愛犬がぶりっこになるとき
飼い主さんに怒られた後
「ぶりっこ」というのは、「可愛い仕草をして、相手の興味を自分に惹きつけること」だと思います。また、「ぶりっこ」には、「いい子ぶりっこ」もあります。
何か失敗をして飼い主さんに叱られると、犬はとても心細く、大好きな飼い主さんに「嫌われたかもしれない」と不安になります。そんな不安な気持ちから解消されたくて、飼い主さんが自分に向かって笑顔を向けてくれるようにかわいい仕草をしてみせるのです。
飼い主さんに構ってほしいとき
飼い主さんが自分以外のことばかりに集中していて、全く自分に関心を払ってくれない…と犬が感じたら、飼い主さんの気持ちを自分に向けさせるために、飼い主さんの前で愛らしい仕草をしてみせたり、「賢いね!」と褒めてもらえた経験をしたことがあるのなら、例えば、散歩の後に必ず足を拭く、そのタオルを自分持ってきたりする…と言った行動を見せることがあります。
飼い主さんの気持ちを確かめたいとき
今、飼い主さんがどんな気持ちなのか?自分に対して怒っているのか、自分に無関心なのか、それともなにか心配事があるのか…と、犬が飼い主さんの気持ちを理解出来なくなった時、犬なりにいろいろと飼い主さんの顔色をうかがい、やはり、飼い主さんの笑っている顔を見るために、可愛い表情、可愛い仕草を見せます。
愛犬はぶりっこ犬?飼い主の前でかわりこぶる心理
1.飼い主さんに笑ってほしい!
犬は、人間の感情に共感できる動物であること、人間は感情によって表情が違うことを本能的に知っている動物であることが、海外の研究によって実証されています。笑顔の人間は、明るい感情を持っていて、暗い顔をしている人間は、怒りや悲しみと言ったネガティブな感情を持っている、と犬は理解できるのです。
けれども、人間の感情を理解できたとしても、その感情に共感できなければ、お互いの気持ちを理解し合うことにはなりません。犬は、飼い主さんが笑顔で明るい気持ちでいてくれると、自分もその感情に共感して嬉しいと感じます。
2.飼い主さんの関心を引きたい!
飼い主さんが家事やお仕事などで愛犬に関心が向いていないとき、精神的に成熟した大人の犬ならその状況を察知して、飼い主さんから距離を置きます。
けれども、年齢を重ねても、精神的に天真爛漫な子供のような気質を持っている犬は、自分が飼い主さんをそっちのけで一人遊びに夢中なのは平気でも、飼い主さんが自分以外のモノに関心があって、自分に関心がない状態が我慢できません。
ですから、膝の上に乗ってきて顔を見上げたり、飼い主さんがふだんから「可愛いね~」と言って褒めてくれるような仕草をしてみせたりして、飼い主さんの関心を引こうとします。この感情がエスカレートすると、おもちゃがゴミ箱をひっくり返したり、玄関から靴を部屋の中に持ち込んでしまったりといった問題行動へと移行する場合があります。
3.飼い主さんを独り占めしたい!
多頭飼いや多種飼い(犬と猫、犬とウサギなど)をしていると、動物同士の中で自然と序列が生まれます。先に飼われていたから何事にも優先される場合もありますが、優先される犬の方から「子分がまだ小さいから」「病気で弱っているから」と判断して、自ら優先権を譲っているように感じるときもあります。
けれども、基本的にどんな犬も飼い主さんや家族から愛情をたくさん注がれていて、しっかりと信頼関係ができていれば、飼い主さん家族のことが何よりも大好きです。
ですから、自分だけが可愛がってもらえる状況になったら、犬自身が意識しているかどうかわかりませんが、子犬のように愛らしい表情、愛らしい仕草を見せて、「自分だけ可愛がって!今は、他の子よりも優先して構って!」と飼い主さんに訴えかけます。
4.飼い主さんと遊びたい!
飼い主さんとまったりしたいときもあれば、アクティブに遊びたいときもあります。犬にとって、大好きな飼い主さんを独占し、自分だけが遊んでもらえることほど楽しいことはありません。
一緒に遊ぼう?楽しいよ?と飼い主さんの関心を引きつけ、笑顔を見せてほしいために、可愛い仕草をして、飼い主さんを誘うのです。
まとめ
人間がかわいこぶるのは、何か打算があるにしても、可愛いこぶって見せる相手に好意があるからです。
人間と犬との大きな違いは、犬は、可愛いこぶっていると見えたとしても、その行動には打算はなく、ただただ、飼い主さんが大好きだから、と言うだけで何の打算もありません。そんな純粋無垢なところが、愛しくて何物にも代え難い大切な存在と思える大きな要因でもあります。