はじめに
あなたは愛犬のことを信用していますか?
あなたは愛犬との何気ない楽しい日常生活をお過ごしだと思います。
甲斐甲斐しく世話をされ、散歩に行き、お利口な犬になってほしいと頑張ってしつけ本を読み漁り、またはネットで検索されていることでしょう。
あなたのそんな気にもしていない、何の悪気もない、何気ない仕草・行動・接し方が実は犬にあなたを危険な存在と認識させ、今居るその室内が危険な場所だと認識させているかもしれないんですね。
「自分の事を理解してほしい」と不満で爆発寸前かもしれないのです。
つまり「あなたや群れが信用出来ない」事態に陥っているかもしれないのです。
今「そんな事ある訳無いでしょ!」と感じたあなた。今一度考えてみてください。
これは今後、愛犬家のあなたにとってとても重要な事なので再確認してみましょう。
思い当たる事は?
犬は良い意味でも悪い意味でもあなたを常に見ています。犬はあなたやあなたのご家族しか頼りにできない世界にいるのです。
こんな事はありませんか?
- 「オイデ」の呼び戻しができない
- しつけをしたくてもじっとしないし、言う事を聞く気配さえない
- 散歩に行くのを嫌がる
- あなたやご家族に威嚇や牙をむく
- 過去に犬が脱走して帰ってこないことがあった
一つでも当てはまれば要注意です。
本質として、犬はとても寛容で我慢強い精神の持ち主です。
しかし一旦「堪忍袋」が切れてしまうと手が付けられない状態になることがあります。
個々に性格がありますのでストレスを溜め込んで脳が考えるのを諦めて、されるがままで生涯を終える子も少なくありませんね。
犬が飼い主さんを信用出来なくなる原因というのは幾つかの要因が重なり起こるのです。ご説明しましょう。
愛犬からの信用を失う原因とは?
僕が考えるのはこの2点です。
犬の本質に反した扱い
- 人間のように扱われる
- 活動欲求(体力発散や捕食、狩猟、探索など本能の部分)が満たされない
- 同じ事をしても叱られたり叱られなかったりして訳が分からない
- 仲間同士のコミュニケーション(スキンシップや意思疎通)がしっかり取れていない
このように犬の本質に反した生活を送ると不満ストレスが溜まり、群れに対する不信感に繋がります。
不満ストレスが飽和状態になると、犬は「いい加減しろ!」と反発し爆発するか、脳が不活性化して「もう無理だ。どうでもいいや…」と考えることを止めてしまいます。
コントラディクショントラップ
コントラディクショントラップとは精神的矛盾に陥る事を意味します。
これは飼い主さんの日常及び、しつけの時によく起こり得る事なのです。
例えばよくあるこんな状況。
室内でフリーにしていて愛犬が何か悪い事をしたとします。
あなたは叱ろうと「おいで」と愛犬を呼びますよね?
愛犬が近寄って来ないと優しく「おいで〜♪」と誘うわけです。
すると愛犬は「何事だろう?」と近寄って来ます。
近付くといきなり怖い顔で「早く来なさい!」とか「コラ!ダメでしょ!」と大声を出して叱ったり、高圧的な態度に出てしまう。
その後愛犬はその状況が嫌なので、呼ばれてもあなたを無視するようになります。
それでもあなたが執拗に呼ぶので恐る恐る近寄ると、「何ですぐに来ないの!」とまた叱られてしまうのです。
愛犬は「呼ばれたから戻ったのに叱られる」精神的矛盾に陥り、疑心暗鬼になるんです。
そして「それならいっそ戻らない方が危険がない」と愛犬は認識してしまうのです。
これが悪化すれば飼い主さん以外の人にも同じ態度を取るようになります。
これらの精神状態で、いかに犬が人間に近い感情を持つかお解りでしょう。
余談ですが、これは僕が現場でよく耳にする言葉です。
「仕方ないですよ。うちの子はバカなんで…」
僕がこの仕事をしていて一番嫌いな言葉です。これは謙遜なのか本心なのか。
こんな風に思われている愛犬は飼い主さんのことを信用出来ますか?
絶対禁止です!
愛犬から信用され尊敬される為には、「欲求を満たしてあげること」と「矛盾を取り除くこと」が不満から開放してあげる唯一の方法でしょう。
「絶対に禁止!6カ条」
- 絶対に、「おいで」で犬が来た時は叱らない
- 絶対に、イタズラした後でも戻ってきたら必ず笑顔で褒める
- 絶対に、犬を叱る時は必ずその場に出向く
- 絶対に、叱る時は必ず現行犯で
- 絶対に、時間が経ってから叱ってはいけない(2秒以内に叱る)
- 絶対に、感情的に暴力を振るわない
僕はこれを守れず愛犬に見限られた愛犬家を何人も見てきましたから。
更に深い絆を目指して!
いかに愛犬家といえど生活サイクルはそれぞれです。
共働きで時間が無い、一人暮らしで帰りが遅い、愛犬に対して「不憫な思い」をお持ちの方もたくさんおられます。
だから押し付けはしませんが以下の事項を覚えておいて、出来れば実践してほしいのです。
そうすればもし「犬の様子」に異変を感じた時、当てはめて頂ければ自ずと対処法が見つかるはずです。
- 最低限の散歩や体力発散をさせる
- 人間扱いしない、犬として尊重する
- 毅然と指示を出す
- 過干渉はしない
- 可哀想と憐れまない、心配しない
- 犬を心から信用する
要するにあなたが変わるんです
あなたも人間です。
自身のストレスで情緒不安定になったり、言い方が激しくヒステリックになったり、その時の気分で叱ったり叱らなかったりで一貫性がなかったり、パックリーダーとしての威厳を発揮出来なかったりで、やることなすこと上手くいかないと、最悪愛犬から「なんなんだよ!」と思われてしまいます。
こうなってしまえば犬の改善もなかなか困難です。
やはりあなた自身のメンタルトレーニングをする事が出来ない限りあなたの悩みは解決しないのです。
最後に
愛犬との深い絆が刻まれれば、あなたのためならたとえ火の中水の中!仲間想いで忠誠心をどんどん発揮してくれるでしょう。
人と犬の歴史が物語るように、それほど深く意思疎通が出来る素晴らしいパートナーですよね。
楽しい、そして幸せなドッグライフを送るために愛犬家としてあなたは犬の本質を理解し、愛犬が認識できる「犬の目線」で犬を褒めて、そして叱り、愛犬と共に進まなければいけないと僕は思うのです。
どうぞこれからも愛犬との二人五脚を精一杯楽しんで下さい。
ユーザーのコメント
女性 匿名
50代以上 女性 匿名
20代 女性 匿名
考えさせられます。
いたずらした時に「おいで」をして叱るのやってました…。はじめから声低めの怖い顔で「おいで」ですが…。
渋々来るところを見ると、叱られるって分かるのかなー。
ティッシュをくわえて逃げる時、出向くと逃げるのでそうしていたのですが、見直してみます>_<
40代 女性 匿名
と言うのも、警察犬訓練所などでドッグトレーナーをしていた方から私も同じ事を言われ、今の子に躾をして来たからです。
私にとって愛犬は家族同然、息子同然の存在です。
それ程 大切な存在だからこそ、人間と犬では違う所があり、その部分を犬として尊重して育ててあげる事で、穏やかな生活を送らせてあげたいと思うからです。
愛犬を家族のように大切に想う愛犬家さんは多いけれど、余りにも可愛がり過ぎて、この犬の本能や特性を殺してしまっている愛犬家さんの多い事。
愛犬に日々 穏やかで安らぐ空間を与えてあげたいのなら、犬である本能や特性を殺してはいけないですよね。
どんなに可愛いくても犬は犬らしく育ててあげる事も、愛犬に対する最大の愛情だと思っています。
そのドッグトレーナーさんのお陰で我が家の愛犬は、我が家の中での自分の立場が一番 下にあるのを理解しています。
だから、どんな時にも群れのリーダーが守ってくれると言う安心感から変に無駄吠えはしませんし、言う事を聞かなくて困ると言う事もありません。
日々 穏やかに天真爛漫に過ごせています。
大切な家族だからこそ、その子の個性を殺さずに受け入れた上で、その子に合った躾をして行く。
それは人間の子供を育てて行く事でも同じですよね。
女性 匿名
うちの子かわいいでしょ~なんて親バカみたいで親しい人にしか言えませんから。
50代以上 女性 匿名
記事にあることと全く同じことを言われました。だめ飼い主が変わらないといけませんね。
40代 女性 匿名
40代 女性 匿名
20代 男性 宇野直人
全ては飼い主次第ってことです
20代 男性 匿名
犬として尊重する。これは犬と言う生命体を理解してパートナーとして共存していくことだと思います。私の考えを押し付けるつもりはありません。今この記事を読んでいる方は今一度犬とはなんなのか考えてください。