犬に人間用のシャンプーを使っている人は意外と多い
犬が家族の一員として当たり前に可愛がられるようになった現代、ペットショップやホームセンターには様々な犬の手入れができる商品が並んでいます。
ここを見ていらっしゃる方の中には、犬のお手入れは全てプロのトリマーさんにお任せしているという方も多いのではないでしょうか?
しかし、それぞれの家庭の事情や個人の事情により、自宅で犬をシャンプーされている方がいるのも事実です。
自宅で犬をシャンプーすることはけして悪いことでありません。
ワンちゃんとのスキンシップや信頼関係の構築、そして体を触ることで、飼い主さん自ら犬の健康状態を知ることができるという利点があるからです。
今では子供の数より多くなったペットですが、犬などペットを飼育している家庭が少なかった時代を当たり前に過ごしてこられた高齢者の中には、犬用のシャンプーがあるという認識が低い場合があります。
また、土地が広く一戸建ても多い地方暮らしの方の中には、犬は外にいるものという認識を強く持っていて、多少の汚れは仕方ないものと捉える方がいてもおかしくありません。
そのような場合においては、そもそも犬をシャンプーするという概念がなかったり、人間用のシャンプーやボディソープを使って済ませてしまうケースもけして少なくないのです。
犬と人間の皮膚の違いとは
では犬と人間の皮膚の明確な違いとは何なのでしょうか?
表皮の薄さの違い
人の皮膚は厚く丈夫なものと言われています。
しかし犬の皮膚は人と比べると大変薄く人の数分の1程度の厚さしかありません。
そのためとてもデリケートで刺激に対しても敏感なのです。
ターンオーバー周期の違い
皮膚はイチバン下の層が新しくできるとそれに押し上げられ古い皮膚が垢やフケとなり自然に剥がれ落ちるようになっています。
これは人も犬も同じでこうして新陳代謝を繰り返しています。
その周期のことをターンオーバーといい、人では28日周期で起こりますが皮膚が薄い犬では20日周期で皮膚が新しくなっています。
毛量の違い
人の毛髪は頭部に集中していますが、犬は被毛は全身に生えています。
そして梅雨や夏場など湿度の高い日本の気候や人よりも高い体温も手伝って皮膚が大変蒸れやすくなり、汚れや埃のつきやすい被毛は細菌が繁殖しやすい環境になります。
犬が人よりも多い確率で皮膚病を発症するのはそのためです。
また、人の毛髪は太く重い傾向にありますが犬の被毛は細く軽いものになっています。
皮膚のPH(ペーハー)の違い
PHとは、水素イオン濃度を示す数値で酸性であるかアルカリ性であるかを示す値です。
人間ではPH5.0~6.5の弱酸性ですが、犬では6.2~8.6で中性~アルカリ性と言われています。
犬の場合、夏場はPH9.2まで上昇することがあります。
汗腺の違い
汗腺は、汗を分泌するところでアポクリン腺とエクリン腺の2つがあります。
アポクリン腺は臭いと粘り気のある汗を分泌する腺で、人では脇の下なと限られた場所にありますが、犬ではこれが全身にあります。
俗に言う犬臭いとはこのアポクリン腺から発せられるものです。
エクリン腺は無臭でサラサラした水分の多い汗を分泌する腺で人はこれが全身にありますが、犬では肉球のみしかありません。
よく犬には汗腺がありません…と言いますがそれはエクリン腺のことを指しているのです。
そのため犬は発汗による体温調節が難しく、パンティング(ハァハァと舌を出して呼吸すること)によって水分を気化させて体温調節をしています。
まとめ
人間用シャンプーは、人の頭皮に合わせて作ってあるもので犬の薄くデリケートな皮膚を洗うのにはやはり刺激が強すぎるるという難点があります。そして保存料や香料などの添加物が多く入っているものが多いので、人間用のシャンプーを犬に使用する事はおすすめできません。その点、犬用のシャンプーは、犬の皮膚と被毛に合わせて作ってあるのものです。
よく『洗いすぎは良くない』ということを耳にします。これは洗う頻度ではなく洗浄力の強弱に関係しています。
1回のシャンプーでも強力な洗浄力で皮脂をほとんど落としてしまうようなシャンプーでは、頻度を重ねれば皮膚が乾燥しフケやかゆみが出て被毛の状態を悪くすることにもつながりますし、皮脂の多い犬では、シャンプーにより皮脂が全部落ちてしまうことで返って皮脂過剰になりベタベタするようになります。
また実際のシャンプーにおいても、ただ犬用のシャンプーで洗えば良いということではなく、洗う前にはブラッシングで毛のもつれをしっかり取り除きましょう。犬の皮膚はとてもデリケートのため洗う際には、スポンジなどでゴシゴシツと強くこすって洗うことなどは避けて、泡立てたシャンプーで優しくマッサージをするように洗いましょう。
シャワーのお湯の温度は37~38度くらいが適温です。熱いシャワーをかけると犬の体温が上がり、過度に疲れさせてしまいます。特に、高齢犬などは湯気でも体調を崩しやすいので気を付けましょう。また、皮膚にシャンプーが残っていると、そこから雑菌が繁殖したり、フケの原因になったりするので、皮膚によくありません。すすぎのときにはシャンプー剤が残らないように、しっかりと洗い流しましょう。洗った後は毛の根元からしっかり乾かしてあげることが、健康な皮膚と被毛を作るポイントになります。
犬用シャンプーにはそれぞれ特徴があり、低刺激性のもの、毛づやを良くするもの、又はフワッとした仕上がりにするもの、消臭効果の高いもの、香りに持続性があるもの、虫除け成分が入っているものなど様々です。
気を付けなければいけないのは、人間用のシャンプーには入っている成分を表記しなければならない規制がありますが、犬用のシャンプーは「雑貨」扱いとなり、成分の表記の義務がありません。人間用のシャンプーの様にペット用シャンプーの成分を全表記するかどうかは、メーカー次第となります。
そのため、犬用のシャンプー全てが良いものとは言い切れませんが、最近では、薬事法に基づいた安全な成分しか使われていない犬用シャンプーなども売られています。愛犬のためにも、できるだけ安全な成分でつくられているシャンプーを選ぶことも重要です。そして、何を最優先にするかは、ワンちゃんの皮膚や被毛の状態によって異なってくるものなので、愛犬の体質をよく理解した上でシャンプーを選ぶことが大切です。
ユーザーのコメント
20代 女性 小夏
あんまりよくないのはわかっているんですけどね…ごめんなさい。
うちの子は、毎日肉球を洗ってもカサカサにならないワンチャンとすぐにカサカサになるワンチャンがいるので使う犬用シャンプーを変えて使います。
個々にちゃんと考えてシャンプーも使っていきたいですね。
30代 女性 きなこ
だいたいはお年を召した方が多いです。
えっ犬用のシャンプーなんてあるの?と逆に聞かれた事も。
今まで大丈夫だったから平気とそのまま使用を続けてしまうケースが多いと思いますが、人間でも赤ちゃん向けの低刺激シャンプーがあるように犬も犬向けのシャンプーを使った方が皮膚にはいいと思います。
うちは、犬向けの固形石鹸を使っています。
保存料無添加で自然由来のものだけなので皮膚にも優しく、ニームオイルなどが配合されており、虫除け効果もあるので一石二鳥です^^
20代 女性 TIKI
30代 女性 38moto
以前被毛を気にしてそれ専用の犬用シャンプーを使用したことがありました。どういうわけか毛のもつれが酷くなり返ってパサつくようになってしまいました。犬用だからといってどの犬種にも合うかといわれるとそうではないと思います。もちろん皮膚に疾患がある場合はちゃんと合うものを使用した方がいいのですが、特にそういった問題がなければあえて専用にしなくてもいいのではないかと思っています。
ドッグショーに出すブリーダーさんでも人間用のシャンプーを使用することがあるそうです。犬種による被毛の違いなどもあります。
どのシャンプーを使うにしろ、不衛生にならない程度に洗うこと、洗いすぎないこと、これを守ることの方が大事だと思います。
20代 男性 go
うちでは人間はドラッグストアの安売りシャンプーですが、愛犬は2,500円のシャンプーに、3,000円ものトリートメント剤に落ち着きました。これで大体6回分です。トホホ、と思いますが愛犬が美しくいることは私の喜びでもあるので、と納得しています。
女性 バービー
女性 らみちゃん
思い返すと実家のコリーは家族のシャンプー(たぶんメリット)で洗われていました。それでも艶々のふさふさ、毛並みには自信があったんですけどね。
現在飼っている犬は、私よりずっと高級な犬用シャンプーで洗っています。記事を読んでちょっと罪悪感が出てきました。
女性 ほたて
女性 もふころ
50代以上 女性 匿名
30代 男性 匿名
またご指摘のペーハーですが、研究によると犬種等の様々な条件で変わり、しかも弱酸性のシャンプーだから弱アルカリ性の肌に悪影響が出ることはないとしています。(https://petgroomermagazine.com/articles/ingredients/a-study-of-the-ph-of-pet-and-human-shampoos/)
また、記事の通り法律上の理由もあり犬用シャンプーは殆どが全成分表示されておらず、メーカーにとって都合の良い原料(〇〇オイル、〇〇エキス)ばかり記載されていることが多いと思います。また、安価で脱脂力が強い「ラウレス硫酸Na」や「石鹸」が使用されている多い割には価格が高いものばかりです(Amazon1位のティーツリー配合のシャンプーなどもそう)。そういう意味では個人的には人間用シャンプーの方がまだ安心できますね。