犬からイカ臭いニオイがする理由
愛犬が近くにくると「なんだか臭い」まるでイカのような生臭いニオイがした経験はありませんか?イカ臭いニオイにはどのような原因があるのでしょうか。
ニオイの原因には、体臭や歯磨きをしていないだけではなく、場所によっては病気が隠れている可能性も。お尻周り、口などからイカのようなニオイがするときに考えられる原因をご紹介します。
愛犬のどこからニオイがしているのかチェックしてみましょう。
おしりの肛門嚢から分泌物が出ている
おしりのニオイが気になる場合は、肛門の両側にある肛門嚢に臭い分泌物が溜まっているのかもしれません。
通常、うんちをするときに肛門腺が圧迫され、うんちと一緒に分泌物が排出されます。しかし、大型犬に比べて小型犬は自分で分泌物を排出しにくいため、分泌物がたまってしまうことがあります。
犬同士の挨拶のときにおしりをクンクンと嗅ぐのは、この分泌物のニオイから相手の情報を得ているといわれています。
犬にとって、相手のことを知るコミュニケーションの手段なのですが、この分泌物がイカ臭いようなニオイを発するので人間にとっては臭いと感じてしまうのです。
陰部から炎症性の膿やおりものが出ている
メスの犬の膣が炎症を起こしている場合も、イカ臭いようなニオイがすることがあります。
生殖器である膣が何らかの原因で炎症を起こしてしまうと、外陰部が赤く腫れたり、化膿したおりものが出て外陰部を気にしたり、舐めたりするようになります。また、膿やおりものが外陰部周辺の毛や後ろ足の毛につくことによってニオイがしている可能性もあります。
子犬の場合は自然に治ることもありますが、細菌感染の場合は、子宮蓄膿症や膀胱炎を引き起こす可能性もあります。愛犬が陰部を気にしている場合は動物病院を受診しましょう。
口の中や内臓の病気からくる口臭を発している
歯や歯茎、内臓に疾患があるときにも、生臭かったりイカ臭い口臭がすることがあります。
口臭の原因として最も多く考えられる理由が歯周病です。犬は、歯垢が歯石に変わるスピードが人の5倍(3~5日)といわれています。これが増えていくと歯周病につながり、口臭を発生しやすくなります。
歯周病が悪化すると、下顎の骨が折れてしまったり心臓病や腎臓病などにつながる可能性もあります。私たち飼い主がしっかりとお口のケアをすることが大切です。
また、内臓の病気の場合は生臭い以外にも、アンモニア臭や酸っぱいニオイがすることもあります。
口臭から考えられる内臓疾患は、胃や腸の消化器疾患、腎臓・肝臓の疾患、ガンなど。これらの病気の可能性が高い場合、ニオイの他にも下痢や嘔吐、元気がない、体重の減少などの症状が出ることも多いため、注意が必要です。
愛犬に変わった様子があった場合は、早めに動物病院に連れて行くようにしましょう。
口が乾燥している
口の中の水分量が少なくなると、唾液が濃縮されて口臭の原因となります。人間も同じですよね。水を飲む量が少なかったり、鼻が詰まって口呼吸をしていると生臭い、イカ臭いようなニオイがすることがあります。
また、乾燥する冬場や暑くてハアハアと口で呼吸をすることが多くなる夏場も、口が乾きやすくなります。部屋の中はワンちゃんにとって快適な室内環境になっているか、飲料水は足りているかを気にしてあげましょう。
犬の体がイカ臭い時の注意点
もしも愛犬からイカ臭いニオイがしたら、ニオイのする場所によって原因が異なるため、どこからそのニオイがするのか調べてみましょう。
原因によっては、動物病院で診てもらう必要もあります。愛犬からいつもとは違うニオイがした場合は注意して観察するのが大切です。
ここでは、イカ臭いニオイを感じた時に注意が必要な症状ついてご紹介します。
肛門嚢は化膿や破裂が起きている場合もある
- おしりを頻繁に気にしている
- おしり周りをしきりに舐めている
- おしりを床にこすりつけるように歩いている
- おしりの周りから出血している
- 元気がない
このような症状がある場合は、肛門嚢の分泌物が溜まりすぎて炎症を起こしている、袋が破裂しているなどの可能性があります。特に、出血が見られた場合には、すぐに動物病院を受診しましょう。
肛門嚢から出ている分泌物は、サラサラの液状やペースト状、ドロッとした粘土状などさまざまです。色も黄色や茶色、灰色っぽい色など個体差があり、うんちと一緒に排出しにくいワンちゃんもいます。
分泌物が溜まりすぎることで肛門腺が炎症を起こしたり、酷くなると袋が破裂してしまうことも。小型犬や肥満気味の犬、老犬など排出しにくいワンちゃんは定期的に肛門腺を絞ってあげましょう。
自宅でうまくできない場合は、動物病院やトリミングサロンでも絞ってもらえますよ。また分泌物のニオイがいつもと違ったり、強くなったりしたら、ひどくなる前に一度動物病院で診てもらうことをおすすめします。
メスの老犬は危険な子宮の病気にかかりやすい
- 多飲多尿、頻尿
- 食欲がない
- 嘔吐、下痢
- お腹が張っている
- 陰部から白っぽい膿や茶色っぽい色の血がまじった膿が出ている
- 熱っぽい
- 元気がない
避妊をしていない高齢のメスで、このような症状がある場合は、子宮内に膿が溜まってしまう子宮蓄膿症の可能性があります。溜まった膿が陰部から排出される場合と、排出されずに見た目では分かりにくい場合があります。
分からずにそのままにしておくと、子宮に膿がどんどん膿が溜まってしまい、最悪の場合、命に関わる可能性があります。少しでも愛犬に異変を感じたら、すぐに動物病院を受診しましょう。
子宮蓄膿症は、出産経験のない犬や何年も子供を産んでいない高齢の犬がかかりやすいといわれています。犬種による違いは特にありません。
若いうちに避妊手術をすることで、子宮蓄膿症発症のリスクがほとんどなくなるといわれているため、妊娠を考えていないワンちゃんは、高齢になったときのことを考えて避妊手術をすることも一つの選択です。
犬のイカ臭いニオイへの対処法
愛犬からイカ臭い、生臭いようなニオイがした場合はどうしたら良いのでしょうか。
そのままにしておけば、自然とニオイが消えるものではありません。必ずどこからニオイがしているのか、お手入れすればニオイがなくなるのか、他の症状がないのかなどチェックしましょう。
病気が原因のニオイだった場合は、治療が遅くなると取り返しのつかないことにもなりかねません。愛犬のニオイの異変に気付いたら早めに動物病院で診てもらうことが大切です。
犬の全身をよく見て臭い場所を探す
犬がイカ臭いときは、肛門嚢から分泌物が出ている場合が多いのですが、それが原因だと決め付けずに、どこからニオイがしているのか全身のニオイをチェックしましょう。
おしりが臭う場合も、おしり以外にニオイがするところがないか、他に愛犬に変わった様子がないのか良く観察しましょう。
犬は、痛みや違和感があっても言葉で教えてはくれません。私たち飼い主がいつもと違う様子や、出血などの症状がないなどしっかりと確認する必要があります。
犬の体を清潔にしてニオイが消えるのか確認する
愛犬の様子にいつもと変わりがない場合は、ニオイのする場所を拭いたりシャンプーなどのお手入れをしてみましょう。
おしりが臭う場合は、消臭成分配合のボディーシートでおしり周りをキレイに拭いてあげたり、口が臭う場合は歯磨きやお口ケアのできるグッズを使うのがおすすめ。
ケアをしたにも関わらずニオイが消えない場合は、病気の可能性が考えられるため、一度動物病院で診てもらいましょう。
病気が原因ではないか動物病院で確認してもらう
体を清潔にしてもニオイが消えない場合は病気の可能性があります。早めに動物病院を受診しましょう。
どこから臭うのか、いつからニオイがするのか、他の症状があるのかなど、説明できるようにしておくと診察がスムーズになります。
犬のイカ臭いニオイを予防するための対策
犬からイカ臭いニオイがしたら、飼い主さんもワンちゃんもいい気分ではないですよね。こまめにお手入れをしてあげることで、気になるニオイを予防できることもあります。
今はニオイがしていなくても、放っておくとニオイの原因となる可能性もあります。愛犬とのコミュニケーションも兼ねて、こまめなお手入れはとても大切です。
犬の肛門腺絞りを定期的に行う
肛門嚢の分泌物を排出しにくい小型犬や老犬は、定期的に肛門腺絞りを行ってあげましょう。個体差がありますが、月一回程度のお手入れが目安です。
『絞り方のポイント』
- お風呂場で絞るか、ティッシュやペット用のウエットティッシュを用意して絞ぼる
- 尻尾を上げて肛門嚢の位置を確認する(肛門周りの4時と8時の方向にあるプヨプヨしたところ)
- 肛門嚢の少し外側に指を置き、上へ押し上げるように肛門の方へ絞り上げる(ティッシュを使う場合は肛門をティッシュで覆って絞る)
- シャワーで流したり、消臭効果のあるペットに直接使用してもよいスプレーを使って拭く
ただし、上手に絞り出せないと無理にやり続けることで炎症を起こす可能性があります。上手に絞れない場合は、動物病院などにお願いするのが良いでしょう。
体の汚れはこまめに拭いたり洗うようにする
口周りについた食べ物や、口の中の食べかすもニオイの原因です。食後、口周りが汚れやすいワンちゃんは拭いてあげたり、歯磨きの習慣をつけるなどがおすすめです。
また、排泄の際におしり周りやしっぽなどにおしっこやうんちが付いてしまうことでニオイが発生することもあります。
長毛種や高齢のワンちゃんは汚れが付きやすいのでシャンプーシートやボディーシートなどでこまめに拭いてあげることで、ニオイの予防につながるでしょう。
まとめ
今回は、愛犬からイカ臭いニオイがするときに、どんな原因があるのかをご紹介しました。
体の汚れや、肛門腺から臭っていると思いがちですが、病気が潜んでいる場合もあるのです。
こまめにお手入れをしているのにニオイが取れなかったり、繰り返しニオイがする場合は、たかがニオイと思わずに、他にも変わった様子がないか確認して早めに動物病院を受診することをおすすめします。
愛犬の健康維持のためにも毎日のスキンシップと合わせて、ニオイのチェックとこまめなお手入れをしましょう。