フレンチブルドッグに多くみられる病気①「熱中症」
愛くるしい鼻ペチャが特徴のフレンチブルドッグは短頭種に属します。
フレンチブルドッグ以外の短頭種である、ブルドッグ、パグ、ボストンテリアなども該当しますが、呼吸器の内腔構造がレトリーバーなどの他の犬種よりも狭くなっているため、呼吸器系の病気には要注意です。
暑い場合、犬は自分の体温をパンティング(口を開けて舌を出しながら呼吸を繰り返す動作)により調整しますが、短頭種はこのパンティングが効率よくできません。夏や激しい運動後に体温調整が難しくなるため、他の犬種よりも熱中症になりやすい特徴があります。
熱中症とは少しずれますが、現在飛行機にフレンチブルドッグを含む短頭種を乗せることができないのは、このためです。呼吸困難に陥りやすく、死亡例も少なくないため、注意が必要です。
短頭種を飼う場合は、このような病気のリスクがあることを念頭に置いておきましょう。
フレンチブルドッグに多くみられる病気②「膝蓋骨脱臼」
運動器疾患では、膝蓋骨脱臼がフレンチブルドッグでよくみられる病気の一つです。膝蓋骨は、いわゆる膝の”皿”に該当する部位です。先天的にフレンチブルドッグは膝蓋骨の脱臼を起こしやすいとされています。
膝の滑車溝に膝蓋骨がうまくはまらない結果、脱臼をしてしまいます。子犬や若齢犬の頃は元気に走り回っていても、突然びっこを引くようになったということもあります。階段の上り下りや、激しい運動時にも注意が必要です。
また、膝に負担がかからないように体重管理を適切に行うなど、病気の予防を重点的にしてください。膝蓋骨脱臼が多くみられる犬種であるという点を把握しているだけでも、飼い方に注意すると思いますので、段差の少ない環境に整えるなど工夫をしてください。
フレンチブルドッグに多くみられる病気③「椎間板の疾患」
椎間板の疾患といえば、ダックスフンドに多い椎間板ヘルニア等を想像される方が多いと思います。実は、フレンチブルドッグにも椎間板障害がみられることがあります。
椎骨と椎骨の間のクッション的な役割をもつ椎間板ですが、他犬種に比べ、フレンチブルドッグの椎間板は加齢性変化に弱いという報告もあります。
加齢だけでなく、若齢の時に背骨を強く打ってしまったなどの衝撃が原因で痛めてしまう場合もあります。高発部位では、背中と首の部分が多いとされています。
首に障害がある時は、頭を支えられなくなった、首を下げることを嫌がる(エサ箱からご飯を食べたがらない)などの症状がみられた時には、椎間板の疾患である可能性があります。
また、背中に障害がある時は、抱っこする動作、ジャンプを嫌がるなどの症状がみられます。深刻な場合は、脊髄に損傷があるケースで、神経症状がみられます。
突然、これらのような症状がみられた場合は、獣医師に診てもらいましょう。X線での診断だけでなく、今はMRIやCTなどの設備が整っている病院、整形や神経の専門医がいる病院があります。
日頃から愛犬をよく観察し、小さな病気のサインを見逃さないようにしましょう。
フレンチブルドッグに多くみられる病気④「口蓋裂」
口の屋根の役割をすることで、鼻腔と口内を隔てている口蓋ですが、フレンチブルドッグでは先天的に口蓋に障害がみられる場合があります。
硬口蓋、軟口蓋、唇などの癒合不全としてみられますが、この病気の症状はどの部位に障害があるかで変わります。口蓋裂がある場合、外見からの判断は難しいため子犬の頃にみられる症状により、気づくケースが多いです。
例えば、くしゃみやいびきが多い、慢性的に鼻水がみられる、飲水時に咳き込む、食べる動作がぎこちない、軽度な運動にも関わらず息が荒いなどの症状がみられます。
食べる・飲む・呼吸など基本的な動作に障害が生じることが多いため、外科手術を行うことが多いです。早期に気づかない場合は、誤嚥による肺炎など二次障害へと発展することもあるので、子犬を迎える予定のある方は、飲水や運動などの動作に注意し、口の中をよく観察してください。
まとめ
愛嬌があり、フレンチブルドッグのファンはとても多いと思います。品種改良が進んだ犬種であるだけに、先天的な病気が多いということも念頭に置く必要があります。
子犬の頃は元気でも、年数が経つにつれ、上記の病気がみられたというケースも少なくないことから罹患しやすい病気を把握し、環境や飼い方を工夫することで病気を予防することが可能です。
心配な方は、フレンチブルドッグを長年飼われている方、獣医師などの専門家に相談をすることをおすすめします。