なぜ、早朝に吠えるの?
人間も意味なく大声で誰かを威嚇したり、大声を出したりしませんよね?
ワンコも同じではないでしょうか。
例えば、外で夜を過ごしているワンコなら、
「新聞配達のバイクの音が怖い」
「早朝散歩をしている人の気配が気になる」
「スズメなどの小鳥の鳴き声を聞くとウズウズしてしまう」
「早く散歩に行きたい気持ちが抑えられない」
そんな理由があるのかも知れません。
おうちの中で暮らしているワンコなら、『同じ時間にやってくる新聞配達の人がおうちの中に入って来ないか』と怖くて吠えたり、また、トイレがしたくて吠えたり、いずれにしろ、何かしら理由がある筈です。
まずは、その理由を予測して、いろいろ対処を試してみましょう。
新聞配達の人、散歩の人が怖い
お外にいるワンコの場合は、夜は玄関などに入れて、「ここで安心して眠ってていいんだよ」と分からせてあげます。
ワンコは集団で生活をする習性があるので、自分の領域に侵入して来る相手に対して警戒し、「入って来るな!」と威嚇もしますが、しかしそれは群れの全てのワンコがそんな行動をとるのではなく、群れを守り敵を撃退するリーダーの役目です。
もし外敵を撃退する為に吠えているのであれば、そのワンコは自分がこの家のリーダーだと思っている可能性があります。
その場合はまず、ワンコに自分はリーダーでなく飼い主さんがリーダーである事を、躾をしっかりする事で理解させる必要があります。
基本的な「待て」「よし」「おいで」「ハウス」など、いくつかの命令をしっかり応えられる様にトレーニングを続けましょう。
そして、飼い主さんは良きリーダーとなるべく「ご飯を与える」「散歩に行く」「飼い主さんの命令を正しく出来たらご褒美をあげ、褒める」などのワンコとの約束事を守りましょう。
また、飼い主さんに対して従順で、普段は穏やかな性格のワンコなら、「敵が来たよ!お母さん、お父さん怖いよ!」と訴えているのかも知れません。
飼い主さんが穏やかに「大丈夫だよ」と声をかけて落ち着く様なら、ワンコは怖がりなだけであなたをちゃんとリーダーだと認識しています。
その場合なら、リーダーの側でさらに安心出来る、隠れ家になる様なクレートを用意し、その中へ誘導してワンコの恐怖心を鎮めてあげましょう。
散歩に行きたい、小鳥の気配、声が気になる。
「散歩に行きたい」「トイレに行きたい」「お腹が空いた」などの欲求吠えの場合は、無視する事が有効だと言われますが、これも、あくまで飼い主さんがリーダーである事をしっかりとワンコが認識しているからこそ効果があるのであって、自分がリーダーだと思っているワンコの場合は、要求が通るまで吠え続けてしまうでしょう。
また、小鳥の気配や鳴き声が気になるのは、特に狩猟犬としてのルーツを持つワンコにとっては本能的な衝動であり、よほど強く信頼しているリーダーの制止でない限り、我慢させるのは難しいと思われます。
本能に突き動かされて吠えているワンコに対して、無視をすると言う手段で静かにさせる事は出来ません。
侵入者に対する警戒と、本能による興奮により長時間吠え続け、飼い主さんが折れてしまう…と言うケースも多いはず。
そんな状態を改善するには、やはりワンコと飼い主さんとの信頼関係を「リーダー」と「リーダーに庇護されている自分」と確立する事が重要です。
私達人間も、好きでも嫌いでもない相手に無視される事は平気でも、心から尊敬し信頼している相手から無視される時の気持ちを考えてみれば、それがワンコにとってどれだけ辛い事か、想像出来ますよね。
寂しい(分離不安)
飼い主さんや、他の家族が寝静まっていて、「心細い」「寂しい」と言った感情で鳴く場合もあります。
この場合は早朝に限らず、一人きりになったり、信頼している飼い主さんから離れた時に鳴いている筈です。
飼い主さんの顔や気配を感じられたら鳴き止むのであれば、ケージで寝ているワンコから飼い主さんが見える様な場所にケージの場所を移動させてたり、自由に出入り出来る様にケージの扉を開けておく、といった方法を試してみましょう。
この時、「鳴くからケージを開ける」という飼い主さんの行動は、「鳴いたらケージを開けて貰える」と思いかねないのでご注意を。
休日には散歩、食事が遅い
『仕事のある日は早朝に散歩に行き、規則正しく食事を与えているけれど、お休みの日は散歩や食事が不規則になる』という事はありませんか?
普段からあまりにぴったり同じ時間にワンコの生活リズムを決めつけてしまうと、同じ時間に散歩や食事が与えられないと、『散歩に行けるのかな?ご飯貰えるのかな?』と不安になり、吠える事でその不安、不満を飼い主さんに訴える様になります。
一見、身勝手な方法だと思われそうなやり方ですが、ワンコの生活のリズムをワンコに合わせず、飼い主さんの生活リズムに合わせて行く様に促します。
少し時間をズラして散歩に行く、散歩に行けない時は別の遊びで運動させる、食事の時間を意識的に少し早めたり遅くしたりズラして見る。
ズレていても、ご飯も食べれるし、散歩も行ける、と曜日や時間を認識するようなお利口なワンコなら必ず理解してくれます。
まずは、ワンコとの信頼関係を再確認
ワンコが何故朝から吠えるのか、その理由にいくつか思い当たる事があるなら、まず、その問題が解決出来る様に努力する事。
散歩が足りないのなら散歩の時間や回数を増やす、外部からの侵入が怖いのなら、その気配からワンコを隔離するなど。
もちろん、吠える理由は一つではないので、物理的な対処の方法もその理由ごとに違います。
ワンコの行動を観察し、ワンコの気持ちを推し量り、対処の方法を考えて実行しましょう。
その行動は、ワンコに媚びてワンコの下僕になっているのではなく、リーダーだからこそワンコにとって安心安全で、快適な生活環境を整える責任を果たしている事になるのです。
そして、その行動と共に飼い主さんとワンコの間に、絶対的な信 頼関係を築ける様に努力しましょう。
飼い主さんは、決して高圧的にワンコを支配するのではなく、ワンコから愛され尊敬されるリーダーである為に、自分はどう行動してどうワンコと向き合うべきかを考えてみましょう。
ワンコへの躾の仕方は、ワンコの生活環境やワンコ自身の性格により、この方法が絶対効果的!と断言出来るものはないと思います。
愛するワンコの事は誰よりも飼い主さんが一番理解している筈です。
時には存分に甘えさせ、時には毅然とダメなモノは叱る事で、むしろワンコは飼い主であるあなたの事を、強く絶対的に信頼出来るリーダーとして認め、精神的に安定します。
自分達にあった方法を模索し、「早朝から吠えて困る」と言う問題を乗り越えれば、強く、熱い信頼の絆で結ばれた家族になれるに違いありません。