なんか臭い!?夏場に愛犬から悪臭がする3つの原因【獣医師監修】
2017年12月15日更新
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記事の監修
- 獣医師
- 木下 明紀子
- ( 獣医師)
東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。
暑くなってくると、愛犬から気になるニオイが...そんなことはありませんか?このニオイの原因には幾つかのことが考えられます。ニオイの原因を正しく知って、きちんと対策しニオイを撃退しちゃいましょう!
ニオイの原因その1...犬も汗をかく
一般的に「犬は汗をかかない」といわれていますが、実はこれはある意味間違い。
汗腺には犬にも人間にもエクリン腺とアポクリン腺という2種類の腺があり、暑い時に人間がかく汗はエクリン腺からの汗。犬はこのエクリン腺を肉球にしか持っていないのですが、犬はアポクリン腺という種類の腺汗を全身に持っています。このアポクリン腺からの汗がニオイの原因になります。
アポクリン腺とは?
アポクリン腺とは、人間でいうと脇下などにあります。要は、人間でもニオイが気になるところ...特に夏場はケアを欠かすことができない箇所にあります。犬が全身に持っているこのアポクリン腺からの分泌物はフェロモン的な役割を果たしていて、犬同士のコミュニケーションなどに欠かすことができないものになっています。
エクリン腺からの汗はほとんど水分なのに対して、アポクリン腺からの汗には脂質やたんぱく質が含まれます。この脂質やたんぱく質、またこれらが皮膚にいる細菌によって分解されたり酸化されたりした物質がニオイの原因となってしまうのです。
また、アポクリン腺からの汗だけではなく、皮脂腺からの脂も同じくニオイの原因となります。
抜け毛は取り除きましょう
上記のような理由から、抜けた毛がとどまって蒸れやすくなっているとアポクリン腺から排出される汗によるニオイが強くなってしまうことがあります。短毛、長毛にかかわらず定期的なブラッシングで抜け毛を取り除き、皮膚を清潔に、通気性良く保ちましょう。アンダーコートを持つダブルコートの犬では特に気を付けましょう。
濡れタオルとシャンプーで清潔に!
毎日のブラッシングの後、固く絞った濡れタオルや犬用に売られているボディタオルで被毛や皮膚を拭いてあげるようにします。これで日々の汚れを直接取り除くことができます。また定期的なシャンプーで皮膚と被毛を清潔に保ちましょう。シャンプーの適切な頻度は、肌の状態と使うシャンプー剤によっても異なります。シャンプーのし過ぎや合わないシャンプー剤を使って皮膚が乾燥してしまうと痒みの原因になることもありますので、シャンプーの頻度とどんなシャンプー剤を使えばいいのか分からなかったら、かかりつけの獣医師に聞いてみましょう。
ニオイの原因その2...部屋にニオイが染み付いている
人間同様、犬も室内で生活しているとそのニオイが染み付いてしまうもの。犬が生活しているケージ類やトイレ周りなどをきれいにしても、まだニオイが残ってる...そんな時には、こんな箇所を洗ってみてはいかがでしょうか?
カーテンなどの布製品
室内のカーテンには、意外とニオイや汚れが染み込みやすいもの。優しく手洗いすれば家庭でも洗濯できるものも多いので、一度さっぱり洗ってみると良いかもしれません。その他、普段室内で使用している布製品で水洗い可能なものがあれば、洗ってみることをおすすめします。
床や壁を水拭きする
フローリングの床や壁なども、実はニオイが染み付きやすいもの。掃除機などでホコリを取るだけではなく、固く絞った雑巾でしっかりと拭き掃除をするとニオイが軽減することが多々あります。専用の洗剤を使用するのも良いですが、室内に犬がいる場合には犬が舐めても大丈夫なものを使うようにしてくださいね。
空気清浄機などを使う
最近ではいろいろな機能がついた空気清浄機が市販されています。ペット臭に特化されたものもありますので、こういったものを使うのも良いでしょう。
ニオイの原因その3...病気の可能性
実は犬のニオイの原因が病気だった、ということも多々あります。この場合には「どこから」「いつから」ニオイがするのかが重要なポイントになってきます。日々犬の様子を丁寧に観察し、気になる箇所がある場合には早めに動物病院で診察を受けるなど症状が進行する前に対処してあげるようにしましょう。
- お尻が臭う場合...消化器系、肛門、肛門腺に関する病気
- 耳が臭う場合...外耳炎、ミミダニの感染など
- 口の中が臭う場合...歯周病、口腔腫瘍、口内炎など
- 全身が臭う場合...脂漏症などの皮膚疾患
まとめ
飼い主さんのお手入れ次第で、犬から漂ってしまうニオイを軽減させることができます。ただ臭い!と言われてしまっては、犬も悲しい気持ちになってしまうかもしれません...そうなる前にきちんとお手入れをして、ニオイの軽減につとめましょう!