子犬が外を怖がる理由と対策について

子犬が外を怖がる理由と対策について

子犬との生活が始まって楽しみにしていた散歩へ出かけたところ、子犬が怖がって散歩にならない…なんてことがあります。子犬が外を怖がる理由と対策についてご紹介します。「少しずつ」が大切です。

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記事の監修

ダルメシアンの犬種向上のため、2001年に「スペイン・ダルメシアン・クラブ」を創立。以降、事務局長として2020年までクラブ運営に携わり、「ブリティッシュ・ダルメシアン・クラブ」協力の下、クラブ大会を企画・開催。クラブ・ブリーダーのダルメシアン聴力検査義務化を実現。また、ダルメシアンの遠足会なども企画し、時に20頭を超えるダルメシアンと野山で遊ぶ。現在、日本におけるダルメシアンの正しい普及と犬種向上に取り組む。

子犬との生活が始まり、ワクチンの接種も完了。いざ楽しみにしていた散歩へ!と外へ出かけたところ、子犬が怖がって歩けないなんてことがあります。もしくは昨日は意気揚々と散歩に出たのに今日はなんだか怖がっているなんてことも。

今回は「子犬が外を怖がる理由と対策について」ご紹介します。楽しくお散歩ができるように飼い主さんも犬も無理をしないことが何よりも大切です。

子犬が外を怖がる理由

見上げる子犬

子犬が外を怖がってしまう一番の理由は「外の世界に慣れていない」ことが原因です。産まれたばかりの子犬は外の世界を全く知りません。

慣れないリード、見慣れない人や車や自転車、大きな音やまぶしい光、そのどれもが子犬にとっては「初めて」の世界です。初めてということは、そのどれもが犬にとっての刺激となります。

この刺激を楽しく感じて初めから意気揚々と散歩に出る子犬ももちろんいます。しかし、見慣れないものは誰しも初めは怖いものです。どうしても恐怖が勝って動けないなんてことはよくあることなのです。

犬は産まれてからの生後3週目~8週目に親犬や兄弟犬と過ごすことで自分が「犬」であることを認識し、犬としての社会性を身につけます。その後、8週目~14週目頃に人間などの「他の動物」や「他の物事」の存在を受け入れることができるといわれています。

このように犬は少しずつ自分が「受け入れられるもの」を増やしていきます。散歩をすることは、こういった受け入れられるものを増やすためにも重要になりますが、それが一気に訪れると恐怖も感じてしまうのです。

ブリーダー
鈴木桂子

子犬が外を怖がる理由は経験値の不足です。社会化期と言われるのは3~12週齢ですが、8週齢までに親犬が人と触れ合う姿を通じて、人との関係を学び、兄妹犬たちとよく遊ぶことで犬同士の力関係など、これから社会に出て行くために必要な知恵を学びます。

8~12週齢期に飼い主の元に引き取られ、第2ステージを迎えます。まだ3回目のワクチン接種が終わっていないこの時期、まずは生活の音に慣れさせることが大事です。洗濯機、掃除機、テレビなど音の出るものに慣れ、そして窓を開けたり、ベランダに出す、庭に出すなどして、家の外の音にも慣れさせるようにしておきましょう。

子犬が外を怖がる時の対策

抱っこされて川原に座る犬

子犬が外を怖がった時、それはその子犬にとっては刺激が強すぎるのだと考えられます。そのため次のような手順でゆっくりと受け入れられるものを増やしていくようにしてみてください。

外の世界を見せる

「外の世界を知る」ことで少しずつ恐怖心を取り除きます。まずは「家の中」から「飼い主さんと一緒に」外の世界を見るようにします。飼い主さんが一緒に外の世界を眺めて、声をかけることで犬は安心を覚えます。例えば車などの犬が見慣れないものが通ったとしても、飼い主さんが冷静に「あれが車だよ」などと声をかけることで、犬は驚く必要がないものだと認識することができます。

人間に慣れさせる

大きな音を出す車やバイクを怖がるというのもありますが、外には見慣れない人間もいます。特に車やバイクと違って人間は犬がいると話しかけてくることがあります。そのため散歩に行く際には特に人間に慣れておくことで、無駄な恐怖心を取り除くことができます。

まずは来客があった時に飼い主さんが犬を抱っこして、その人間に穏やかにあいさつを行います。飼い主さんが穏やかに接している様子を見て、愛犬は人間は怖くないものであると覚えていきます。

また、相手が突然犬を触ってしまうと犬はそれだけで恐怖心を覚える可能性があります。子犬でまだ人に慣れていないことを説明して、会ってすぐに触るのは遠慮してもらうようにしましょう。

抱っこをして外の世界を歩く

少しずつ外の世界や人間の存在を認識したら、実際に外の世界を歩いて見ます。この時、一度恐怖を覚えた犬はなかなか外を自力であることはしません。その場で固まってしまったり、震えてしまったりするでしょう。

こういった時は飼い主さんが犬を抱っこして、家の中から外の世界を見ていたときと同じように声をかけながら散歩をしてみてください。飼い主さんに抱っこされる安心感の中で外の空気に触れさせます。

このように何度か外に連れ出して慣れた段階で人や車の通りが少ない場所を短い時間、歩かせてみましょう。急がずに少しずつ慣れさせることが何よりも大切です。

ブリーダー
鈴木桂子

犬は窓から外を見るのが好きです。大きな音をしてバイクが通ったりすると、好奇心と恐怖心が沸き起こります。この時が第2ステージの分かれ目です。

大きな音がしても飼い主が平然としている姿を見て、これは日常の世界だと認識すれば恐怖心は薄れますが、飼い主が過剰に反応すると恐怖心が増幅されます。まず子犬に恐怖心を抱かせないためには、何よりも飼い主の穏やかな対応が大切になります。

抱っこして散歩するのは、本格的お散歩デビューのための良い練習です。首輪やハーネスに慣れさせましょう。

抱っこ散歩の時でも、念のため必ずリードはつけておきます。最初は家の周辺を一回り、そしてお散歩デビューの時に回りたいコースがあれば、少しずつそのコースに慣れさせます。その時に他の犬や飼い主さんにあったら、必ず挨拶を交わしましょう。

犬を散歩に慣れさせるために気をつけたいこと

散歩をするミニチュアピンシャー

いざ外に連れ出した際、次のような場所に初めから連れて行かないようにしましょう。

  • 子供がいる場所
  • 人通りの多い場所
  • 大きな音がする場所

初めから人通りの多い場所や大きな音のする工事現場などに連れて行ってしまうと、飼い主さんが抱っこしているとしても恐怖心が勝る可能性があります。また、子供はどうしても子犬がいると抱っこや触りたがるものです。子犬にとって大きな声を出して突然触ってくる子供は恐怖の対象になってしまいます。

抱っこをしているとしても初めは近所の静かな場所から徐々に連れ出すようにしましょう。

まとめ

駆けるチワワ

初めから散歩に行きたがる犬の場合もやはり大きな音などの刺激はトラウマになる可能性があります。そのため自分で歩く犬の場合は抱っこをする必要はありませんが、やはり短時間から少しずつ慣れさせることが大切です。

また長時間の散歩で犬が疲れてしまう場合、散歩自体を嫌いになってしまう可能性があります。子犬期のうちは慣れるまで5~10分程度の短い時間で済ませるようにしましょう。

慣れてしまえば基本的にはほとんどの犬が散歩が大好きになります。初めのうちにトラウマを与えてしまわないことが大切です。ぜひ愛犬との楽しい散歩を楽しんでくださいね。

ブリーダー
鈴木桂子

犬は記憶力がよく、自分に関心のあることに関しては、一度の経験がその後の行動に大きく影響を与えます。一度怖い思いをしたところには行きたがらない、逆に楽しい思い出の場所には駆け寄っていくなど、とても経験値を大事にしているのが分かります。

犬が苦手なのが「いきなり」です。いきなり大きな音がする、いきなり触られる、いきなり他の犬に吠えられる、こういった「いきなり」は飼い主側でできるだけ排除してあげましょう。何事も少しずつ、最初は遠くから、といった距離感が大事です。

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