犬がブラッシングを嫌がる理由5つ
ブラッシングをしなければ、毛玉が出来たり、被毛がパサついたり、フケが出たりします。皮膚や被毛に埃や汚れがついたままでは、皮膚炎を起こしやすくなったりもします。そのため、ブラッシングはどんな犬も日頃のケアとして出来れば毎日行いたいものです。
しかし中には、ブラッシングの時に嫌がって暴れたり、噛み付いたりして、うまくお手入れが出来ないと悩む飼い主さんも多くいます。犬がブラッシングを嫌がるのには、幾つかの理由が考えられます。
- 触られたくない
- 痛い思いをした
- ブラシにそのものに慣れていない
- トラウマ
- ブラシをオモチャと思っている
触られたくない
犬にとって、足先やしっぽ、顔まわりはとても敏感な部分で、触られるのを嫌がることが多くあります。特に、まだ信頼関係が出来てないうちは、なかなか触らせてくれないこともあります。
痛い思いをした
ブラッシング中に、毛がもつれた部分を引っ張ると、犬が痛い思いをしてしまいます。人も髪の毛を引っ張られれば痛いですよね。その経験から、ブラッシングを嫌がる犬もいます。
ブラシにそのものに慣れていない
ブラシに見慣れていないと、ブラシそのものを警戒して、顔や体に近付けられるのを嫌がる犬もいます。特に、新しいブラシを使う時や子犬は、見慣れない道具を警戒しやすいです。
トラウマ
痛い思いをしたり、嫌がって暴れた時に無理矢理抑えつけられたり、叱られたりすると、その経験がトラウマになってしまい、精神的にブラッシングを受け入れなくなってしまうこともあります。
一度トラウマになってしまうと、慣らしていくのにもより一層時間がかかってしまいます。なるべく、トラウマにならないように慣らしてあげる必要があります。
ブラシをオモチャと思っている
特に子犬には多くみられます。まだ何も分からない子犬は、ブラシとオモチャの区別がつかず、ブラシをオモチャだと思って、じゃれたり、噛んだり、ブラッシング中に遊び始めてしまうことがあります。
ブラッシングは、飼い主さんとのコミュニケーションでもあるため、最初のうちは飼い主さんが遊んでくれてる!と思ってしまうこともあるでしょう。しかし、それではブラッシングが出来ないので、ブラシはオモチャではないよ、と少しずつ教えてあげる必要があります。
犬にブラッシングをするメリット
犬のブラッシングは、単に毛並みを整えるだけでなく様々なメリットがあります。
- 抜け毛の除去
- 被毛のもつれをほぐす
- 毛玉の予防
- 被毛や皮膚に付いた砂や埃を落とす
- 皮膚のマッサージ効果
- 皮膚の健康状態の観察がしやすい
- 毛並みが良くなる
- 毛ヅヤが出る
- 飼い主さんとのスキンシップ
など、数多くのメリットがあります。ただ、ブラッシングはメリットが多いからやったほうが良い、というものではなく、犬の健康維持のためには欠かせないお手入れです。
犬のブラッシング嫌いを克服する方法
- 日頃からスキンシップをする
- 一気にやろうとしない
- 道具に慣れさせる
- グルーミングスプレーを使う
日頃からスキンシップをする
足先やしっぽ、顔まわりは、触られ慣れていないために、ブラッシングを嫌がる犬は多くいます。ブラッシングの時だけでなく、日頃から積極的にスキンシップをとって、足先やしっぽ、顔を触られることに慣れさせるようにしましょう。
体を優しく撫でてスキンシップを取ることは、信頼関係を築くことにも繋がります。信頼関係が出来れば、全身を触られても落ち着いていられるようになります。
一気にやろうとしない
全身を一気にやろうとせずに、部位ごとに少しずつ進めるのも良いでしょう。まずは、やりやすい背中、少し時間を置いてから太もも、また少し時間を置いてから前足の付け根、というように、一度のブラッシングの時間を短くすることで、犬のストレスを軽減することが出来ます。
ブラッシングを嫌がる犬にとっては、ブラッシングされてる時間もストレスになりますし、無理にやろうとすると、つい抑えつけたりしてしまいがちです。
一部位ごと出来たらオヤツなどを使って褒める、ゴールを一部位に絞る事で、飼い主さんも愛犬もブラッシングの成功体験を積み重ねることができます。その積み重ねが、犬にとってブラッシングは怖くない、嬉しいものなんだ。という認識に繋がっていきます。
道具に慣れさせる
犬がブラシそのものを警戒してる場合は、慣れるまでは、ブラシを犬の目の届くところに置いておいたり、犬から近付いたり、触ったり出来るようにしてあげると良いです。
グルーミングスプレーを使う
毛がもつれやすい長毛犬や巻毛の犬には、ブラッシングの時にグルーミングスプレーを使うのも効果的です。グルーミングスプレーは静電気を抑え、毛のもつれをほぐしやすくする効果があります。ブラシの滑りも良くなるので、毛が引っかかって皮膚を引っ張ってしまうことを軽減する効果も期待できます。
ブラッシングを嫌がる犬にしないための正しいやり方
犬の毛質に合ったブラシを選ぶ
犬用のブラシには様々な種類があります。
スリッカーブラシ
くの字に曲がった針金が何本もついていて、一見剣山のように見えるブラシ。毛玉やもつれをほぐすのに適してます。先が尖ってるので肌を傷付けないように、扱いには注意が必要です。
ピンブラシ
人のヘアブラシに似たような見た目のブラシ。先の丸いピンが付いていて、ピンの根本にはクッション性があるので、皮膚を痛めにくく、マッサージ効果もあります。
コーム
いわゆるクシです。見た目を整える仕上げに使ったり、毛をかき分けて皮膚の状態を確認するのにも適してます。
獣毛ブラシ
豚や猪、馬の毛で作られたブラシ。静電気がおきにくく、汚れや埃を取り除いたり、毛ヅヤを出す効果もあります。
ラバーブラシ
柔らかいゴムでできたブラシ。抜け毛や埃の除去、マッサージ効果もあります。
これらのブラシを犬の毛質に合わせて、選ぶ必要があります。プードルやロングコートチワワ、ポメラニアン、パピヨンなどの長毛犬種には、スリッカーブラシやピンブラシ、コームを使うことが適しています。
フレンチブルドッグやパグ、スムースコートチワワは、獣毛ブラシやラバーブラシが適しています。短毛犬種にスリッカーブラシを使ってしまうと、皮膚を傷付けてしまう恐れがあります。
このように、適したブラシを選ばないと、被毛や皮膚を傷付けて、犬がブラッシング嫌いになってしまいます。愛犬に合ったブラシが分からない場合は、トリミングサロンや動物病院で聞いてみると良いでしょう。
ブラッシングの慣らし方
子犬のうちから
子犬を迎えたら、その日からブラッシング道具を見せて徐々に慣れさせるようにしましょう。いきなりブラッシングをするのではなく、まずは道具を見せておくことで、いざブラッシングをする時に警戒心なくスムーズに進めることができます。
日頃からスキンシップを積極的に
ブラッシングの時だけでなく、日頃から足先やしっぽ、全身を触って積極的にスキンシップを取り、触られることに慣れさせていきましょう。
最初は短時間から
慣れないうちは、3分、5分と短時間から始めましょう。嫌がったらオヤツを使って気を紛らわせたり、一部位だけで終了にしましょう。抑えつけたり、叱ったり、無理にやるとトラウマになってしまうので、少しずつ慣らしていきましょう。
ブラッシングの正しい手順
1.毛玉は最初にほぐす
毛のもつれや毛玉は、無理に引っ張ると犬が痛い思いをしてブラッシング嫌いになってしまいます。ブラッシングの前に全身を触って毛玉がないかを確認して、出来ていた場合は先にほぐしましょう。
特に、足の付け根やワキ、耳の付け根などは毛玉が出来やすいです。ここでグルーミングスプレーを使うのも良いです。
2.毛先から梳く
長毛犬種は、もつれや抜け毛を取り除くように毛先から少しずつ梳いていきましょう。この時、毛の根本を指で押さえておくと、毛が引っかかってしまっても、皮膚を引っ張らずに済みます。
3.根本を梳く
毛先が梳き終わったら、根元にブラシを通しましょう。ただし、スリッカーブラシは強く当てると皮膚を傷付けてしまうので、注意が必要です。慣れないうちは、スリッカーブラシは使わずにピンブラシを使うのも良いです。
4.仕上げにコーム
根本が梳き終わったら、仕上げにコームで毛並みを整えます。背中や腰など、犬が比較的嫌がらない部位から徐々に足先やしっぽ、顔まわりをブラッシングすると良いです。毛玉が出来ない短毛犬種も、嫌がらない部位からブラッシングをすることで、ブラッシング嫌いを防ぐことができます。
顔まわりをブラッシングする時は、ブラシのピンが目に当たってしまわないように、目から顔の外に向かってにブラシをかけるようにしましょう。
犬の皮膚はとてもデリケートです。力任せにブラッシングをしてしまうと、皮膚を傷付けてしまいます。優しく丁寧にブラッシングすることを心がけましょう。
まとめ
犬のブラッシングは毛並みを整えるだけでなく、抜け毛や汚れの除去、皮膚の状態を良好に保ったり、全身の健康維持のためにも必要なお手入れです。
しかし、敏感な足先やしっぽを触られたり、毛が引っ張られたり、犬にとってブラッシングはなかなか慣れにくいものでもあり、愛犬がブラッシングを嫌がることに悩む飼い主さんは多くいます。
愛犬の健康のためにも、なんとかブラッシングしなきゃ!と必死になってしまう気持ちもありますが、無理に抑えつけたり、焦って行えば、愛犬はより一層ブラッシング嫌いになってしまいます。愛犬の気持ちに寄り添って、焦らず少しずつブラッシングに慣らしていきましょうね。