嫉妬心が強い犬の心理

嫉妬心が強い犬の心理

愛犬との暮らしの中で、強いジェラシーを感じたことがありませんか?赤ちゃんや自分以外の家族、来客、他のペット、おもちゃやぬいぐるみがターゲットにされることもあり得ます。今回は、犬が嫉妬する心理について解説して行きましょう。

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犬にも嫉妬や羨望がある

2頭の白い犬

野生の群れの中で生きるための本能

犬の飼い主さんであれば、一度は経験があるのではないでしょうか?

  • 他の犬と遊んでいる時、愛犬の熱い視線を感じる
  • 新しい犬を迎えてから先住犬の性格が変わる
  • 後住犬が先住犬にやきもちを焼く

嫉妬心は人間特有の感情だと考えられていましたが、近年になり生物心理学者たちが犬の行動心理に関する研究を重ねた結果、犬が嫉妬心を抱くことが明らかになっています。

犬の嫉妬は、野生の群れの中で共存するリーダー的存在と食糧を得るための生存本能が起因すると言われています。

嫉妬は人間だけの感情ではない?

独占欲が強い犬種や、個体の性格によって、時に嫉妬心を剥き出しにする愛犬の本能を垣間見る場面があるかと思います。

人間に最も近い霊長類には、嫉妬と羨望の感情が存在することが明らかになっていますが、ダーウィンをはじめとした生物学者たちの間では、「犬のような動物には嫉妬がない」との議論が交わされていました。
しかし、近年になり嫉妬が人間以外の種、「特に犬に存在する」と論じています。

人間に対し嫉妬心を表す犬の症例によると、自分と他者(ライバル)との三角関係に関与していることが飼い主の間で共通しています。

例えば、飼い主が他の人間や動物に愛情を向けた時・・・犬は飼い主に対し、またはライバルに対して威嚇したり、逆にキャンキャンとか弱い声で鳴くなど、犬の嫉妬に関する研究報告では、不安と怒りが関与すると考えられています。

犬の嫉妬に関する症例は数多く報告されていますが、実際に嫉妬の行動指数を示す実験的証拠は存在していないということです。

母犬が仔犬を育児放棄・・・それって嫉妬かも?

母犬と仔犬

母犬は自分の産んだ子どもに対し、生涯愛情を注ぐことはありません。仔犬が競争社会で生き残るために、母親としての愛情は無くなるのです。

ここで母犬VS仔犬VS人間との複雑な三角関係において、飼い主が母犬の嫉妬を観察したケースをご紹介しましょう。

自宅で出産した雌犬が、自分が生んだ仔犬に嫉妬する場面です。
幼い仔犬は何かと手がかかるため、人間にもてはやされるのは仕方がないというか当然ですが。
しかし母犬は、飼い主の愛情が自分から仔犬に向いていることを察し、メラメラと嫉妬心が湧くのです。

母犬としての愛情は消え失せているので、例え自分が生んだ仔犬であろうが、飼い主との間に割り込もうとする存在はライバルなのです。

こんな時、母犬が仔犬を育児放棄したり、飼い主に攻撃的になるかもしれません。

自宅で出産させ、仔犬を育てる場合は、母犬は特にナーバスになっているため注意が必要です。

犬の嫉妬は人間ほど複雑ではない

ウィーン大学の博士・Friederike Range氏による実験報告があります。
2頭の犬を横並びに配置し、それぞれに「お手」を教え、1頭の犬だけご褒美をあげました。
ご褒美をあげない片方の犬は、人間の命令に従うことを辞めました。

これは犬がライバルに対する嫉妬や羨望の感情が湧き、ライバルがご褒美をもらった時のストレスや煩わしさから来る衝動的な行為です。

この研究から明らかになったことは、犬の嫉妬が人間ほど複雑ではないという結論でした。

人間が競争社会に於いて、自分が努力して出した成果に対する報酬を得たいと願うのは当然であり、ライバルの存在がいることでモチベーションが上がったり、報酬を得るために目標を掲げたりします。

例えば、自分とライバルが同等の成果を上げたとします。しかし、一人は栄転したにも関わらず、一人は明らかに左遷されたとします。

こんな状況下では、左遷させられた人間が、栄転した人間に嫉妬と羨望を感じることは人間の感情として当然かもしれません。

これを犬に置き換えてみましょう。2頭の犬は、人間からご褒美をもらうために命令に従うとします。

片方の犬はソーセージをご褒美にもらい、もう1頭はパンの耳・・・。
しかし両者の犬にとって、ご褒美をもらうということには変わりなく、2頭の犬は人間の命令に従い続け、満足できるのです。

犬の嫉妬は「構って欲しい」のサイン

犬と男性

犬は飼い主の関心がちょっとでも余所へ移ると、表情や態度で嫉妬心を表すことは犬の飼い主さんならお分かりでしょう。

近年になり新たに発表された論文によれば、犬の嫉妬は、「構って欲しい」という行動心理を発達させた可能性があるといいます。

カリフォルニア大学の心理学者・Christine Harris氏が主導した研究報告によると、36頭の犬を対象に、それぞれの飼い主の家で実験を行いました。
この実験は、生後6ヶ月の人間の赤ちゃんを対象とした嫉妬の実験方法を応用したものです。

飼い主が

  • 犬を無視している時
  • 本物そっくりの犬のぬいぐるみで遊んでいる時
  • カボチャ型のバケツで遊んでいる時
  • 絵本を大きな声で読んでいる時

など、犬の反応をビデオ撮影しました。

実験で明らかになったことは、犬がライバルを見定め、懸命になって飼い主とライバルの関係を断とうとすることが明らかになったといいます。
さらに36頭のうち86%が、犬そっくりなぬいぐるみを本物とみなし威嚇したと推測しました。

犬は自分と飼い主の関係を邪魔する存在を敵対視し、排除しようとする本能的衝動が嫉妬として現れるのです。

最後に

男女と犬

犬は自分を支配する者だけを愛し、一生を捧げます。
愛する飼い主さんの言うことを聞き、ご褒美をもらうことに満足します。
犬は賢く忠実で、ペットというより人間社会において必要不可欠なパートナー。

元々野生だった犬が、長い歳月を経て、犬と人間の共存化によって飼育化される中で嫉妬という能力が養われたのかもしれません。

飼い主として犬の動物的本能と愛犬の心理を理解してあげましょう。
犬の嫉妬を感じた時は、ギュッと抱きしめてあげてくださいね。

《参考資料》
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0094597
https://www.psychologytoday.com/us/blog/canine-corner/201111/do-dogs-feel-jealousy-and-envy
https://www.today.com/style/pet-peeves-dogs-really-do-get-jealous-scientists-say-1D79959175
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0094597
https://www.vetmeduni.ac.at/en/messerli/science/cognition/staff/staff/friederike-range/
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/9516/

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