犬の臭いの原因
体臭
犬の臭いの原因として真っ先に考えられるのは、体から出る体臭です。犬には足の裏にある「エクリン腺」と、全身にある「アポクリン腺」という2種類の汗腺が存在しています。犬特有の臭いの原因は、アポクリン腺が影響しています。
人間のアポクリン腺はわきの下など一部にしかありませんが、犬は全身に分布しています。ここから分泌される汗には皮脂やたんぱく質が多めに含まれており、そこへ常在菌が混ざったり酸化したりすることで犬の体臭が強くなります。また、犬が死ぬ前には独特の体臭がするとも言われています。
皮膚
犬は個体や犬種によって臭い方に差がありますが、ブルドッグやパグように顔や体のしわが多い犬種はしわの隙間によだれや汚れが溜まりやすくなります。そうすると皮膚に雑菌が繁殖して炎症を起こし、臭いが発生しやすくなります。
とくに皮膚が脂っぽい犬は臭いが発生しやすく、皮膚の表面積の大きい大型犬や皮膚の脂分がもともと多いシーズーなどの犬種は「脂漏性湿疹」という皮膚病にかかりやすく臭いも強くなります。
被毛
トイプードルやシーズーといったシングルコートの犬種よりも、ポメラニアンやゴールデンレトリバーといったダブルコートの犬種の方が体臭は強くなります。被毛が厚く通気性が悪いことが原因で、臭いがこもりやすくなります。さらに通気性の悪さから、分泌された皮脂が酸化しやすく体臭が強くなる傾向があります。
口臭
犬の口臭の原因は、歯垢や歯石が溜まっているケースがほとんどです。歯周病を起こしている場合も強い口臭があります。人間に比べ犬の歯石は溜まりやすく、3~5日くらいで歯石化してしまいます。歯石が溜まると雑菌が繁殖しやすくなるため口臭が発生します。
多少の臭いであれば心配することはありませんが、異常に強い臭いがした場合には糖尿病や胃炎、腎臓病といった病気が原因となっていることがあるので注意が必要です。犬の口臭が気になった場合、まずは犬の歯をタオルなどで擦って臭いを確認しましょう。タオルから臭いがしないときは歯石ではなく、体の中に臭いの原因がある可能性があります。
耳や目元
犬の外耳道には、「耳垢線(じこうせん)」という皮脂腺があります。皮脂分泌にトラブルがなければ犬の耳から臭いが発生することはありません。何らかの原因で皮脂分泌が過剰になると、細菌が繁殖し臭いの原因となります。
トイプードルやダックスフンドといった垂れ耳の犬は、湿気がこもりやすく耳の臭いが発生しやすい犬種です。蒸れによる多少の臭いは自然なことですが、いつもより耳垢がひどいような場合には外耳炎などの病気が原因となっていることがあります。
また、本来は無臭である涙やけ(涙腺症)が臭っている場合、目の周りに雑菌が繁殖していることが考えられます。臭いだけでなく涙や目やにが多い場合には、結膜炎や角膜炎といった目の病気を疑いましょう。
肛門腺
犬の肛門周辺には、肛門腺(肛門嚢)という臭腺があります。肛門腺は袋状になっており、中にはアポクリン腺と皮脂腺からの分泌物が溜まるようになっています。ほとんどの犬は排泄ともに自力で排出することができますが、子犬や小型犬、老犬の場合は難しくなります。
溜まりすぎた分泌物を放って置くと、強い臭いが外に漏れ出したり絨毯などに分泌液がついたりと家中が臭くなる原因となるため気をつけましょう。
犬の臭いに効果的な6つの対策
1. シャンプー
犬の体の皮脂汚れを落とし、清潔に保つことにより臭いを減らすことができます。シャンプーは皮膚への負担が少ない低刺激のものを使い、成犬であれば月に1~2回程度を目安に定期的に洗ってあげましょう。ただし、毛足の長い被毛を持つ犬種では月に2回までなど、その犬の運動量や被毛の状態によって回数やタイミングは変わります。
また刺激の強いものや洗いすぎは、皮膚のバリア機能までも洗い落としてしまう原因となります。その結果、皮脂分泌が過剰になり反対に臭いが強くなってしまうので気をつけましょう。シャンプーの後は、雑菌が繁殖しないようしっかりと乾かすことが大切です。
2. ブラッシング
ブラッシングはシャンプーとは異なり、犬の毎日のケアとしておすすめです。ラバーブラシや豚毛ブラシなどを使用し、ブラッシングを丁寧に行うことで無駄毛や抜け毛、ホコリを取り除きましょう。通気性をよくしてあげるだけでも臭いを軽減させることができます。
3. 食生活を見直す
犬に与えているドッグフードやおやつを、歯石がつきにくく消化しやすいものに替えることで体臭を減らすことができます。ドッグフードの種類によっては歯につきやすく、歯石ができやすいものや口の臭いを強めてしまうものがあります。またフードが体に合わない場合も、消化不良による胃腸のトラブルで臭いが発生しやすくなります。
4. 歯磨き
犬は歯垢や歯石がつきやすいため、歯石に変わる前のケアが重要です。犬用の歯ブラシを使い、できれば毎食後に歯磨きをしましょう。毎日することで、口の臭い対策になります。犬が歯磨きを嫌がる場合には、おやつにもなるデンタルガムなどの口腔ケアグッズを上手に取り入れてみるのも1つの方法です。
5. 耳掃除
犬の耳掃除は綿棒ではなく、専用クリーナーやティッシュなどを使い慎重に行いましょう。犬の耳はとてもデリケートなため、耳を傷つけないよう優しく耳の回りを拭うようにします。また耳垢や臭いがひどい場合、自宅で無理にケアを行わずトリマーさんや動物病院で診てもらうことをおすすめします。
6. 肛門腺絞り
犬が自力で肛門腺の分泌液を排出できない場合、飼い主さんが「肛門腺絞り」を行うことで臭いの発生を抑えることができます。肛門腺に分泌液が溜まると、犬も違和感からお尻を床に擦つけたり舐め続けたりすることがあります。
放って置くと傷になり炎症を起こす可能性があるので、月1回程度を目安に定期的にケアしてあげましょう。トリミングサロンに通っている方は、シャンプーと一緒にやってもらえることが多いようです。
犬の臭いを消臭する方法
部屋を清潔に保つ
室内犬の多くはリビングで長い時間を過ごすため、リビングが臭いやすくなります。犬の臭いを消すために、まずは部屋の窓を開け換気を行いましょう。
また犬が使うベッドや毛布、タオル、おもちゃなどには皮脂や垢、よだれが付着し雑菌が繁殖しやすいため、こまめに洗濯することが大切です。家具の下などに溜まった犬の抜け毛やほこりも忘れずに掃除しましょう。
犬を長く留守番させる家庭では換気ができないため、空気清浄機や脱臭機などをトイレやベッドまわりに設置することをおすすめします。
重曹やクエン酸を使う
犬が室内でトイレをする場合、排泄物の臭いが気になりこともあります。トイレシートをこまめに取り換えても臭うときは、アルカリ性を酸性に中和する「クエン酸水」でこまめに拭きましょう。クエン酸には消臭・除菌効果があるので、フローリングの床や玄関などの臭いを解消するときにも効果的です。
また、臭いが染みつきやすいカーペットや絨毯には「重曹」を使いましょう。ふりかけてからできれば1日放置し、掃除機で重曹を吸い取るだけで消臭効果があります。
ペットに無害な消臭剤を使う
犬の臭いを消す方法として消臭剤やアロマオイルを使うのも一つの方法ですが、選ぶ際にはなるべく化学物質が含まれていないものや、安全性が確認されているものを選びましょう。犬は嗅覚が優れているため、人間がよい香りと思っても犬にとってはストレスになるものがあります。香りつきを選ぶときには犬の様子に注意しましょう。
犬の臭い対策にオススメのグッズ
消臭液「きえ〜る」
乳酸菌や酵母菌などの有用微生物群を特殊な方法で発酵培養し、バイオエキスを生産させた消毒液です。この酵素は腐敗して発生する臭いにのみ反応する性質があり、ゆっくりと蒸発しながら悪臭の元となる菌を分解していきます。スプレー中に消毒液が犬の肌にかかっても問題はありませんが、異常を感じた場合にはすぐに医師の診察を受けましょう。
ペットのカラダのニオイ専用
緑茶から抽出した天然の消臭成分で、シャンプーが苦手な犬や高齢犬、子犬にも安心して使うことができる臭い消しです。肌にやさしい消臭スプレーなので、犬の体の臭いが気になったら直接被毛にスプレーしてもよいでしょう。またスプレーの後の乾きが早く、ベタつかないところもおすすめです。
ケンネルウォッシュ
A.P.D.C. ケンネルウォッシュ 250ml
環境にもやさしい植物成分や天然エッセンシャルオイルを配合して作られた多目的洗剤です。マイルドで爽やかな使い心地で、犬の臭いが気になるケージや床、トイレの掃き掃除だけでなく、ベッドカバーやタオル、服などのペットリネン用洗濯洗剤としても活躍します。さっぱりとした泡立ちが特徴で、多目的に使えることから家に1本常備させておくと便利です。
まとめ
犬の臭いには様々な原因があり、健康をあらわすバロメーターの1つということが分かりました。臭いの理由は犬によって異なりますが、原因に合った最適な対策をとることで臭いを軽減させることができます。一方で「普段と違う臭いがする」というようなときは病気や体調不良の可能性も考えられるため、早めに動物病院に相談してみてくださいね。
ユーザーのコメント
女性 ミルク
すると犯人を見つけました。首輪です。革製の首輪をしていたのですが、その首輪から激臭が放たれていました。おそらく水分を含んでしまったまま革にばい菌が繁殖しまくっているのでしょう。洗濯生乾き臭がもっともっと野性味を帯びた臭いになっていました。
飼い主さんに言うと、飼い主さんは全く気が付かなかったようです。それもまた驚きですが。革製の首輪は気を付けた方がいいですね。
女性 チョコミント