犬が粗相をしてしまう理由
犬にとってトイレはデリケートな問題
犬がトイレを失敗して粗相をしてしまう原因にはさまざまなものが考えられます。
トイレのしつけが完了している場合でも、引っ越しや模様替えなどで部屋の雰囲気や家具の配置などが変わることで、混乱してトイレがわからなくなってしまうということもあります。また、精神面が影響しやすいこともあり、分離不安などでは粗相をくり返してしまうことも。
犬はとてもデリケートな面を持っている動物なので飼い主から見ると「そんなことで!?」と思ってしまうような些細なことでも粗相につながってしまうことがあるのです。
注目を集めたい、相手をして欲しい
粗相をしてしまう理由には、飼い主の注目を集めたい、構って欲しいなど気を引こうとしてわざとしてしまうこともあります。
粗相をすることで叱られたとしても、飼い主が自分に注目し、近くに寄ってきてくれたり声をかけてくれたりすることがうれしいと感じる犬はとても多いのです。激しい叱責や暴力などでない限り、犬はどのような形でもかまって欲しい、自分を見て欲しいと考えるのです。
さらに、トイレに失敗する度に叱られている犬は、トイレをすること自体がいけないことだと勘違いしてしまい、飼い主に見えない場所や隠れて粗相をしてしまうことなどもあります。
犬は嫌がらせで粗相をする?
留守番中や叱った後などに犬が粗相をしてしまうことに対して「わざと失敗する」「嫌がらせで粗相をする」と考え、怒ったり悩んだりしている飼い主さんは多いのではないでしょうか?
しかし、自分の行動が相手にどう思われているかなど犬はわかりません。「嫌がらせ」という概念自体があまりないと考えられています。粗相をすることで飼い主からどのような反応が返ってくるかということについては気にしますが、飼い主がどんな気持ちになるかということまでは犬には考えることは出来ないでしょう。
そのため、「飼い主を困らせたい」という嫌がらせとして粗相するのではなく、自分に関心を向けるために「わざと」粗相をすることはあると思います。
監修ドッグトレーナーによる補足
「粗相」とは、不注意から起こす失敗、軽率なあやまち、しくじりなどの意味として人は理解しています。犬がトイレをしてほしくない場所にすれば、後始末などが頭によぎりつい感情的になってしまうことも多いでしょう。
しかし、犬は賢い動物ですが「嫌がらせ」といった「これをしたら飼い主さんは嫌な思いをするかもしれない」という先のことを予測する思考ができません。
意図的だけど悪意のない「わざと」行動するさまを飼い主さんは嫌がらせでは?と感じてしまうのでしょう。
犬がわざと粗相をした時の適切な対応
粗々には反応しない
犬が飼い主の注目を集めるために「わざと」粗相をした場合には、基本的に「無視」をするのが良いとされています。
粗相をされると、「やめてー!」「ダメでしょー!!」などびっくりして大声を出したり騒いでしまいがちですが、犬にとってはその反応こそが「飼い主さんが喜んでくれている」と勘違いしてしまい、また気を引くために粗相をする理由になってしまうのです。 そのため、粗相をしてしまった時は驚きや困った気持ちをぐっと抑えて、犬に対しては無反応を貫き無言で淡々と片付けをするこれが基本です。
監修ドッグトレーナーによる補足
恐怖や不安などのストレスで飼い主さんにかまってほしくてわざと粗相をする子に対しては、無視して何ごともないかのようにしれっと片付けるのは有効です。
繰り返すうちに「粗相をしてもいいことないや」と犬が理解するようになりますが、すぐに粗相が改善するわけではありません。また、マーキングや病気など他の理由で粗相をしている場合は有効ではありません。
何事もなかったかのようにする
犬に声をかけたり目を合わせたりせず、出来れば小言やため息もつかずに冷静に片付けを行い、その後も何もなかったように対応するようにしましょう。
飼い主にかまって欲しいという理由でわざと粗相をする場合は、これをくり返しているうちに粗相をする意味がないことに気が付き、粗相をしなくなっていくでしょう。
精神面を安定させる
留守番中などの不安やさみしさから粗相をしてしまったり、コミュニケーション不足などが原因の場合は、精神面を安定させるということも有効です。
留守番はなるべく短時間にする、一緒にいるときは遊びの時間を増やしたり、たくさんスキンシップをとることで、犬の気持ちを満たしてあげることも大切です。
監修ドッグトレーナーによる補足
犬とのスキンシップやコミュニケーションは、植物に光や水を与えるのと同じように必要なものです。
おもちゃで遊んだり、楽しくおすわりなどのしつけをする、話しかけながら撫でるだけでも良いです。愛犬と過ごす時間をできる範囲で増やしてあげましょう。
<まとめ>犬の嫌がらせによる粗相はあまりない
留守番中などに粗相をくり返す犬は、決して飼い主を困らせたいという嫌がらせの気持ちでいるわけではありません。ただし、飼い主にかまって欲しい気持ちなどから、わざと粗相をして飼い主の反応を見ていることもあるでしょう。
犬が粗相をくり返すと困ってしまいますし、ついため息をついたり、怒ってしまいたくなると思います。しかし、わざと粗相をする犬にとっては飼い主のその反応すらうれしいと感じてしまい、余計に粗相をくり返してしまうことにもなります。
愛犬がなぜ粗相をするのかをよく観察し、感情で怒ったり怒鳴ったりせずに冷静に対応するように心がけましょう。