犬が人間の赤ちゃんを守る心理①「守ってあげなくちゃ!」
「小さい=か弱い存在」だと認識する
犬と人間という種族の違いがあるにも関わらず、犬は人間の赤ちゃんを守ろうとするかのような行動を見せることがあります。これは「赤ちゃんが小さいから」というところに理由があります。大型犬であっても、人間は自分よりも大きい存在です。
そんな大きな人間の中に突如として「小さい人」の赤ちゃんが現れた時、犬は赤ちゃんのことを「か弱い存在」であると認識すると言われています。犬は群れを成して生きる習性がありますので、赤ちゃんのことを守ってあげようという母性が芽生えるとも言えます。
周りの人が赤ちゃんを大事に扱っていることを理解する
また、犬は人間の気持ちや場の空気を読み取る能力に長けていますので、周りの人が赤ちゃんを大事に扱っていることを理解するということも、赤ちゃんを守ろうとする理由の1つと言えます。
動物は種を超えた母性を見せる
犬以外の動物にも、違う種の動物の赤ちゃんを育てることがあります。それは生存競争が激しいサバンナであっても起こり得ることで、子どもを失った母ライオンが同じく母を失った草食動物の赤ちゃんにおっぱいを与えていたことも。
本来ならば「食べる側」「食べられる側」というシビアな立場の両者が「母と子」になってしまうこともあるのです。母ライオンはお腹が減っていても、その草食動物の赤ちゃんを食べることはありませんでした。野生の本能の中にある母性がどれほど強いものなのかを感じますね。
犬が人間の赤ちゃんを守る心理②「不思議な匂いだなぁ」
人間の赤ちゃんの匂いについて
産まれたばかりの赤ちゃんは特有の匂いがしますよね。赤ちゃんの匂いは生後6週間程度でなくなってしまうと言われています。この「赤ちゃんの匂い」が何なのかはまだ解明されていませんが、一説によると「羊水の匂い」「胎脂(産まれる時に赤ちゃんの肌を覆っている細胞)の匂い」の可能性があるそうです。
犬にとっては「不思議で気になる匂い」
大人の人間の体臭はその人の健康や個性によってさまざまですが、赤ちゃんの匂いは生後6週間ほどで消えてしまいます。鼻が利く犬にとって、普段めったに嗅ぐことがない「赤ちゃんの匂い」に興味を持って、赤ちゃんのそばにいようとする可能性があります。
フレンドリーで好奇心旺盛なわんちゃんの場合は「不思議な匂い!気になる!クンクン!」と赤ちゃんをチェックしたがる子もいます。一方、わんちゃんによっては赤ちゃんの匂いに怯えてしまったり、拒否感を抱いてしまうこともありますので注意しましょう。
赤ちゃんの匂いの役割り
人間の母親の場合は「赤ちゃんの匂いが脳の一部に影響を与える」ということが2013年に発表された論文の中にあります。この脳の一部とは「報酬系」と呼ばれる部分で、喜びを感じる作用を司る部分です。
論文によると、母親が赤ちゃんの世話をしたり接することを「喜び」と感じるようにできているのではないか、ということでした。このように、赤ちゃんの匂いは人間でも分かる匂いなので、犬にとっては明らかに大人と違う匂いであることが分かるのでしょう。
犬が人間の赤ちゃんを守る心理③「守るのが使命ですから!」
犬には群れを成す習性がある
犬は群れを成して生きる習性を残しています。家族の中に赤ちゃんがやって来ると、突然現れた不思議な存在である赤ちゃんに対して興奮してしまうかもしれません。しかし、しばらく生活を共にしていると赤ちゃんの匂いや存在にも慣れてきて、赤ちゃんのことを「家族の一員」と認識できるようになることが多いです。
犬も赤ちゃんを守ることに使命感を持つ
犬は仕事をするのが好きです。それは、飼い主さんに何かの作業を与えられることやそれをこなして褒められること、そして仕事に対して使命感を持つことに喜びを感じるためです。
犬は赤ちゃんを飼い主さんたちがお世話をしている様子を見て「守るべき存在なんだ」ということを認識し、群れの一員である自分も赤ちゃんを守ることに使命感を持つ場合も多くあります。中には、たとえ飼い主さんであっても赤ちゃんに近付かせないようにしてしまうこともあります。
まとめ
今回は「なぜ犬は赤ちゃんを守ろうとするのか」について解説いたしました。
- か弱い存在だと理解する
- 赤ちゃん特有の匂いに興味深々になる
- 赤ちゃんを守ることに使命感を持つ
この3つの理由から、犬が赤ちゃんのそばにいようとしたり可愛がるような行動を見せたりすると考えられます。私の実家の愛犬も、姪っ子が産まれた際にはピタッと寄り添い、かいがいしくお世話をしようとしていました。犬流の愛情表現は舐めることですので、大事そうに赤ちゃんをベロベロと舐めようとします。感染症など衛生的に気になる場合には、赤ちゃんと愛犬との距離を一定に保つと安心です。
また、咄嗟に犬の歯や爪が赤ちゃんを傷付けてしまう恐れもありますので、飼い主さんの目の届くところで交流させてあげてくださいね。