犬が唸る理由
警戒心を表している
犬が唸る理由は警戒心や不安から威嚇のためのことが多いです。家に来て間もない子犬の頃はこれらの気持ちが強く、玄関のチャイムや掃除機などの特定の物音に反応して唸ったり、時には吠えたりすることもあります。
上記のような行動が見られる場合は、不用意に近づくと噛まれる危険があるので注意が必要です。また、留守番中の不安な気持ちを紛らわせるために、スリッパやソファをかじるなどの破壊行動に出ることもあります。
警戒心が強い時の行動
- 毛が逆立つ
- 震える
- 物音に反応する
- 唸りながら近づく
- 小さく唸る
- 破壊行動がある(かじる、引っかく)
嬉しい気持ちを表している
犬が唸るときでも、これらの行動を伴っている場合は、嬉しい気持ちが強く出ている理由で唸っていると思われ、怒ってないと考えられます。怒っているかいないかを見分けるポイントは「歯をむき出しにして唸っていないこと」で、同時に尻尾をふるなどしているときは機嫌がよいと捉えてよいでしょう。興奮しすぎて行動がエスカレートしてしまう場合にはしつけが必要となることがあります。
嬉しい時の行動
- 尻尾をふる
- 甘噛みをする
- 膝の上に乗る
- 追いかけっこをしてくる
興奮している
遊びに本気になりすぎるあまり、興奮して犬が唸るという理由のこともあります。犬が上記のようにしているときは、一度冷却期間が必要となるでしょう。また、発情期の犬は落ち着きがなくなるため、その理由としてこのような行動に出ることが多いとされています。
興奮している時の行動
- 遊びながら唸る
- 物が引っ張り合いになる
- 綱引きがいつまでも終わらない
- ぬいぐるみなどのおもちゃを離さない
要求を通そうとしている
「遊んでほしい」「餌がもっとほしい」などの要求を伝える理由のために、食後などに「うー」と唸ることがあります。犬が甘えてくる姿はかわいらしいですが、要求を通しすぎるとわがままになってしまうのでメリハリのある対応を心がけましょう。また、マウンティングや威嚇の意味で唸ったり吠えたりする場合は、対等な立場であるというしつけが必要です。
要求を通したい時の行動
- 遊んでほしいとき
- 散歩に行きたいとき
- 餌がほしいとき
- 自分の方が上だと示したいとき
嫌がって唸る
犬が唸る理由は、不満を表すためのこともあります。犬によって苦手としていることが違うので、これらの項目が平気な犬もいれば嫌がる犬もいます。
また、人間と同じように犬にも反抗期があり、第1次反抗期が生後6〜10カ月くらい、第2次反抗期が1歳半前後、第3次反抗期が2〜3歳くらいとされています。反抗期の程度や期間に個体差はあるものの、反抗期では「急に唸るようになって全く言うことを聞いてくれない」「今までは素直だったのに急に何にでも反抗してくるようになった」ということがあります。
不満を示す行動
- 抱っこ
- ブラッシング
- 歯磨き
- 爪切り
- 足を拭く
- 顔を近づける
体調が悪い
ケガをしていて痛いときや、病気で体調が悪い理由で犬が唸る場合もあります。寝起きや眠いとき、寝るときに元気がないこともありますが、今までできていたことができなくなったりひきつけがあったりする場合は、認知症やてんかんなどの脳の病気の理由が疑われます。
これらの症状が見られたときや、吐いた後などは早急に動物病院に連れて行くようにしましょう。
体調が悪い時の行動
- 元気がない
- 触ると唸る
- 吐く
- 家具などにぶつかる
犬が唸るときのしつけと対処法
無視する
わがままや甘えの要求、マウンティングの理由で犬が家族に唸るときは、無視をして反応しないことが一番です。反応したり要求が通ったりしてしまうと、わがままが加速する可能性が高くなります。
また、怒ったり叱ったりするのも犬に攻撃される危険があるだけでなく、お互いに嫌な気持ちになってしまうのでおすすめしません。落ち着いて冷静に対応し、「これをしても無駄なんだ」ということを犬に教えていきます。初期のしつけで苦労する場合は、ドッグトレーナーに任せるのもよいでしょう。
コマンドやルールを教える
おもちゃをいつまでも離さないときは、コマンドとルールを一緒に教えてあげましょう。おもちゃを無理に引き離すのではなく、「離せ」「ちょうだい」などのコマンドを出して動かず、犬が離すのを待ちます。
犬が離したらすぐにおもちゃで遊んであげ、「取り上げられるのではなく遊んでもらえるんだ」ということを理解させましょう。最初は、おもちゃを離したタイミングでおやつなどのご褒美をあげるのも効果的です。
犬が唸るだけでなく噛む、吠える場合には天罰方式のしつけをしてやめさせるのが有効です。大きな音を出したり、犬が苦手とする臭いのスプレー(少量の酢を水で薄めたものなど)を吹きかけたりするなどの方法で、「これをすると嫌なことが起こる」のだと犬に学習させます。
この時、飼い主が天罰に関わっていると知られると犬に攻撃されたり信頼関係が崩れたりする危険があるので、犬に悟られないように行うことがポイントです。
犬が唸るときの対処法
警戒心や恐怖心から犬が唸る理由のときは、ストレスの原因となるものを取り除いたり少しずつ対象に慣らしたりして、安心感を与えることが大切です。
例えば、ご飯の途中で唸ることが多い場合は、餌をあげるときはお皿に盛るのではなく飼い主の手から少量ずつあげるようにすれば、「飼い主は餌を奪うのではなく餌を出してくれる人」という印象を持たせることができるでしょう。
特定の物音や対象物、人に唸るのであれば、おやつをあげながら遠くから対象物を見せる、音に反応しなかったときにご褒美をあげるなどして、「怖がる必要がないものだ」「唸らなければよいことがある」ということを教えてあげます。犬が対象物に気づく前に、おもちゃなどを使って気をそらすのも方法の1つです。
犬の唸る行動を放置する危険性
人や他の動物に危害を加える可能性がある
警戒心や威嚇の意味で唸る犬の行動をそのままにしておくと、いずれ人や他の動物に危害を加える可能性があり大変危険です。犬を安心させることでそれらの危険や唸る行動は減っていくので、子犬のうちから徐々に苦手なことに慣れさせたり、対象物を取り除いたりするとよいでしょう。
要求がエスカレートする
犬が唸るたびに飼い主が対応したりうろたえたりしてしまうと、「唸れば反応してもらえる」と学習して要求がエスカレートし、すぐ唸るようになる可能性があります。その理由は犬は学習能力が高く定着したことを途中から直すには時間がかかるため、初期から対応を徹底させることが大切です。逆の捉え方をすれば、早めに適切なしつけをすることで、愛犬との良好な関係を築くことができると言えます。
病気が悪化する恐れがある
ケガや病気の理由によって犬が唸る場合、放置することで症状の進行を早めたり悪化したりする恐れがあります。特に脳の病気の場合は命に関わる危険があるため、早期発見が鍵となります。投薬治療や食事療法、リハビリなどで改善する場合もあるので、飼っている犬の様子や行動がおかしいと感じたら早めに動物病院に連れて行きましょう。
病気によって先天的または後天的にかかりやすい犬種があるので、飼っている犬がどのような病気になりやすいのかを調べておくのもよいでしょう。
例えば、てんかんはコーギーやボーダーコリー、脳腫瘍はゴールデンレトリバーやブルドッグ、認知症は柴犬などの日本犬系に多いとされています。
まとめ
犬が唸る理由は警戒や威嚇、要求の意味である場合が大半ですが、嬉しいときや体調が悪いときにも唸ることがあるようです。
なぜ唸っているのかの理由の見極めは難しいこともありますが、唸り声に伴う行動などから犬の気持ちを判断し、適切な対応やしつけをする必要があります。
唸る行動をそのままにしておくと重大な事態に発展する可能性もあるため、子犬の頃からメリハリのある態度で接し、愛犬との良好な関係を作ることができるとよいですね。
ユーザーのコメント
女性 ゴン吉
場所に対して唸る行動を直すのはどうしたらいいのか今でも困っています。
50代以上 男性 匿名
40代 女性 はるぽん
同感です。
嫌だって教えてくれてるだけの時もありますよね。
40代 女性 匿名