犬も夢を見る〜もちろん悪夢も〜
犬と暮らしている人なら「犬も夢を見る」と言われると「知ってるよ、当たり前じゃない?」と思われますよね。
眠っている犬は寝言でキャンキャン吠えたり唸ったりすることもありますし、夢の中で走っているのか一生懸命足を動かす姿も見られます。
けれど、その寝言や動く様子がうなされているように見えたら?もしかして怖い夢を見て嫌な思いをしている?そう思うと、見ている方も心配になるし、なんとかしてあげたくなるのが人情です。
犬が夢を見るというのは、もちろん悪夢と呼ばれるものも含みます。そんな時にどうすればいいかをご紹介します。
犬の夢は体験に基づく
犬も含めて動物が夢を見ることは十数年前すでにマサチューセッツ工科大学の研究で証明されています。
犬の睡眠は人間と同じようにレム睡眠とノンレム睡眠の2つの階層があり、夢を見ているのはレム睡眠の時です。レム睡眠の時間は起きている間に経験した出来事を脳が処理している時間でもあります。
ですから、犬が見る夢はボールを追いかけるものだったり、飼い主さんと散歩をするなど日常的な生活に近いものだと考えられます。
悪夢の場合は、たとえばお風呂嫌いの犬がシャンプーをされた経験、大きな音を怖がる犬が花火や雷を聞いた経験などに基づくと考えられます。
犬が悪夢にうなされている時、どうすればいい?
睡眠中の愛犬が怖がっている様子やうなされているのを見るのは辛いものです。けれどもまずは落ち着いて、黙って犬の様子を観察しましょう。たいていの場合は1〜2分もすれば犬も落ち着いて安らかな眠りに戻ります。
悪夢を見ている犬に顔を近づけて手で揺り起こすことはやめましょう。起こされた時に寝ぼけていて、夢と区別のつかない状態で軽いパニックになった犬が噛みついてしまう事例はよくあります。
少し待ってもうなされている状態が続く時には犬を目覚めさせても良いのですが、その時には犬に触らず、優しく名前を呼びかけて声のみで起こすようにします。落ち着いた柔らかい音楽を小さい音で流すのも良い方法です。犬が目を覚まさなくても、名前を呼ばれたり音楽が聞こえることで、悪夢から離れて安らかな眠りに戻ることもあります。その時にはそのまま寝かせてあげましょう。
犬が頻繁にうなされている場合は?
犬が睡眠中にあまりにも頻繁にうなされるという場合は、獣医師に相談して身体に異常がないかどうかを確認します。うなされていると思っていたら、てんかんの症状だったという場合もあります。犬がうなされている時の様子を動画に撮って、獣医さんに見せるのは良い方法です。
身体に異常がないことが確認できた場合には、犬が怖がっていることを克服することで悪夢の回数が減る場合もあります。お風呂嫌いの場合はシャンプーの方法を根本的に見直してみる、大きな音が怖い犬は、家の中に音の届かない安心できる狭い隠れ場所を作ってやる、などです。
場合によっては動物行動学の知識のあるドッグトレーナーなどに相談してみましょう。
保護犬の場合は新しい家に迎えられて数日は、過去の嫌な体験から悪夢を見る犬が多いそうです。けれども新しい環境で楽しい経験が増えるにしたがって、悪夢を見ている様子は消えていくことがほとんどです。
犬の夢は実際の経験に基づくということを考えると、嫌な経験を上回る楽しい経験をたくさんさせてあげることが大切だとわかりますね。
まとめ
犬も悪夢を見ること、悪夢にうなされている犬はどうすればよいかをご紹介しました。
犬は人間と違ってテレビや本から得た疑似体験から想像力を膨らませたりはしません。ですから犬の夢はすべてが実際に経験したことが元になっています。
たまに嫌な夢を見てしまうのは仕方のないことですが、身体は健康なのにうなされるような様子がしょっちゅう起こる場合には、犬が怖がっていることを根本的に克服する方法を考えたり、嫌な経験をすべて上書きするような楽しい経験をたくさんさせてあげることが大切ですね。
《参考》
http://news.mit.edu/2001/dreaming
https://www.livescience.com/53743-dog-dreams.html