犬には「飽きる」という感情はあるのか?3つのシチュエーションとその心理

犬には「飽きる」という感情はあるのか?3つのシチュエーションとその心理

人間は同じ環境や変化のない毎日が続くと、「飽きる」という感情が湧き上がり、刺激を求めたがる生物ですね。犬にも「飽きる」という感覚があるのでしょうか?ここで3つのシチュエーションを挙げて、犬の心理について解説して行きましょう。

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犬は毎日同じ餌だと飽きる?

食欲のない犬

犬は食べ物の味を感じる「味蕾」(みらい)という器官が人間のおよそ5分の1しかないといわれています。犬の味蕾には「甘み」「苦味」「酸味」「塩味」4つの味覚を感知できますが、人間が感じることができる「旨味」については感知できないといわれています。

つまり犬は人間のように味にうるさいグルメではないということになります。
したがって毎日同じドッグフードを食べていても飽きる、という人間と同じような感覚は犬にはないのです。

逆に、器官の中で最も優れた嗅覚で食べ物の匂いを嗅ぎ取ります。ドライフードよりウェットフードを好む犬は、開封直後の新鮮な匂いが犬にとっては魅力的で食欲をそそります。

匂いの強いフードで食欲を増進させる

梅雨から暑い夏の季節にかけて、愛犬の食欲が落ちるような場合には、匂いの強いフードで食欲を増進させることも一つの方法です。

高級フードや味の濃いものに変えるのではなく、いつもと異なる匂いのフードで犬に刺激を与えてみてはいかがでしょう。

犬は同じおもちゃに飽きる?

オモチャに囲まれる犬

犬は遊ぶことが大好きですよね!犬に与えるオモチャは、人間が犬を楽しませるためのツールの1つでもあります。

しかし新しいオモチャを買い与えても、はじめのうちは興味を示して遊びますが、1時間もすると放置・・・。2~3日経つと見向きもしないということはありませんか?

犬の知能は人間に例えると2歳~3歳児レベルだといわれています。研究者や心理学者たちによると、新しいモノに対する犬の好みの移り変わりは新生児のような「neophilia」(※新しいものを好む性質)と呼ばれる形質であることを明らかにしました。

犬は新しいモノ好き?浮気性なのか?

2008年、ドイツと英国大学の研究者たちは、17匹の犬に2種のオモチャを与え、犬が“オモチャ遊び”に興味があるかどうかの実験を行いました。

その後、3種目の新しいオモチャを与えました。これはすでに遊んでいた2種のオモチャと全く同じオモチャでした。

すでに遊び慣れた2つのオモチャと新しいオモチャを3種与えた結果、50回の実験のうち38回は犬が新しいオモチャに興味を示したのです。
はじめのうちは匂いを嗅ぎ、咥えるなどして、犬が新しいオモチャに興味を示すことが分かりました。

オモチャで遊ぶ時間はたったの2分半・・・

オモチャを持つラブラドールレトリーバー

さらにもう一つ興味深い実験報告があります。
研究者たちは、16匹の成犬ラブラドールレトリーバーに様々なオモチャを与えました。犬に30秒間ずつ1つのオモチャを与えては回収し、再び犬に与えるという実験です。
犬がオモチャに興味を示さなくなるまで何度も繰り返しました。

色や匂いの異なるさまざまなオモチャを与え繰り返したところ、犬がオモチャで遊んだのはちょうど2分半でした。

心理学教授のスタンレー・コレン氏は、
「犬が視覚、聴覚、感覚、オモチャの匂いに完全に慣れてくると退屈になるようだ」と述べています。

古いオモチャを新しいモノにする

ロープで遊ぶ犬

2つの研究から、犬に古いオモチャに興味をそそるための方法が提示されています。

1.オモチャをローテーションする

犬に1~2個オモチャを与え、散らばっているオモチャを残さず犬に見えない場所に片づけ、いったん忘れさせます。

その後、定期的にオモチャを交換します。これを繰り返すことで、犬は古いオモチャを忘れ、再び与えた時には再び興味を示すことができるといいます。

2.オモチャのニオイを変える

オモチャを草や芝生、土などにこすりつけ、ニオイを変えます。新しいニオイにすることで、犬の興味をそそります。

3.オモチャで飼い主も一緒に遊ぶ

犬は飼い主さんと遊ぶことが大好きです。飼い主さんと遊べるなら、たとえ古いおもちゃでも楽しく遊ぶことができます。
いっしょにオモチャで遊びながらたくさんコミュニケーションを取りましょう。

犬は同じルートのお散歩に飽きる?

草の匂いを嗅ぐ犬

おそらく人間側の都合で、毎日同じ道を散歩させるということはまずないかとは思いますが、考えたことはありませんか?毎日同じルートで散歩すると犬は飽きるのでしょうか?

人間は同じ道や同じ景色に“飽きる”という感覚を持ちやすく、例えば駅に向かうルートを「今日はこっちの道を歩いてみよう」などと考えませんか?

しかし、犬は嗅覚や聴覚が敏感です。私たちが毎日同じ道を歩くことに刺激を感じなくなったとしても、犬にとっては新しい匂い、出会う犬、人々、天気の変化などで常に新鮮な気分を味わうことができるのです。

犬の視力は夕暮れや早朝が最も冴える

犬の視力が弱いことをご存知ですか?犬の視力は人間に例えると0.3~0.5程度。犬種によっては遠くの獲物を追う習性があり遠視傾向にあるといいます。

ですが、犬の低照度による視力は人間の視力よりはるかに優れ、夕暮れや夜明け頃が最も視力が冴えるといわれています。

天気が良い日の早朝の散歩は犬にとって一番エネルギーが漲る時間です。同じルートであっても毎日の天気、気温、湿度、空気の変化は異なります。さらに鳥の羽音やさえずり、草花の朝露の香りや他の犬のオシッコの匂いなど、犬にとって興味を注ぐ材料は豊富にあるのです。

したがって犬が毎日同じルートで散歩をしたとしても、人間のように飽きるという心配は皆無なのです。

最後に

退屈そうな犬

犬は優れた嗅覚や聴覚で環境の変化や情報を敏感にキャッチします。新鮮な材料が豊富にあるため、飽き足らないという結論に達するのではないでしょうか。

唯一犬には「退屈」という感情はあるようです。その一つがneophiliaと呼ばれる新しいオモチャを好むような形質。

オモチャに対する興味だけは、人間に比べて薄れる時間が早すぎますよね。しかしオモチャをローテーションすることで、再び興味をそそることができること。この実験は個人的に興味をそそられました。

梅雨の季節はお散歩の時間や運動量が制限されることで、愛犬の食欲が減少したり、オモチャに反応せずに爆睡するなど、退屈や憂鬱な気分から上記の3つのシチュエーションで「飽きたのかな?」などと感じることがあるかもしれません。

梅雨の晴れ間の早朝に、いつものルートでお散歩に行ってみてはいかがでしょうか?新鮮な空気を思い切り吸って犬になった気分を味わえるかもしれません。

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