犬も毛を逆立てることがある
猫が背中の毛を逆立てて「フーッ」と威嚇する姿はよく見ますが、実は犬も同様の行動をとることを知っていますか?犬が毛を逆立てる理由は猫と同じように「威嚇して逆立てている」時と「恐怖心で逆立てている」時の2種類あるのです。
まずは犬の毛が逆立つメカニズムからご説明します。
犬の毛が逆立つメカニズム
犬の毛が逆立つのは毛根部分にある「立毛筋」という筋肉の働きが関係しています。
犬が興奮したり緊張したりすると自律神経が働き、筋肉が緊張状態になります。その筋肉の中に立毛筋があり、緊張状態になることで毛が逆立つという仕組みになっています。
この毛が逆立つ現象は人が恥ずかしくて顔を赤らめるのと同じように、自分で意図的に出来るものではなく、犬も自分の意思で毛を逆立てることはできません。
もちろん通常は精神的に安定しているため、立毛筋は弛んだ状態になっており、毛は寝たままになっています。
立毛筋は毛を逆立てる以外にも
- 皮脂の分泌促進
- 体温の低下を防ぐ
などの役割があります。
体温の低下を防ぐために立毛筋がなぜ関係しているかというと、寒いときに立毛筋を収縮させて全身の毛を逆立て、毛の隙間に空気を多く蓄えることで空気の層が断熱材の役割をすることで防いでいるのです。
攻撃・威嚇「自分を強く見せる」
まず、攻撃態勢である時に毛を逆立てる理由についてご説明します。
攻撃態勢の時は相手よりも自分を強く見せなくてはいけないため、毛を逆立てて体を大きく見せます。
攻撃態勢の犬の特徴
その他にも攻撃態勢の犬には
- 前傾姿勢になる
- 耳が前に倒れている
- 尻尾がピンと立っている
- 鼻の上にしわを寄せている
- 歯の前側だけ見せている
などの特徴が見られます。
この時の犬の気持ちは「ここからすぐに消えろ!あっちへ行け!」と威嚇している状態です。
この場合の対処法
「うーっ」と唸っているのはまだ威嚇状態ですが、相手が近づいたりその場から離れなかったりすると、吠えて飛びかかろうとします。このような攻撃態勢に出る犬は自分の体力に自信があり、自分のことを強いと思っていることが多いので不用意に近づかないように注意しましょう。
また、お互いが毛を逆立てている場合は一触即発の危険な状態でケンカに発展する確率が高いので、すぐにその場から離れて落ち着かせてあげましょう。
防御「相手に対する恐怖心」
防御態勢である時に毛を逆立てるのは犬が恐怖を感じている時です。攻撃の意思は全くなく、「争いたくない、相手のことが怖い」と思っている状態の時も毛を逆立てることがあります。
この場合での毛が逆立つメカニズムは、一定のストレスがかかり続けることによって筋肉が緊張状態になることから起こっています。
防御態勢の犬の特徴
恐怖心のある犬のその他の特徴は
- 低い姿勢になる
- 耳が後ろに倒れている
- 尻尾が股の間に入っている
- 鼻の上にしわを寄せる
- 口角が広がり、顔がこわばっている
などがあります。
病院へ行った時にもこのような行動が見られるのは、犬が病院に対して強い恐怖心を持っているからです。
この場合の対処法
この状態になった犬も緊張状態であることに変わりはないので、吠えたり噛みついたりすることがあります。対象から遠ざけ、落ち着かせてあげることが大切です。
ストレスがかかるとフケの症状
また、この防御態勢であるときにフケがたくさん出てくることがあります。これは恐怖を感じることで先述した立毛筋が緊張状態になり、毛が逆立つことでフケが浮かび上がるためです。
犬がブルブルと震えている時にもフケや抜け毛が異常に増えることがありますが、これは病気ではなく急激なストレスや恐怖によって起こる現象です。
すぐに皮膚病かと疑う前に、何か恐怖を感じるようなことがなかったか思い出してから相談するようにしましょう。
まとめ
逆毛を立てる理由には攻撃と防御という真逆の2つの感情から起こっていました。
どちらにせよ強い緊張状態であることに変わりはないので、その場から遠ざけることで気持ちを落ち着かせてあげることが大切です。
愛犬のボディランゲージからどんな状態にあるか理解することで、もっと愛犬の気持ちが理解できるようになるはずです。より良いワンコライフのために犬のことを知っていきましょう!