犬の飼い主が変わる理由
犬の飼い主が変わる理由として最も多いのは、飼い主による飼育放棄です。動物愛護センターや保健所などに飼い主自身が持ち込んだり、動物保護のボランティア団体に依頼したり方法はさまざまですが飼い主が捨て、その後譲渡が決まること新しい飼い主の元へ行くこととなります。飼い主が愛犬を手放す理由には、引っ越しや飼い主の入院、犬の問題行動などが挙げられますがそのどれもが犬にとっては理不尽であると言えます。
犬は以前の飼い主を覚えているのか?
理不尽な理由で捨てられ、突然飼い主が変わることを犬はどのように感じ、受け入れていくのでしょうか。元の飼い主なりに捨てる理由があったとしても、犬にとってはなぜ捨てられたのかということはもちろん捨てられたという事実自体を理解できないでしょう。
犬が以前の飼い主のことを覚えているかということについては「記憶には残っているが思い出すことがあるかどうかはわからない」と考えられています。犬は短期記憶が苦手で数秒前に起こったことも忘れてしまうことがありますが、飼い主に関する長期記憶は残ります。会えばにおいや声色などですぐに思い出すでしょうしそれは何年も持続するとされていますが、「会いたいな」などと感傷に浸って思い出すようなことはあまりないと考えられています。
とは言え、飼い主が変わった直後はとても悲しく、寂しい思いをして傷つくことは確か。飼い主が変わることはできることなら犬の一生の中で起きるべきではないことです。
新しい飼い主がするべきこと
むやみに甘やかさない
何らかの理由で飼育放棄された犬を引き受ける場合、新しい飼い主はどのように関わっていけば悩むこともあると思います。犬が寂しい思い、悲しい思いをしていたとしてもするべきことは普通に犬を飼い始める時と大きく変わらないと思います。大切なのは犬の様子をしっかりと観察して、必要なしつけをし、たっぷりの愛情と時間をかけて信頼関係を築いていくことです。「かわいそうな犬」などと思ってむやみやたらと甘やかすことなく、大きな優しさと適度な厳しさを持って接するようにしてあげてください。
犬のペースに合わせる
ただし、暴力などの虐待を受けてトラウマを抱えている犬の場合は特にゆっくりじっくり付き合っていく必要があります。トラウマを刺激するようなしつけなどを無理強いすることなく、犬が自発的に行動しようとするのを気長に待って犬のペースに合わせてあげることが大切です。
飼い主が変わった後の犬の心理はわからない
こんなことを言ってしまうと元も子もありませんが、飼い主が変わったことに対する犬の心理や過去を思い出すことがあるかなどについては分かりません。現在では犬の記憶に関するさまざまな研究が行われているため、犬の記憶力などからある程度その心理を推測することもできますが、人間のように言葉で確認が取れない以上正確なところは分からないのです。
しかし、これまで一緒に過ごしてきた飼い主がいなくなることで少なくとも一時的にショックを受けたり寂しい思いをすることは確かですし、それを長く引きずってしまう犬がいることもあるでしょう。新しい飼い主にすぐなつく犬もいれば、全く受け入れようとしない犬もいると思います。つまりは飼い主が変わり新しい環境で生きていくことは、犬によってそれぞれ受け止め方がことなるということです。そのため対応方法も一辺倒ではなく、その犬の性格や気持ちに寄り添いながら考えていく必要があります。ですが確実に守らなければならないのが、もう二度と飼い主が変わることがないようにすること。もしあなたが“新しい飼い主”になったのであれば、犬が安心して甘えることができる飼い主になれるようじっくりと時間をかけて関係を築き、生涯愛し続けてあげてくださいね。