犬は「嫌なイメージ」を持つとやらなくなる
犬は、学習能力の高い動物です。同じことを数回経験しただけで、「これをすると褒められるんだ」あるいは、「これをやったら怒られるんだな」と学習します。
しつけは、犬の学習能力を利用して行います。たとえば、「おすわり」というコマンドをだして、上手にできたらご褒美におやつや褒めてあげるなどです。
ところが、犬はこちらが意図しないことまでも学習してしまうことが多々あります。
- 犬がイタズラをして怒ったつもりなのに、「こら~!何やってるの~!」と高い声を出してしまったことで、犬は「イタズラをすると構ってもらえる」と思い込んでしまった。
- 犬がトイレ以外の場所に粗相したので慌てて止めたら、トイレ自体を我慢するようになってしまった。
など・・・。
犬は、自身の経験から物事に対しての「イメージ」を持ちます。「良いイメージ」があることは進んで行い、反対に「嫌なイメージ」がついてしまうとこれまで出来ていたことも出来なくなってしまうのです。
「嫌なイメージ」を無くしてあげる
今まで出来ていたことが突然出来なくなってしまった場合には、何らかのきっかけで犬が「嫌なイメージ」を持ってしまったことが原因であることが多いのです。
もう一度出来るようにするためには、ついてしまった「嫌なイメージ」を無くしてあげなければなりません。
2つの例をあげてみます。
①「おいで」と呼んでも寄って来なくなってしまった
今までは「◯◯ちゃん、おいで~」と呼ぶと近くに寄ってきたのに、突然呼んでも来なくなってしまうことがあります。
犬が何か悪いことをした時に、叱ろうとしても隠れてしまうことってありますよね。この時に、優しい声で「おいで~」と呼んでおいて、犬が近づいてきたところで思いっきり叱っていませんか?
これこそが呼んでも来なくなってしまった原因なんです。犬は「優しい声で呼ばれる=怒られる」というイメージを持ってしまったのです。
「優しい声で呼ばれる=怒られる」というイメージを無くしてあげるには、叱るときには絶対に名前を呼ばないということを徹底してください。
また、叱るときは必ず現行犯でなければなりません。そして「おいで」と言いながら手におやつを持ち、近づいてきたらおやつをあげて褒めてあげましょう。そうすることで「嫌なイメージ」から「良いイメージ」にもう一度変えることができます。
②ある日突然トイレを外すようになってしまった
これもよくあることです。考えられる原因はいくつかあります。
- トイレで用を足しているときに、大きな物音がしたりして怖い思いをした
- サークル内にトイレを設置している場合、イタズラをした後にサークルに閉じ込められてしまった
- 遊びに来た別の犬の匂いがトイレについている
このように「トイレ=嫌なイメージ」となってしまうと、犬は別の場所をトイレにしてしまうことがあるのです。
「トイレ=嫌なイメージ」を払拭するには、まずはトイレの位置を変えてみましょう。サークルごと移動することでまたトイレが出来るようになったのなら、家の中の「場所」に対して嫌なイメージがあったということ。
サークルはそのまま、トイレだけを別の場所に移動したらもとに戻ったなら、サークルの中にいることに嫌なイメージがあるということです。
また、トイレを間違える場所がカーペットなら、カーペットを外すことで新しいトイレの位置を認識しやすくなりますよ。
まとめ
犬はとても賢いので、こちらが意図していないことまでしっかりと学習します。
飼い主さんにはそんなつもりはなくても、「これって怖いな」ということはしっかりと覚えているのです。
我が家では窓の近くにトイレを設置していましたが、ある日、愛犬がトイレで用を足している最中にサイレンの音が鳴り響きました。もともとサイレンの音が苦手だったこともあり、それ以来トイレに近づかなくなってしまいました。
仕方ないのであまり外の音が聞こえない場所にトイレを設置すると、ちゃんとそこでするようになりました。
今まで出来たことが急に出来なくなってしまった場合、「嫌なイメージ」をもっている可能性があります。
その都度、変えられるものは場所を移動させたり、改めて「怖くないんだよ」ということを教え直してあげてくださいね。
監修ドッグトレーナーによる補足
犬が一度覚えたことでも、行動が変化することがあります。それは年齢に関係なく、成犬でも老犬になっても変化してしまうことがあるのです。
ただし、そこには必ず理由があります。今まで出来ていたことが出来なくなったときは、きっと原因があるはずです。
愛犬が何をイメージしているのかを想像することで、解決へと導くことができるようになります。毎日の行動をしっかり観察しましょう。