大型犬でも自宅でシャンプーはできる?
大型犬を飼っている方の悩みのひとつがシャンプーではないでしょうか。トリミングサロンでお願いすると、平均として1万円前後の費用がかかります。月に1回として、年間12万円の支出は大きな金額です。
愛犬の毛艶を美しく健康に保ってあげたいし、臭いもセーブしたい。なんとか自宅でシャンプーできないかと、お悩みの方も多いでしょう。25キロを超える愛犬をスムーズにシャンプーするには、場所や道具の準備がそれなりに必要になります。でも、しっかり準備しておけば、効率よくシャンプーすることができます。
大型犬にシャンプーを行う頻度
そもそも、犬にシャンプーは必要なのでしょうか?まずシャンプーが有用なのは、
- ひどい汚れ
- 臭い匂い
に対してですが、実は愛犬の体を隅々まで手指でやさしくシャンプーすることで、体の変化をいち早く感知することができます。特に長毛犬種の場合、被毛に覆われて普段は気づきにくい小さなできものや傷を見つけることができ、腫瘍などの早期発見にもつながります。
では、散歩から帰ってきた時に拭いただけではなかなか落ちない頑固な泥汚れと、犬独特の獣臭をきれいに洗い流し、皮膚や被毛を清潔に保つには、一体どのくらいの頻度でシャンプーすればよいのでしょうか?
汚れや匂いが目立ってきた時を目安に月1回くらい
犬の皮膚は乾燥を防いだり、雨水などをはじいたりするために、身体全体の皮脂腺から皮脂が分泌されています。これは犬の皮膚を守るバリアーのようなものです。頻繁にシャンプーをするとこの皮脂を洗い流してしまい、皮膚や被毛が乾燥し皮膚炎などを引き起こしやすくなります。
そのため、愛犬のシャンプーは汚れや匂いが目立ってきた時を目安に、月1回くらいがよいでしょう。もちろん元気に遊びすぎて泥んこになった時や、何かに身体をこすりつけて強烈な臭いが気になる時などは、そのつど洗ってバクテリアの繁殖を防ぐことも大事です。
また、夏はシャンプー後の乾燥は比較的楽ですが、冬のシャンプーの後の乾燥は、大型犬の長毛犬種の場合とても時間がかかります。しっかり乾かさずに生乾きのままにしていると、嫌な臭いが残ってしまいます。そこで次に、シャンプーから乾燥までの全体の流れとコツをご紹介します。
大型犬のシャンプーのやり方
大型犬のシャンプーはハードな仕事量です。前準備から、シャンプー、乾燥についてまずは段取りを頭に入れておきましょう。
道具と場所の準備
大型犬のシャンプーは基本浴室で行います。夏場は外でもできますが、冬場は寒さ対策として必ず浴室でシャンプーしましょう。犬用のバスタブもあるので、それを使うのも良いでしょう。お湯は熱すぎない36~37度に設定します。
犬用シャンプー、タオル、ドライヤー、ブラシを用意しておきます。また、自分も濡れてもよい服装に着替えましょう。
ブラッシングで汚れを落とす
まずはブラッシングを丁寧に行い、毛玉を取り毛並みを整えることで、ある程度の汚れを落とし浮かび上がらせることができます。散歩の後、毎日軽くブラッシングしてあげると、汚れが付着しにくくなりますよ。
お湯をかけ軽く汚れを落とす
まず後ろ足からお湯を掛けます。シャワーの大きな音が苦手な犬の場合、シャワーヘッドを出来るだけ身体に近づけて音を小さくしてあげましょう。
「後ろ足→お尻→腰→肩・胸元→前足→頭」の順にまず濡らしていきます。このとき地肌までしっかり濡らすのがポイントです。目や耳、鼻などに水が入らないよう、顔の部分を洗うときは水量を弱くしましょう。
顔にシャワーを掛けるのを嫌がる時は、スポンジなどでやさしく濡らしてあげます。慣れるまでは、嫌がることを無理強いしてはいけません。
犬用シャンプーを泡立たせてから洗う
シャンプーは必ず犬用のものを使用します。人間と犬では皮膚のphが違うので、弱酸性の人間用のシャンプーを使うと皮膚のトラブルの要因になりかねません。必ず犬用シャンプーを使用しましょう。
予備洗い
シャンプーはあらかじめ泡立てておいて、予備洗いをします。泡立て器を使ったり、洗面器などにお湯を入れてシャンプーを希釈させたりして、泡立てておきます。泡立てた泡を身体に塗り込むような感じで洗います。指の腹でマッサージするような感じで、決して爪を立てたりしないよう気を付けましょう。
本洗い
汚れがひどくない場合は1度で構いませんが、汚れがひどい場合は本洗いをします。やはりシャンプー液は泡立たせてから使います。目やには濡れたタオルなどでふやかしてから、そっと拭います。耳の中に水が入らないよう特に注意して、耳のひらひらした部分の外側だけを洗います。
すすぎ
すすぐときはシャンプーの時とは逆に「顔→肩→背中→胸→足」の順に、上から下へとお湯を掛けシャンプー液をきれいに洗い流します。耳の中に水が入らないよう、親指で耳の穴をふさぎながらしっかり洗い流しましょう。
シャンプー液が残っていると皮膚炎の要因になりかねないので、しっかりと洗い流します。
乾燥
吸水性の高いタオルを何枚か用意しておき、ごしごし擦るのではなく、吸い取らせる感じで、しっかりと水分を吸い取ります。タオルドライがしっかりしてあると、ドライヤーの時間が短くて済み、時短になります。耳の中や足先など、乾きにくくドライヤーを当てにくい部分は特に、優しくしっかり拭いてあげましょう。
ドライヤーの音を怖がる犬もいるので、少し体から離して風に当てます。あまり体に近づけ過ぎると熱風で皮膚を傷めるので、注意しましょう。夏場などは温風でなくとも構いません。音を嫌がる犬には、時間が多少かかりますが「弱風」を当てて乾かします。
コームなどで毛を逆立てながら、根元までしっかり乾かしてあげましょう。ドライヤーがどうしても苦手な犬は、ブラシをしながら浮いてきた水分をふき取るやり方でも構いません。生乾きだと嫌な臭いがしてくるので、しっかり乾かすことが大切です。
ドライヤーを掛けるのは、まずはお尻から徐々に体の前方へとかけていき、耳の中に風が入らないよう耳穴をふさぎながら、顔や頭を乾かします。嫌がる場合は、柔らかめのタオルで優しく拭いてあげれば大丈夫です。
大型犬をシャンプーで洗う時に便利なグッズ6選!
大型犬のシャンプーは要領とコツを覚えれば、自宅でも十分可能です。効率よくするための便利グッズをご紹介します。
フジタ製薬 薬用酢酸クロルヘキシジンシャンプー
動物病院で使用される動物用医薬部外品なので、安全で抗菌・抗真菌作用のあるクロルヘキシジン配合の薬用シャンプーです。刺激性が低いので安心して使用でき、抗菌効果の持続性も高いのが特徴です。
保湿剤のコンディショナー配合なので、リンス不要でふわっとした仕上がりになり、クシ通りがよくなります。また、静電気防止剤も配合されているので、ほこりなどが付着しにくくなっています。肌の弱い犬には特におすすめです。
APDC ティーツリーシャンプー
消臭・消炎効果が期待されるティーツリーを始め、6つの植物成分と保湿効果のある海藻成分を配合し、洗いあがりがしっとり、ツヤ感のある仕上がりです。泡立ち、泡切れがよく、良い香りが持続すると人気が高いシャンプーです。コンディショナーを使用しなくてもふわふわの仕上がりで、敏感肌や乾燥肌などデリケートな肌にもやさしい仕上がりです。
新輝合成 トンボ 角型 タライ ジャンボ 水抜栓付 120型 120L
とにかく本体サイズが 86 x 66 x 34 cmで120Lの大容量です。本格的な専用のシャンプー台ペットバスは高額ですが、こちらはお手ごろ価格でおすすめです。水抜きも簡単で、水抜栓が内側に付いており水圧でしっかり閉まり安心なので、夏場は愛犬の水浴びにも使えます。
アイリスオーヤマ超吸水ペット用タオル
セームタオルは吸収性がよく、絞って何度も使えるので便利です。こちらは60x80㎝と大判サイズ。体を包み込むようにしてこのセームタオルであらかたの水分を取ってしまうと、ドライヤーの乾燥を時短できます。犬の毛がつきにくいのが嬉しい仕様です。雨の日の体拭きにも重宝します。
DogLemi ペット用バスローブ
シャンプーの後にそのまま体を包み込んで、素早く吸水してくれる便利なバスローブです。マイクロファイバー素材なので柔らかくて、吸水性・速乾性が抜群です。首周りはゴムで調整でき、胴体部分はマジックテープで固定できます。
尻尾ループ、体拭き用のポケットも付いていて使い勝手よく考えられています。体をブルブルしても、水が飛び散らずそのまま吸水してくれる優れものです。
メガブロー 犬用ドライヤー
長毛種の大型犬の場合、普通のドライヤーで乾かすのは大変です。この犬用ドライヤーは強い風力で水を吹き飛ばすので、乾かす時間を大幅に短縮できます。
いきなりの強風に驚かないように弱微風でスタートし、6秒後に指定風力になり、風力・温度共に無段階設定が可能です。静穏設計なので、風力が強い割には静かなのも嬉しいですね。とにかくパワフルなので長毛種にはお勧めです。
大型犬を自宅でシャンプーができない時の対処法
大型犬を自宅でシャンプーするには、ある程度の時間と体力が必要です。準備から後片付けまで、2時間近くかかってしまうこともあります。
トリミングサロンで使うような台付きのペットバスでなく、自宅のお風呂場でとなると、シャンプーからドライまで腰をかがめての作業になり、結構ハードな作業ですよね。多頭飼いの場合は特に大変です。
また、自宅のお風呂場が狭かったり、使い勝手が悪かったりすると、自宅でのシャンプーを諦めてしまう方もいるのではないでしょうか。
そして、介護犬や、愛犬が怪我をしたときなど、シャンプーをしてあげたくても、してあげられない場合もあります。そんな時の対処法をご紹介します。
- セルフウオッシュのお店を利用する
- ウォーターレスシャンプーを使う
セルフウオッシュのお店を利用する
自宅で毎回は無理、という方は愛犬のセルフウオッシュができるお店もあるので、一度利用してみてはどうでしょうか。プロ仕様の大型ステンレスシンクやドライヤーが使えて、長毛種でも効率よくシャンプー&ドライが出来ます。
個人経営のセルフウオッシュルームや、ペットショップ、ホームセンターに設置されていて、お店によって値段が違うので最初に確認してください。通常は時間による料金制ですが、大型犬の場合はだいたい1~2時間程度でしょう。
利用後は掃除をして帰るのが原則なので、排水溝用にネットを持参すると後片付けが楽です。お店によっては予約が必要なので、あらかじめ確認しておきましょう。
ウォーターレスシャンプーを使う
介護犬や高齢犬、また怪我をしている時など、シャワーが使えない愛犬には洗い流す必要のないウォータレスタイプのシャンプーがおすすめです。
ポンプ式で出てくる泡を、被毛や皮膚にもみ込んでマッサージしてあげましょう。その後濡れたタオルなどでふき取り、乾かしてあげるとさっぱりふわふわです。香りと消臭効果で人気のティーツリーオイル配合です。シャワーを嫌がる犬にもおすすめです。
まとめ
大型犬を自宅でシャンプーするには、前もって必要なものを準備しておくことで効率よく行うことができます。慣れるまでは少し大変ですが、コツをつかめばだんだんと上手にできるようになります。
後片付けがしやすいように、排水口にはあらかじめネットを張っておくと流れた被毛をそのまま捨てることができます。
そしていきなりシャンプーをするのではなく、まずは身体中をくまなく触っても嫌がらないようボディタッチができるようにしておきます。次はお風呂場へうまく誘導し、ご褒美をあげて場所やシャワーの音に慣らしておきましょう。
シャンプーがストレスにならないように、優しく声がけをして犬をリラックスさせてやることが大事です。シャンプーが終わって綺麗になったら、うんと褒めてご褒美をあげてくださいね。