ビションフリーゼが抜け毛が少ないと言われる理由
被毛の構造
ビションフリーゼの被毛は「ダブルコート」です。ダブルコートとは、下毛(アンダーコート)と上毛(オーバーコート)の両方が生えている、二重構造の犬の被毛ことをいいます。ダブルコートには体温調節と皮膚の乾燥を防ぐ役割があります。
ビションフリーゼのアンダーコートは密で、細く柔らかい毛が生えており、オーバーコートは少し硬めのカールした毛が生えているのが特徴です。
ビションフリーゼは巻毛のトリミングが必要な犬になり、同様に巻毛の被毛を持つプードルと同じ被毛の構造と勘違いされやすいです。しかしプードルは、下毛(アンダーコート)が無く上毛(オーバーコート)だけが生えている「シングルコート」の犬種になるため、ビションフリーゼとは構造が違います。ビションフリーゼと同じダブルコートの犬種には、柴犬やコーギーがいます。
ダブルコートは、春と秋に換毛期があります。春は暑い夏に向けて、通気性の良い毛に生え変わり、秋は寒い冬に向けて保温性のある毛に生え変わっていきます。
抜け毛は少なめ
通常ダブルコートの犬は、シングルコートの犬と比べると抜け毛が多い傾向にあります。しかし、ビションフリーゼはダブルコートでありながら、抜け毛が少ない犬といわれています。
理由は、ビションフリーゼは毛量が多く被毛が密に生えており、抜けた毛が密な毛やカールしているオーバーコートに絡まって落ちにくい構造になっているからです。そのため、抜け毛が少なめといわれています。抜け毛が少ないからといて、抜け毛がないわけではありませんので注意しましょう。
毛玉になりやすい
ビションフリーゼは毛玉ができやすい犬種です。前述したように、抜けた毛が他の毛に絡まって落ちずに、抜け毛が埋もれている状態になります。本来抜け落ちるべき毛が犬の体に付着したままになると、それが他の毛と絡まって毛玉になっていくのです。
さらに、ビションフリーゼは長毛種のため、伸びた毛がゴミやホコリと絡むことで、それも毛玉になっていきます。また、シャンプー後や散歩で濡れてしまうことがあった際に十分に乾かさなかった時や、洋服や首輪でこすれたりした時も毛玉ができる原因になります。
抜け毛や毛玉を取り除かずにそのままにしておくと皮膚の通気性が悪くなり、蒸れて細菌が繁殖し、皮膚炎など皮膚トラブルの原因になります。毛玉がひどい場合には、皮膚が毛玉に引っ張られてしまい、痛みを起こします。
このようにビションフリーゼは被毛の構造上、抜け毛が少なめといわれていますが、毛玉が出来やすいため、日頃から被毛のお手入れが重要な犬種になります。
ビションフリーゼの抜け毛のケア・お手入れ方法
ブラッシングで抜け毛ともつれをなくす
【準備するもの】
- スリッカー
- コーム
毛玉をつくらないために、毎日のブラッシングで抜け毛ともつれを取り除く必要があります。ビションフリーゼのブラッシングをするときは「スリッカー」と「コーム」を使用しましょう。
ステップ1:スリッカーで抜け毛を取り除く
まずはスリッカーで抜け毛を取り除いていきます。
ビションフリーゼは被毛が密なので、オーバーコートをスリッカーで梳く(すく)だけでは抜け毛は取れません。しっかりと毛をかき分けて、スリッカーがアンダーコートまで届くようにしましょう。毛の根元から毛先に向かって、やさしく梳いていきます。
ステップ2:コームでもつれを取る
スリッカーである程度の抜け毛が取り除けたら、次はコームでもつれを取っていきます。コームを使うときもしっかりと毛をかき分けて梳いていきます。
もつれや毛玉ができやすい場所は、耳の後ろ、お腹、ワキなどが挙げられます。また、首輪をしていると、首輪の下も毛玉やもつれになりやすいです。そのような場所も忘れずに確認して、ブラッシングしてください。
強い力でブラッシングしないように注意
ブラッシングをするときは、無理に毛を引っ張ったり、強い力を入れてとかすのはやめましょう。犬も毛を引っ張られるのは痛いので嫌がります。
また、強い力でブラッシングすると皮膚を傷つける原因にもなるので注意が必要です。特に、毛玉の出来やすい耳の後ろ、お腹、わきは皮膚が薄い場所です。擦り傷にならないように注意しましょう。
毛玉の部分カットをする
【準備するもの】
- ハサミ
- バリカン(必要に応じて)
スリッカーやコームで取り除くことが難しい固まった毛玉は、ハサミやバリカンでカットしましょう。
横にバツンとカットする方法が手早く簡単にできますが、カットした跡がガタガタになってしまいます。綺麗にカットしたい場合は、ハサミを使って毛玉を縦に2~3回に分けて切り、スリッカーで梳いていきましょう。
皮膚を傷つけないように注意
カットする時は、ハサミで皮膚を傷つけないように注意してください。刃を犬の皮膚に向けず、毛先に向かって切るようにしましょう。フェルト状になって皮膚に近いところにある毛玉は、バリカンでカットしてしまったほうが安全です。
ハサミを使うと皮膚も一緒に切ってしまう危険性があるからです。皮膚と毛玉の隙間にバリカンの刃を当てて、少しずつ切っていきましょう。
シャンプーで皮膚と被毛の汚れを取る
ステップ1:下洗い
密な被毛は濡れにくいため、まずは下洗いをしましょう。
ぬるま湯で薄めたシャンプー剤をシャワーの水圧やスポンジで泡立たせてください。泡で犬の全身を洗い、すすぎます。
ステップ2:本洗い
下洗い後に本洗いをすると、皮膚まで洗いやすくなります。
指の腹をつかって皮膚を洗っていきます。被毛はゴシゴシと洗うと毛が絡んでもつれてしまうので、なるべく手櫛で梳くようにやさしく洗っていきましょう。
ステップ3:すすぎ
シャンプー剤が残らないようにしっかりとすすいでください。
ステップ4:乾かす
必ずドライヤーで乾かしてください。乾かさないことも毛玉ができる原因になります。
被毛にドライヤーをあてながら、スリッカーかコームを使用して梳かしながら乾かしましょう。濡れた毛を根元からしっかりと乾かしてください。
ドライヤーをあてるときは、風が熱くなり過ぎないように温度に気を付けて、ドライヤーを犬に近づけすぎないように注意してください。
シャンプー前に必ず毛玉ともつれを取り除ていおく
ビションフリーゼは必ず、毛玉ともつれを取り除いてからシャンプーするようにしてください。
毛玉ともつれがある状態でゴシゴシと洗うとさらに毛が絡み、シャンプー後の乾かしが大変になります。また、毛玉やもつれがある状態だと皮膚までシャンプー剤が届かず、皮膚の汚れを取ることが難しくなります。
定期的にトリミングに行く
ビションフリーゼは毛が伸びるので、定期的にトリミングサロンに連れて行きましょう。月に1回程度が理想です。また、お手入れをすることが少々難しいという時や、毛玉がひどくて手がつけられないという時はプロに任せましょう。
トリミングサロンに出すと、カットスタイルも楽しむことができます。ビションフリーゼといえば、「パウダーパフ」というカットスタイルが代表的です。化粧道具のパウダーパフに因んで付けられた名称で、頭と耳をつなげて顔の輪郭を丸くするカットです。アフロカットとも呼ばれます。
カットスタイルはその他にも、テディベアカット、モヒカンカット、キノコカットなどが挙げられます。ビションフリーゼは、毛量が多いからこそできるカットスタイルが楽しめます。自宅でのお手入れが大変という方には、お手入れが簡単な短いカットがおすすめです。
毛玉になってしまったときのトリミング方法
ビションフリーゼの毛玉をとるときはスリッカーブラシとコームを用意します。毛玉になっている被毛の根元をもち、スリッカーブラシを使って毛玉の部分をブラッシングします。
この時に、被毛の根元を持たないと被毛が引っ張られて痛がりますので必ず持ちましょう。一度に毛玉を取ろうとはせず、少しずつ毛玉をほぐしていきましょう。
毛玉がほぐれてきたら、コームを使用してとかしましょう。こうして、小さな毛玉を取ることができます。毛玉は大きくなる前に取ることをオススメします。大きくなってしまった毛玉はハサミなどを利用して取ることもありますが、とても難しく、ビションフリーゼを傷つける可能性もありますので、その際はトリミングに行くことをおすすめします。
毛玉は、小さいうちに取る方が楽に取れますが、毛玉をそのまま放置しておくと毛玉が大きくなり、取るのが困難になります。あまり大きい毛玉は、バリカンやハサミでカットして取ることになります。
ビションフリーゼの魅力の一つであるパウダーパフ(おしろいやパウダーをつける時の毛足の長いパフ)のような被毛、お人形のような容姿をキープする場合、ある程度の毛量と被毛の長さが必要になりますので、毛玉をなるべく作らないように心掛けたいものです。
まとめ
白くてふわふわの毛はビションフリーゼの最大の魅力ですが、その毛の構造上すぐに毛玉ができてしまいます。
ブラッシングは、埋もれた抜け毛や毛玉、毛のもつれを取り除き、通気性を良くします。毎日のお手入れが皮膚と被毛の健康につながるのです。
自宅での毎日のブラッシングと定期的なトリミングで皮膚や被毛の健康を保ち、ビションフリーゼの魅力を引き出してあげましょう。