犬の歯並びの基礎知識
犬の歯並びが寿命に大きくかかわる事を理解出来たところで、つぎは犬の歯並びについての基礎知識を理解しておきましょう。犬の歯は何本であるか、またどのような種類の歯があり、それぞれどのような役割を果たしているか覚えておきましょう。
子犬~成犬の歯並びと本数
犬の場合、最初に生えている乳歯は上下共に14本である事が多く、合計28本生えていることになります。生後4ヶ月から8ヶ月の間を目安に乳歯が抜け、永久歯に生え替わります。
この永久歯は人間の場合、上下合わせて28本~32本と言われていますが、犬の永久歯はそれを遙かに上回る42本です。こちらは上が20本、下が22本と下の方が多く生えています。
犬の歯の種類
また犬の歯は4つの種類に分かれており、「前歯」と「犬歯」、「前臼歯」、「後臼歯」で成り立っています。前歯は食べ物をかみ切るための役割を果たす歯であり、犬歯は獲物を捕らえるときなどに噛みつき、口から離さないよう咥えるための歯です。
前臼歯は犬歯に隠れてしまい、通常は見えにくいことが多いですが、口を開けてみてみると小さな歯が並んでいるのがわかります。これは食べ物を切り裂く役割を担っており、後臼歯は奥歯のように頑丈に作られていて食べ物を噛み砕く役割を持っています。
犬の歯並びの異常「不正咬合」とは
犬にも歯並びの良い犬と悪い犬がいますが、歯並びが悪い犬の中には「不正咬合」という発達異常になっている犬も多くいます。
「不正咬合」とは、正しく歯が咬み合わず、並びが悪いとされる状態の呼称です。不正咬合の中にもかみ合わせの種類がいくつか存在しており、上と下の前歯が水平になってしまっている状態をレベルバイト、前歯が出てしまっている状態をオーバーショット、下の前歯が前に出てしまっている状態をアンダーショットと言います。
正しい歯並びの場合、上前歯のすぐ裏側に下前歯がくっつくように並んでいたり、前臼歯、後臼歯もぴったりと重なり合っています。自分の愛犬が不正咬合でないかどうかは、歯磨きをするときに飼い主さんが見てあげると良いでしょう。
犬の歯並びが寿命に影響する理由
歯並びが悪いと「不正咬合」の可能性があります。不正咬合には様々な種類があります。
実はこの不正咬合が寿命に関係しています。不正咬合である場合、健康に悪影響を及ぼし、それが寿命を短くしてしまう可能性があるからです。では、どのような悪影響を及ぼしてしまうのでしょうか。
食べ物が上手く噛めない
まず、人間でも言われている歯並びが悪いと歯並びが良い人よりも食べ物が上手に噛めないというデメリットが生じます。食べ物が上手く噛めないということは、満足の行くまで食べ物を噛み砕き、その後で飲み込むという作業が出ていないことを意味します。
しっかり口内で食べ物を噛み砕けていない場合、固形のまま飲み込んでしまっている可能性が高く、胃の中で消化しにくくなってしまったり、喉に詰まってしまう危険性が考えられます。
一度不正咬合である愛犬の食事の様子を観察し、あまりにも飲み込むスピードが速いようであれば、しっかり噛み砕けていない可能性がありますので対策が必要でしょう。
口臭発生や歯周病になりやすい
歯並びが悪いとどうしても歯磨きが上手くできないということが多いです。飼い主さん的にはしっかりやっていたつもりでも、歯と歯の間に挟まったまま取れておらず、食べ残しが歯に付着したままになっている可能性があります。
そうすると、それが原因で口臭が発生してしまったり、最悪の場合、虫歯や歯周病など歯の病気になってしまいやすいです。
実は口内で発生した細菌は体内に入ってしまうことにより、体内に悪影響を及ぼすこともあります。そのため、歯周病や虫歯になってしまうというリスクだけでなく、体内に悪影響を及ぼしてしまうリスクも起こりやすくなるのです。
口内を傷つけてしまう可能性
オーバーショットやアンダーショットの場合、上手く咬み合わずに尖った犬歯の部分で自分の口内を知らず知らずの内に傷つけてしまっている恐れがあります。やはり、口内を傷つけてしまうと、その傷からばい菌が入ってしまい、炎症を起こしてしまう可能性があるため危険です。
また口内が傷ついている状態では、犬も違和感を感じ、食べ物を積極的に口にしようとしなくなってしまう可能性も考えられます。そうなると怪我をしてしまうだけでなく、健康上、悪影響となってしまいます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。犬の歯並びの悪さは基本的に治すことは難しいです。そのため、不正咬合である犬の飼い主さんは、定期的に病院へ連れて行き、歯のケアをしてもらったり、口内に傷が付いていないか検診をしてもらうと安心です。