猫のトイレハイ
猫を飼っている方にお話を伺うと、この「トイレハイ」は非常によくあることのようで、みなさん始めはびっくりされるそうです。
トイレで用を足した後、ものすごい勢いでまるで脱兎のごとくトイレスペースから駆けだしたり、その後しばらく走り回ったりするパターンもあれば、それこそ狂ったように自分のうんちの上に砂をかけまくったりするパターンもあるようです。
また、すごい音量で鳴き声をあげたりすさまじい勢いで爪とぎをしたり、というパターンも見られます。トイレに行く前に、バタバタと走り回るタイプの子もいるようです。
このようにトイレで用足しをすることで、めちゃめちゃハイテンションになる現象をまとめて、「トイレハイ」と呼ぶのですが、不思議なことに大抵の場合はうんちのときだけで、おしっこのときはハイにならないのです。
猫のトイレハイの原因
天敵から逃げるため?
この「トイレハイ」。いまいち原因がはっきりしないと言われています。
しかし野生時代の名残であるとも考えられており、無防備な排泄の瞬間を素早く終わらせようとしているのだとか、排泄物のにおいに引き寄せられる天敵から素早く逃げるためとか、そういったことではないかとのことです。
これらの説によると、とにかく自分の排泄物から一刻も早く逃げる、隠すという行動のようですが、爪を研いだり泣き叫んだりする理由には、少し弱いような気がします。
そこでもう一つの説をご紹介しましょう。
自律神経の働き?
それが自律神経の働きによるものという説です。
自律神経は興奮・緊張時に優位になる「交感神経」と、リラックス時に優位になる「副交感神経」の二種類があり、これらが交互に働くことで内臓や血管、不随意筋の働きをコントロールし、体内の環境を整えることができます。
二つの神経は、片方が優位に働いているときは片方の働きが抑えられるように調節されています。
排便時は副交感神経が優位になり、肛門付近の筋肉を緩めているのですが、排便が終わるともう片方の交感神経が優位になり、身体が緊張状態・興奮状態になります。
このことから、二つの神経の優位性が急反転した際に、過剰な反応が出ているせいではないかという、そんな説もありました。
結論:本当の原因はわからない
しかしこの説も、「排尿時にトイレハイにならない」理由としては弱く、本当の原因はやはり良く分からないというしかありません。
犬のトイレハイ
トイレハイは犬にもある
上記のように、猫には珍しくない「トイレハイ」ですが、実は犬にもよくあることなのです。
便意を催した際に、しばらく吠えたり走りまわったりするパターンや、泣き叫んでいるような声で騒ぐパターン、排便後に大慌てでトイレから走り出てきたり、そのままあたりを駆け回ったりするパターン、後ろ足でがりがり地面を蹴りまくるパターンなど、猫のそれと全く同じような状態になる子がいるようです。
このトイレハイの原因ですが、現在のところ明確な答えは出ていません。
しかし、おそらく猫の場合と同じような理由なのではないかと思います。
犬は欲求からトイレハイになる?
しかし、犬の場合は猫より「飼い主に褒めてもらいたい」「飼い主にどうにかしてほしい」という欲求が強いようなので、便意による腹痛を訴えていたり、排泄物を早く片付けてほしいという意図だったりもあるようですね。
ちなみにうちの子は、自分のお尻から出た異物に心底びっくりした顔をしながら「何か出た!」と走って報告に来て、人がそれを処理するまでついて歩いてきます。
片付けた後に教えてくれたことをほめると嬉しそうなので、ほめられたいだけかもしれませんね。
「砂かけ行動」はマーキング
また、犬の場合の「砂かけ行動」は猫のように排泄物を隠す行動というより、マーキングの意味合いが強いようです。
指の間から分泌される匂いのもとを、地面や土にこすり付け、まわりに撒き散らす=アピールするという目的からと言われています。
まとめ
犬に限らず、猫のトイレハイもまだまだ原因は良く分かっていません。
明らかにお腹を痛がる素振りがあるなど、体調が悪いようなら動物病院へ相談をするべきですが、体調に変化がないようなら、恒例行事として見守ってみてください。
まれに肛門腺が詰まっていて痛がっている場合もあるので、心配な方は動物病院やトリマーさんに相談してみてくださいね。