そもそも犬に嫉妬心を持つのか?
大好きな飼い主が他の犬を可愛がった時、その飼い犬は他の犬に対して嫉妬をするのか?その答えは「YES」であり、犬を飼っている人の多くは経験などからそのことをを知っているでしょう。犬の嫉妬感情については感覚的なものだけではなく、専門家による研究や論文での発表が行われ証明されているものなのです。嫉妬という複雑な感情とそれに伴う行動は、人間特有のものだと考えられていましたが2014年に犬の嫉妬と対象への攻撃行動、自分に注目をあつめる行動などが認められたという研究発表が行われ新たな動物行動学の見解として話題となりました。
研究で飼い主に愛犬を無視して「犬のぬいぐるみ」「音声付きの飛び出す絵本」「プラスティック製のハロウィンカボチャ」を可愛がる行動を取らせたところ、「犬のぬいぐるみ」に対しては80%、「音声付きの飛び出す絵本」に対しては22%、「プラスティック製のハロウィンカボチャ」に対しては42%、対象への攻撃や邪魔をする行動などが見られたそうです。ただし人間のようにいつまでもその感情を引きずったり憎悪に変化するようなことがあるかということまではまだ分かっていないようです。
犬が嫉妬した時する行動
犬の嫉妬に関する研究では犬のぬいぐるみなどが対象となっていましたが、実際に犬を飼っていると他の犬や赤ちゃんなどを可愛がった時に愛犬の嫉妬心を実感することがあると思います。自分の存在の脅威になりそうなものに対して嫉妬心を見せるため、可愛がる対象であるぬいぐるみや他の犬、小さな赤ちゃんなどが犬にとっての嫉妬の対象となりやすいのだと考えられます。
そういったものに対して嫉妬した時、犬は性格や環境に応じてさまざまな行動を取ります。特に多いのが対象に対して吠えたり唸ったり噛んだりして攻撃性を見せること。また飼い主の注目を自分に寄せるために飼い主に飛びついたり高い声で吠えたりおもちゃを押し付けてきたりするというもの。それ以外には飼い主と嫉妬の対象を引き離すために間に割って入ったり、いたずらをして飼い主を自分の方に引き寄せたりすることがあります。ほかにもイライラをぶつけるようにおもちゃや家具を噛んでボロボロにする、飼い主の指示に従わない、あえて見ないふりをすることなどもあるようです。
愛犬が他の犬に嫉妬している時に取るべき対応
他の犬を可愛がっている時などに愛犬が嫉妬していると感じた時、嫉妬から来る行動を起こしている時には冷静に対応することが大切です。
例えば他の犬を抱っこしている時に嫉妬から吠えたり、飛びついて間に入ろうとしてきた時は抱っこしている犬を静かに下ろし、愛犬には優しい視線を送ったり軽く頭をなでる程度の行動に留めてください。愛犬が嫉妬心を見せた時にその様子をおもしろがってわざとそれを煽るように見せつけるような行動を取るのは厳禁です!余計に嫉妬心が高まり、飼い主や対象を強く攻撃してしまうことなどがあるので絶対にやめましょう。また、嫉妬心から見せる行動の直後に大げさになでたり可愛がったりすることもあまりよくありません。そうすることで嫉妬による行動が強化されてしまう可能性があり、対象に対する嫉妬心もより強いものになってしまうことがあるのでできるだけ自然な振る舞いで対応するようにしましょう。
まとめ
犬の嫉妬についてはそれぞれの気質や家庭環境などによって本当にさまざまで、「嫉妬心など一度も感じたことがない」という飼い主もいれば「多頭飼いで他の犬を触るだけで怒り狂うので困っている」という飼い主も。
嫉妬から見せる行動は時に飼い主にとって健気で愛らしく見えることがあるかもしれません。しかしそうした時犬にとっては少なからずストレスがかかっており、その時の対処法によっては飼い主に不満や不信感を持つこともあるのです。犬も私たちと同じような感情を持つ生き物であることをきちんと認識して、気持ちを無視したり踏みにじることなくしっかりと尊重することで愛犬との信頼関係や絆を深めていきましょう。