よだれが増えます。口腔内の菌により、臭いがキツイことが特徴です。
また、「認知症」になると普通のことに興奮状態を示す場合があり、「興奮の唾液」の量が増えることもあります。これらの唾液は、ある程度の量でしたら生理現象として問題ありませんが、「炎症」や「痛み」などが伴う場合は、病院に相談しましょう。
アレルギー症状
ワクチン接種後など、アレルギー反応により、よだれが増えることがあります。アレルギー反応として、吐き気や発熱などが起きた際に、「吐き気神経が刺激」されたり、「体温調節」のために唾液の分泌が増えます。
病院に行ったストレスなど一次的なこともあるので、他に様子が異なることがなければ様子をみて安静に過ごしても大丈夫です。万が一、顔が腫れてきたり、ぐったりして元気がない、意識が薄いなど他にも異常が出てきた場合は、すぐに病院に相談しましょう。
避妊手術の麻酔効果
犬の避妊手術は全身麻酔で行われます。去勢手術など日帰りの場合、手術後あまり時間が経っておらず目は覚めていても麻酔の鎮静効果が続いていることがあります。その場合、鎮静が効いてぼーっとしていたり、反対に興奮していたりなど「自律神経」系のよだれがたくさん分泌されることが多いです。
また、手術は犬にとって多大なストレスにもなります。お家でゆっくりと休ませてあげましょう。万が一、よだれ以外に症状があり、いつもと様子が異なる場合はすぐに病院に相談しましょう。
犬のよだれが多くなる病気
犬はさまざまな病気に起因して、よだれの量が増えることがあります。下記の病気の可能性が疑われる場合は、なるべく早めに病院を受診してください。可能性によっては、早急に治療が必要なことがあります。
胃腸の病気
胃や食道、腸など消化器官に問題があるとよだれが過剰に分泌されることがあります。
【主な病気】
- 胃腸炎
- 胃捻転胃拡張
- 誤食
唾液の過剰な分泌に加えて、嘔吐や下痢、食欲不振、げっぷなどの症状が見られた場合は、胃腸の症状の可能性が高いです。
口の中の病気
人もそうですが、犬も口の中に痛みや炎症があるとよだれの分泌が多くなります。
【主な病気】
- 歯周病
- 歯肉炎
- 口内炎
- 口腔内の腫瘍
これらが原因で出るよだれは「血が混ざっている」「臭いが強い」ことが多いです。また、犬の目の下が腫れてきたり、口から膿のような臭いがすることもあります。
脳や神経の病気
脳や唾液を出す神経に異常があると、よだれが過剰に分泌されます。
【主な病気】
- 脳震盪
- 脳腫瘍
- てんかん
- 唾液腺の障害
痙攣を起こしたり、意識障害、嚥下障害などが伴う可能性があり、緊急の処置が必要な場合があります。
熱中症
熱中症は発症する確率も高く重症化した場合は命の危険性もあり、ただ暑いだけなのか見分けがつきにくい危険な病気です。犬が暑がっているときは、涼しい所で落ち着かせ様子を見て過ごしてください。近くにお水を置いたり、少しでも体を冷やしてあげると良いです。
熱中症か判断が難しい場合も、暑がってハアハアが激しいときはすぐに体を冷やしてあげましょう。濡れたタオルをかけて、ドライヤーの冷風を当ててあげると素早く体温を下げることができます。
よだれから解る「危険」「安全」の判断基準
生理現象や、心理的原因でのよだれはほとんど心配ありません。危険なのは「いつもと違うよだれの量」とよだれにプラスで「他の症状」が出ている場合です。他の症状を伴っている場合は、なにかしらの病気が原因になっていると考えてください。早めに病院を受診しましょう。
犬が震えていたり、急によだれが出始める、嘔吐や下痢、ふらつきなどわかりやすい症状以外でも、食欲不振や元気がない、という様子も見逃さないようにしてください。
犬のよだれは危険な場合、命に関わる病気のサインの可能性もあります。よだれが出ていて、なんだか様子が違う、少しでも心配と思ったら「軽度」でも病院に相談してください。
犬のよだれの改善方法とお手入れ
口腔ケア
犬のよだれの原因の一つとして、口腔内の衛生環境が問題になってます。おうちでの口腔ケアはなかなか難しいですが、愛犬のお口の健康のためにも飼い主さんもいっしょに頑張りましょう。
犬の口腔ケアは「歯みがき」の他にも「口腔ケアスプレー」や、水やフードにかける「液体タイプ」の口腔ケア商品が販売されています。愛犬に合ったものから、少しずつトライしてみてください。
口の周りのお手入れ
よだれがたくさん出ると、口の周りに「よだれやけ」ができることがあります。口の周りに付いた唾液が、被毛が茶色く変色したり臭いを発したりします。また、そのまま放置すると菌が繁殖し、口の周りの皮膚に炎症を起こします。
特に大型犬は、正常な状態でもよだれの量が多いため、常に口がよだれまみれの犬もよく見られます。よだれが口の周りに付いたままにならないよう、お手入れが大切です。
よだれはこまめに拭く
犬のよだれに気付いたら、こまめに拭いてあげましょう。散歩の後、水を飲んだ後、またフードを食べた後は食べカスも一緒に付きやすいのでしっかり拭いてください。
普段からよだれの量が多い犬は「よだれかけ」も便利です。ずっと同じものを長時間つけていると意味がないので、ごはんのとき、散歩のときなどつける時間を決め、毎回清潔なものに取り換えてあげてください。
クリーナーを活用する
よだれやけで茶色くなってしまったとき「クリーナー」が効果的です。犬のよだれやけ専用のクリーナーは、オーガニックなものや、抗菌・消臭できるもの、皮膚に優しいものなど種類も多く、飼い主さんの好みによって選べます。
また、重曹やホウ酸を使い、おうちでクリーナーを手作りする事も可能です。茶色く変色してしまった被毛は、すぐには改善しないので継続して使うようにしましょう。
犬のよだれの汚れ対策
犬のよだれは、床やソファなどおうちの中もべちょべちょにしちゃいますよね。特に大型犬はよだれの量が多く、床には常によだれの跡が、なんてこともあります。ここからは、おうちの中のよだれ対策をご紹介していきます。
よだれ汚れの落とし方
犬の唾液が付いたところはヌルヌルします。これは唾液が「アルカリ性」のためです。水拭きだけで落ちないときは「アルカリ電解水」がおすすめです。ペットにも安全なものや、抗菌・殺菌作用のあるものだとさらにいいです。
また犬の食器洗いには「アクリル製たわし」や「メラミンスポンジ」など、スポンジを変えてみるのもおすすめです。
よだれ汚れがつかないように家の中を工夫する
床掃除が大変という時は、犬がよくいる場所だけ「カーペット」などを敷くという方法があります。簡単に敷けるものをいくつか用意しておき、汚れたら洗濯して敷きなおす、これだけで床掃除が楽になります。
また、ソファには二重にカバーをかけるのがおすすめです。上には簡単に外せるマルチカバーを被せておくと、すぐに洗濯できて便利です。下には防水のカバーを付けると、ソファ本体までよだれが達しにくくソファ自体は長持ちして使えます。
まとめ
犬は基本的によだれが出る生き物で、大型犬、超大型犬など体型が大きくなるほどよだれの量も多くなります。正常なよだれなのか、危険なよだれなのかは「いつものよだれの量」が基準にもなります。
愛犬はどんなときによだれが出ていて、どんな様子なのか、普段からよく見てあげてください。また「よだれにプラス他の症状」がある場合は、注意が必要です。軽度でも心配な場合はすぐに病院に相談するようにしましょう。
いつものよだれは健康の証拠でもあります。ニコニコの笑顔でよだれを垂らしてる顔も、なんとも愛おしいですよね。そんな笑顔を守るためにも、よだれの知識をつけて愛犬の少しの異常も見逃さないように過ごしていきましょう。