犬の美容院ってどんなところ?
犬の美容院は一般的に『ペットサロン』や『トリミングサロン』と呼ばれます。ペットサロンでは、主にシャンプー、カット、爪切り、肛門腺絞り、耳掃除、といった犬の健康を保つために必要なお手入れ(トリミング)をしてくれます。
昔は犬を美容院に連れて行く、ということはほとんどありませんでした。しかし、現代で飼われている犬の多くは毛が伸び続ける犬種(プードルやマルチーズなど)であったり、外飼いから室内飼いが当たり前になりつつあるといった生活環境の変化からシャンプーやカット、爪切り、肛門腺絞りといったお手入れが必要になりました。
そして、これらのお手入れを行ってくれる犬の美容師のことを『トリマー』と言います。カットや爪切りは刃物を扱うため、トリマーは犬の行動を理解して、安全に施術するための技術を持った犬のプロです。
犬の美容院でかかるトリミングの値段
トリミングの料金は、その地域やトリミングサロンによっても違いがありますが、一般的に下記のような内容になります。
- 小型犬 3,000〜5,000円
- 中型犬 5,000〜10,000円
- 大型犬 8,000〜15,000円
犬種やメニューによっても異なり、カットが不要な小型犬、例えばスムースコートチワワなどは料金が安くなる傾向にあります。
ですが同じ小型犬でも、カットが必須のプードルはカットの種類によっても変わりますが、5,000円以上かかる場合が多いです。
また、毛玉が出来てたりすると、その分お手入れが大変になるため、別料金が加算される場合もあります。そして、中型犬・大型犬とサイズが大きくなるほどお手入れも大変になるため、料金は高くなります。
犬の美容院を利用する方法
愛犬を初めて美容院に連れて行く時は何かと不安が多いもの。ここでは、ペットサロンを利用する際の実際の流れをご紹介します。
近くのペットサロンを調べる
まずは、インターネットなどでお住まいの地域のペットサロンを調べます。
初めての場合は、犬の負担も考えてなるべく近くのサロンが良いでしょう。ペットサロンは個人で開業されているお店と、ペットショップや動物病院に併設されているものがあります。
初めてでどこのサロンが良いか分からない時は、口コミを参考にしたり、犬を飼っている友人にどこのサロンを利用してるのか、どんな雰囲気でどんなトリマーさんがいるのかなど、聞いてみるのも良いでしょう。
予約
行きたいペットサロンが見つかったら、実際に予約をしてみましょう。
シャンプーやカットなどのお手入れは一頭一頭に時間がかかるため、いきなり連れて行ってその場で施術してもらうということはほとんどありません。必ず事前に予約を取りましょう。予約は電話予約が一般的ですが、最近ではネットで予約できるところもあります。
トリミング当日
トリミングの当日は必要なものを準備して、予約時間に遅れないように余裕をもってサロンに向かいましょう。
注意点や持参するものは後述しますが、予約の時にサロンに確認しておくのも良いでしょう。もし、体調不良などで、キャンセルや日程の変更をする場合は、少しでも早くサロンに連絡しましょう。
サロンでは不特定多数の犬が集まります。安全のためにもリードやハーネスをしっかり装着して、ペットサロンに預けます。トリミングは1〜2時間ほどかかるので、終わる頃にまたお迎えに行きましょう。
犬の美容院を利用する時の注意点
ペットサロンを利用する時にはさまざまな注意点もあります。場合によってはトリミングを断られることもあるので、事前にしっかりと把握しておきましょう。
- トリミングの前日はシャンプーをしない
- ワクチン接種
- 老犬は体にかかる負担を考慮する
- 皮膚病がある場合は事前に伝えておく
- ノミ・ダニの予防
- 生理のきたメス犬は利用を控える
トリミングの前日はシャンプーをしない
トリミングでシャンプーをするのに、前日にも洗ってしまうと、皮脂が取れすぎて乾燥やフケの原因になってしまいます。
トリミングの前日は犬を洗わないようにしましょう。どうしても汚れてしまった場合は、硬く絞ったタオルやシャンプータオルで体を拭く程度にしておきましょう。
ワクチン接種
ワクチン接種証明書の用意
- 狂犬病ワクチン
- 混合ワクチン
犬のワクチンは主に「狂犬病ワクチン」と「混合ワクチン」の2種類があります。狂犬病ワクチンは生後91日を過ぎた犬には年一回接種するように法律で義務付けられています。
混合ワクチンは生後2ヶ月頃に1回目を打ち、その後免疫を確実なものにするため2〜4週間隔で3回接種することが推奨されています。それ以降は年に一回の接種が推奨されています。
これらのワクチンは、愛犬を命に関わる危険な感染症から守るためのものでもありますが、同時に他の犬たちへ病気をうつさない為にも必要なものです。
その為、不特定多数の犬が利用するペットサロンでは、ワクチン接種の証明書の提示を求められることも多くあります。証明書がないとトリミングしてもらえない場合もあるので、事前に準備をしておきましょう。
ワクチン接種の前後1週間は利用を控える
ワクチン接種の前後1週間はトリミングを控えましょう。トリミングというのは犬にとっては、精神的にも肉体的にも負担になるものです。ワクチン接種の前後に犬を疲れさせてしまうと、ワクチンによるアレルギーや副作用が出やすくなります。
慣れない場所で、シャンプーやカット、爪切り等の普段とは違うお手入れをされます。シャンプーやカットなどが苦手な犬も多いです。それを2〜3時間ジッと耐えて、大人しくお利口さんに出来る犬であっても、見た目以上に疲れています。
老犬は体にかかる負担を考慮する
先にも述べたように、トリミングは犬にとって負担になるものです。老犬はそもそも体力が低下しているため、トリミングの負担はとても大きなものになります。
身体的にも足腰が弱ってきて、長時間立ったり座ったりするのが辛くなったり、目や耳が悪くなって家以外の場所を怖がるようになったり、以前は平気だったのに、手足や顔を触られるのを嫌がるようになったりなどの変化が出てくる場合もあります。
トリマーさんによっては、犬の安全を守るために、トリミングを断ったり、途中でお手入れをやめたりといった判断をされることもあります。老犬のトリミングは若い頃以上に注意が必要です。
愛犬の体調をよく見て、あまり調子が良くなさそうな時は別の日に変更したり、心配な場合は動物病院の近くや併設されたペットサロンを使うのも良いでしょう。
皮膚病がある場合は事前に伝えておく
アトピー性皮膚炎や膿皮症など、なんらかの皮膚疾患がある場合は必ず事前に伝えておきましょう。皮膚病の中には他の犬や人間にうつってしまうものもあります。
また、皮膚病の症状に合わせて刺激が少なく、症状を抑える成分が配合されたシャンプーを使う必要があります。
病院で指定されたシャンプーがある場合は、それを使ってもらうようお願いするのも良いでしょう。愛犬のためにも、症状や状態を細かく伝えておく必要があります。
ノミ・ダニの予防
ノミダニは寄生虫です。ペットサロンを利用する他の犬や猫、場合によっては人間を刺すこともあります。刺されなくても、目には見えにくい小さな卵が落ちて他のペットにうつってしまう可能性もあります。
稀に、ノミダニを落とすためにペットサロンを利用しようとする人もいるようですが、それは他のお客さんやサロンにとっても迷惑で、利用を断られる可能性が高いです。ノミダニ予防は飼い主の責任です。
生理のきたメス犬は利用を控える
犬の生理はヒート(発情期)と呼ばれ、避妊をしていないメス犬は年に2回のヒートがあり、ヒートが来ると陰部からの出血が起こります。人間の生理は妊娠しなかった場合に出血しますが、犬のヒートは妊娠が可能になった時に出血が起こります。
この時期のメス犬はオス犬を惹きつける特有のニオイを発しているため、サロンを利用していた他の犬が興奮してしまいトリミング中の怪我や事故に繋がったり、不要なストレスを与える原因になります。
また、犬に生理痛はないとされていますが、食欲不振になったり、寝てる時間が長くなるなどの体調の変化が起こる犬も多くいます。この時はシャンプーやカットなどの負担は大きくなり、免疫力の低下から感染症のリスクも高くなってしまいます。
その為、ヒート中はトリミングを断られることも多くあります。サロンの予約日にヒートが来てしまった時は、事情を説明して、別の日に変更するようにしましょう。
まとめ
いかがだったでしょう?犬の美容院は、犬の健康を守るためにも必要なものなんですね。ですが、初めて利用する時は何かと不安や心配があったり、緊張するもの。分からないことや気になることは、友人に聞いたり、直接サロンに聞いてみるのも良いでしょう。
愛犬を守り、サロンや他のお客さんへ迷惑をかけないためにも、注意点をよく理解して、ペットサロンを利用してくださいね。