犬がガムを食べた?症状や応急処置、キシリトールの危険性について

犬がガムを食べた?症状や応急処置、キシリトールの危険性について

犬がガムを食べてしまった時の対処法はどんなものがあるのでしょうか。また、体には害はないのでしょうか。今回は犬が人間の用のガムを食べた時の対処法と体への影響について紹介してみたいと思います。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

犬がガムを食べた場合に出る症状

犬の口

犬が人間用のガムを食べてしまうと、犬の胃では消化が出来ません。健康な犬であれば1~3日で排泄されますが、上手く排出できない犬は消化不良を起こし、嘔吐や下痢などで苦しむ犬もいます。

犬がガムを食べてしまった時には「獣医師に診てもらうことが大原則」ですが、犬がガムを喉に詰まらせ、呼吸困難になるなどの緊急を要する場合や、うまく吐き出させられない場合は窒息の危険性があるので、細長い棒などでガムを胃に流し込むなどの対処も必要になってきます。

また、ガムの中でも危険なのは「キシリトール入り」のガムです。犬がキシリトール入りのガムを食べてしまうと重い中毒症状を起こし、死んでしまう可能性があるため、絶対に与えてはいけません。低血糖に陥ったり肝機能の低下が引き起こされてしまうことが判っていますので、無理に吐かせようとせず、すぐに動物病院へ行かれることをおすすめします。

犬がキシリトールを食べた時の症状

犬がキシリトールを摂取した場合、嘔吐や下痢、歩行困難、痙攣といった症状が引き起こされます。その他にも無気力になる、ぐったりと横たわるといった気付きにくい症状も現れることもあります。

大量に摂取した場合や犬が小型の場合は、低血糖症から急性肝不全に繋がります。 犬のキシリトール中毒は摂取から症状が現れるまでの時間が短いことも特徴的です。早ければ30分から1時間、遅くとも半日後には症状が出始めるケースがほとんどです。摂取した量や状況、犬の品種や体格などによって症状の程度や現れるまでの時間が異なりますが、いずれのケースであっても適切な処置を施す必要はあります。

犬のキシリトール中毒はごく少量で引き起こされます。市販されている粒状のガム一粒だけでも大量摂取となり、重篤な事態が懸念されます。 症状の有無に関わらず、犬がキシリトールを誤飲した疑いがある場合は、ただちに動物病院に連れていき処置を施してもらうことを推奨します。

犬がガムを少量でも食べたらまずい?

万が一、犬がガムを食べてしまった場合、どのくらいであれば大丈夫なのか、気になる飼い主さんも多いと思います。結論として、誤飲したキシリトールガムが一粒だけであっても犬は中毒症状を引き起こす恐れがあります。

少量でもなめたり食べたりしてしまった場合は?

万が一、犬がキシリトールガムを食べた、もしくはなめてしまった場合は迅速に動物病院を受診し適切な処置を施してもらいましょう。 夜間であっても最寄りの緊急動物病院に連絡し、受診されることを推奨します。 飼い主さんが自宅で施せる応急処置は、有効性が乏しく危険性も高いためご注意ください。

犬が中毒症状を起こすキシリトールの摂取量

アメリカにある動物中毒管理センターによると、犬は体重1kgあたり0.1g以上のキシリトールを摂取することで、低血糖などの中毒症状を引き起こすとされています。メーカーによっても異なりますが、市販キシリトールガムに含有されている量は多くて1.3g前後といわれています。

一粒だけでも犬にとって大量摂取となるため注意が必要です。また、歯磨き粉などのキシリトール含有商品に関しても、犬がなめてしまったら動物病院に連れていきましょう。

犬がガムを食べた時の応急処置

なんでも食べる犬

ガムを飲み込んでしまったら犬の口を開け、喉に詰まっていないか、引っかかっていないかを確認しましょう。喉に引っかかり苦しそう、呼吸が苦しそうな場合は緊急を要します。

ガムが柔らかければ、犬の舌を引き出し、気道を開いた後、静かにピンセットなどで取り出します。ガムが固ければ、小型犬の場合は体を持ち上げて頭を下にし、背中を叩く、ゆするなどしてください。大型犬の場合は横向きに寝かせた後、肋骨の下をグッと押すようにします。

呼吸困難から暴れている場合は口に手を入れたり、ピンセットなどの硬いものを喉に入れることはかなり危険な行為になります。手をかまれてしまって大怪我をする場合もありますし、ピンセットなどで食道・気管などを突き破ることも考えられます。十分注意してください。

オキシドールを使う方法

オキシドールを使って犬を吐かせる方法があります。オキシドールは胃酸と混じると酸素と水に変わってしまうので比較的安全な方法ですが、飲み込んでから30分以内が目安です。それを過ぎてしまうと胃を通過してしまい、吐かせることができません。

薬局などで市販されている消毒用のオキシドールを3%に薄めた液を、犬の体重1㎏あたり1~2㎖飲ませてあげるのですが、犬自身から飲もうとはしません。飲ませ方はスポイトやシリンジで口の端から流し込み、口を塞いで上を向かせると飲んでくれます。

オキシドールは消化管に潰瘍を起こす場合があります。また、ガムを吐き出した後も嘔吐が続くこともありますので、注意してください。必ず、動物病院を受診してください。

塩を使う方法

緊急時にオキシドールがご家庭に無い場合、100㎖に3ℊの食塩水(飽和食塩水)を飲ませて吐かせる方法がありますが、注意して欲しいのは、この方法で吐かない場合は犬の体内に塩分が吸収され「塩中毒」になってしまうことです。身体の小さな犬は小さじ一杯にならない量の塩でも命を落としかねないので、与えすぎには注意してください。

以上の3つの方法は、あくまでも緊急事態で行う行為です。基本的には動物病院を受診してください。また、個人の責任で行うようにしてください。

病院での治療法や費用

犬がキシリトールを摂取した数十分以内であれば、嘔吐を促し排出させます。ただし、誤飲してから、時間が経過している場合や低血糖の症状が見られるケースは行わない場合もあります。危険が伴う行為であるため、飼い主さん個人で行わないようにしてください。

キシリトール中毒では症状に合わせた治療を行います。低血糖には糖質(グルコース)を補給し、低カリウム血症・低リン血症が見られるようであれば、それぞれを補給するために点滴を与えたりします。

費用に関しては夜間・緊急などの状況や処置内容によって大きく変動します。ペットメディカルサポート株式会社が集計したペットの誤飲誤食に関する統計データによると、誤飲によって手術が必要となった場合、小型犬は1回あたり82,424円、大型犬だと1回あたり100,183円もの治療費が発生したとされています。

犬がガムを食べないようにするための対策

犬の盗み食い

犬は地面の匂いを嗅ぎながら散歩をしますし、人間よりも目線は下になるので、地面や床に落ちているものを飼い主さんが目を離した一瞬の隙にパクッ!なんて、よくあることです。

特に一歳未満の子犬や、好奇心旺盛な犬に多く、飼い主さんが騒ぎ立てると犬は取られまいとして急いで飲み込んでしまうこともありますので、飼い主さんの落ち着いた対応が求められます。

「テーブルの上のボトルガムをいたずらして数十粒食べてしまった」なんていう内容もネットで見つけました。これが愛犬の体に悪影響を与えるものだったら・・・と考えると恐ろしいです。

特に室内飼いで、一歳未満の子犬や好奇心旺盛な犬と暮らしている飼い主さんは、犬が口に入れたりいたずらしそうなチョコやガムなどのお菓子、BOXティッシュやペン、電池などは箱などに入れて犬の手の届かない所に保管することが良いでしょう。

犬の様子を見れない場合は、犬をケージに入れ、その中で過ごしてもらうのが良いでしょう。

お散歩中のガムの拾い食いの対処法

犬にガムを吐かせる

落ちているガムを食べるそぶりを見せたら

お散歩中、犬が匂いを嗅いでいて、落ちているガムに口を伸ばそうとしたら「ダメ!」とリードを引き、ショックを与えます。この方法は常に犬の動きを見ている必要がありますが、物覚えの良い犬だと短期間で覚えてくれます。また、室内飼いの場合は、飼い主さんが目の届かないところに物を置かないことがベストです。

落ちているガムを口に入れてしまったら

犬がガムを口に入れてしまったら、飼い主さんが犬の口に手を入れて吐き出させるのではなく、犬の口の上を開けさせて握り、「ダメ!」「放せ!」などの指示を出し、犬自身で吐き出させる方法があります。

大抵の場合は排泄物と一緒に出てくることがありますが、口に入れたのがガムかの確認は取れませんし、吐き出させることができるに越したことはありません。犬の口の上を開けさせて握ると、噛むことと飲み込むことが困難になるので、舌で押し出すように吐き出してくれます。

まとめ

お散歩中の犬

ガムは犬も口に入れやすく、飼い主さんも気づいたら愛犬がガムを食べていたというパターンが多いと思います。犬は元々「いつ食料にありつけるかわからない」という本能から、誤飲、誤食が多いらしいです。

わが家の愛犬(柴・女の子4歳半)も、散歩コースに人間がポイ捨てしたガムが多く、拾い食いの中でも特にガムが多かったです。それは根気よく「ダメ!」と言い続け、徐々に拾い食いすることもなくなってきました。

ですが、「たかが拾い食い、されど拾い食い」です。ここ日本でも犬が拾い食いをきっかけに命を落とした例がたくさんあります。毒団子や毒餌など、愛犬が命を落としてしまったら飼い主さんは生涯後悔してしまうのではないでしょうか。たとえ嘔吐や下痢でさえも、愛犬が苦しむ姿は見たくないものです。

ガムを始め、犬が何でも口に入れて食べてしまうことがないよう「拾い食い」のしつけも合わせて行ってみてはいかがでしょうか。

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    40代 女性 まる

    犬と生活するようになってキシリトールをはじめ、犬に危険な食べ物は家にほとんど置かなくなりましたね。やっぱり最初から無い方が楽ですよ。あとは台所部分だけは入れないように仕切りをにしています。食べてしまってからだと対処が一般人には難しいので食べられない工夫が必要だと思いますね。
  • 投稿者

    20代 女性 にこ

    一歳のトイプードルを飼育しています。
    今日、愛犬がガムを噛んでしまいヒヤッとしまして、こちらにたどり着きました。
    他の方が書かれているように、犬を飼い始めてからガムや小物など、誤飲しそうなものは置かないように努めてきました。

    うちのマンションは特殊で、ドッグランが敷地内エントランスに設備されています。
    毎日そこでお散歩を兼ねて遊ばせているのですが、本日遊ばせている間に植木側でゴソゴソしているので何かと思ったら、吐き捨てられたガムを口に入れてカミカミしていました。
    慌ててコマンドで吐き出させましたが、その後少し吐いて慌てて病院へ…。
    大事には至りませんでしたが、飲み込んでいたらとゾッとしました。

    外にお散歩に行く際は誤飲がないように気を付けて見ていますが、犬が遊ぶドッグランにガムが落ちているなんて想像していませんでした。
    マンションに住んでいる人しか利用出来ないドッグランですし、ペット専用の設備の良さに9割以上の方が犬を飼育しています。
    どこのバカが(口悪くてごめんなさい)捨てたかはわかりませんが、いつどこでも油断出来ないと再確認しました。
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