犬のハンドシャイ
撫でようと手を出した途端、避けたり、逃げたり、怖がったり、緊張したり、はたまた威嚇したりする犬がたまにいることがあります。
このように人間の手に対してものすごく神経質になっている犬の事を、専門用語で、『ハンドシャイ』と言います。
犬が撫でられるのを怖がる原因
ハンドシャイの犬は、人間、つまり飼い主が感情的に犬を叩くことによって生まれます。その時に人間が感情にまかせて、自身のイライラをぶつけてしまうと、犬は人間の手を怖がるようになります。
叱るということは、その犬の将来を考えて注意することです。怒るということは、漢字を見ていただいても分かるように、「心」が入っています。つまり感情が伴って、その感情をぶつけてしまうことです。
犬は人の感情を読みとる
犬を扱う職業に付いている者の一人として、犬と相対する時には「平常心」でなくてはならないと教わります。平常心とは、普段と変わらない心、気持ちを指します。
人間が焦っていたり、イライラしていたり、不安だったり、緊張だったりの感情を、犬はとてもよく読み取ります。そのような心理状態の時は、犬が全くこちらの言うことを聞いてくれない、ということもよくあります。
また、こちらが平常心で犬を扱うと、暴れていたり、噛みつく可能性のある犬でも、落ち着いてこちらの言うことを聞いてくれることもあります。
バイオフィードバック
バイオフィードバックという言葉もあります。これは簡単に言うと、人間が興奮していると、その感情を犬が読み取り、興奮し、人間が落ち着いていると、その感情を犬が読み取り犬も落ち着いてくるというものです。
その為、褒める時も、叱る時も「平常心」でなくてはいけないのです。
感情で怒らない
人間ですから常に平常心でいるということは、なかなか難しいことではありますが、犬にとって飼い主は、生活の全てに等しいものです。飼い主がいなければ、ご飯も食べることはできないし、散歩に行くこともできません。
具合が悪くても病院へ一人で行くこともできません。生活のすべてを人間に依存している、わんちゃんを感情で怒ってはいけません。そして、人間の手は犬にとって、常に愛情を与えるものでなくてはなりません。
撫でられる事を怖がる犬への接し方
では、そのような犬に出会ったとき、どのように接してあげればよいか。まず、むやみやたらに触らないということです。
ハンドシャイの犬は言いかえれば、怖がりな犬です。怖がりな犬に、挨拶もそこそこにいきなり触れようとすれば、犬は嫌がります。
飼い主さんから犬の名前を聞いて、「○○ちゃーん」と呼んで触ろうとしても、犬にしてみれば、全く知らない人間が自分の名前を呼んできて、「お前誰だ?」という心理になります。
そのような犬の頭を撫でようと手を出した途端、避けられるか最悪の場合、威嚇から噛まれる可能性があります。
匂いを嗅がせる
どの犬もそうですが、初対面の犬の頭をなでようとした時、手の匂いを嗅がれることがあります。
それは、人間は見て犬を知っていても、犬にしてみれば、人間ほど視覚に頼って生活している生き物ではないので、臭いをかがないと誰だか認識できないからです。
余談ですが、闘病のため入院していた飼い主に、犬を合わせた時、(飼い主は闘病により痩せて、体格がすっかり変っていた)犬はその人がシルエットだけでは飼い主か分からず、おびえながら近づき、臭いを嗅いで飼い主と認識できたということがあります。
手の甲を嗅がせる
まず、目線を犬に合わせるためにしゃがんであげましょう。そして、犬の鼻先に握りこぶしを出して匂いをかがせます。
これは、万が一噛まれた時にケガを最小限にするためです。手のひらは手の甲と比べると柔らかいので、噛みつかれた時にケガが大きくなってしまいます。
この匂いを嗅がせる時に噛まれる可能性は低いですが、私は過去に噛まれた経験があります。シベリアン・ハスキーと秋田犬の雑種で、大型犬に近い大きさの犬でしたが、握りこぶしを出したときにそのまま、がぶっとやられました。
そのまま手を引くと、傷が裂けてしまうので、そのまま握りこぶしを押し込んで、犬に口を開けてもらい、離してもらいました。握りこぶしだったので、ケガは大したことがなかったのが幸いです。
喉から胸のあたりを撫でてみる
匂いを嗅いでくれたら、そのまま喉から胸のあたりをなででやります。そこの部分は犬にとって気持ちいい場所の一つでもあるので、なでさせてくれると思います。
犬のハンドシャイのリハビリ法
人間の手は怖くないんだということを教えるために、飼い主は平常心で犬に接することです。そして、絶対に感情的に犬を怒って叩かないこと。これにつきます。
しかし、劇的に改善するわけではありません。時間をかけて根気よく、教えてあげてください。また、上から降ってくる手を怖がるので、なでる時は喉から胸のあたりをなでてあげてくださいね。
まとめ
いかがでしたか。ハンドシャイの犬は飼い主が原因であることがほとんどです。愛犬がハンドシャイにならないように、飼い主は平常心が試されていますよ。
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40代 女性 ゆっきー